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ナターシャの踊り(上):ロシア文化史

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松本直哉
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西欧に憧れるペテルブルクと、古き良きロシアに向いたモスクワとの対比が興味深い。どちらを欠いても今のロシアはなかっただろう。しかし1812年のナポレオン侵攻や1825年のデカブリストの乱などを契機として、前者から後者に重心が移動したことで、ロシア人は自らの内なる民衆性あるいは土壌性に目覚めることになる。ストラヴィンスキーがグースリを奏でながら民謡を歌う農民の横でその歌を熱心に楽譜に書き留める写真、傍らには彼の母が彼の子を抱いている、巻末にあるこの一枚の写真が、ロシアの近代を如実に物語っているように思えた。
松本直哉

どうでもいいような雑学だが、マトリョーシカ人形が日本の人形を真似た19世紀末の産物だというのは初めて知った。伝統的と思い込んでいたものの意外な新しさ。

09/04 18:36
0255文字
eirianda
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ロシアがヨーロッパに憧れ真似して追いつかず、ふと自分らしく振舞うことに目覚め、貴族が農民を持ち上げたり神聖化したりして、文化に土着のフォークロアを取り入れたりナショナリズム化するあたり、西欧の後を追ってきた国として日本も似たようなところあるよなぁ。ヨーロッパがこれだけ長持ちするのは科学的思考を発展させたからだとハラリが書いていたのも納得。西欧が全てすばらしいとは言えないが、ロシアも日本も国民の思考回路が洗練しきれない悲しさ。もちろん自分も含めて。
0255文字
Pompoco
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スラブの文化考え方 タタールの影響? 貴族と農奴 サンクトペテルブルクとモスクワ アブラムツェヴォ
0255文字
みかん
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読むのにエネルギーはいるけど、とにかくとんでもない情報量の本。自分が興味を持っている「ヨーロッパとアジアの集合の重なりとしてのロシア(芸術)」が、予想以上に複雑で、ロシアがヨーロッパに向けているのはもはや因縁とも呼べる強烈な執着と劣等感そしてそれに裏打ちされた国粋主義であることが分かり、単に「銀の時代に詳しくなりたい」みたいな軽い気持ちで読み始めたら、昨今の情勢も相まって、かなり圧倒されている…下巻もあるのか…
0255文字
syaori
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ロシアという語から想像するロシア的なもの、それがどのように発見、創造されたのかを追う本。ピョートル大帝の欧化政策から、ロシアはペテルブルク(西欧)とモスクワ(過去のロシア)に象徴される二面性を抱えることになったこと、ナポレオンの侵攻を機に国民意識が高まり、ロシア的な様式や芸術が求められたことなどが文学や芸術と絡めて描かれます。一面でそれは、ムソルグスキーらの「ロシア的」な和声法が「完全な創作物」だったように再構築されたものでもあって、ロシアに限らず民族とは、文化とは何かを再考する機会にもなるよう。下巻へ。
syaori

どうでもいいのですが、ロシア人の美食エピソードとして「彼は鶏にはトリュフを与え、ザリガニを水ではなくクリームとパルメザンチーズのなかで飼っていた」というのがあって、ザリガニはあっという間に昇天しそうだなと思いました。あと、ムソルグスキーがペテルブルク(西洋的な音楽)から離れてモスクワに惹かれていくところで「友人たちはみな」「生真面目なサンクトペテルブルクの作曲家たちよりも彼の飲酒癖に対して寛容であった」とあり、”ちょっと待って、その人たち悪い人よ?”みたいな気持ちになりました(※アル中が遠因で死にます)。

03/22 08:50
syaori

それから本当にどうでもいいのですが、トルストイが出てくるあたりで、「農民のように大地に生きることを夢見た」トルストイが、「豚の世話が嫌いで飢え死にさせてしまった」「すぐに彼はうんざりしてしまい、農業労働者を雇ってすべて任せることにした」「日中はヤースナ・ポリャーナの畑で働くが、その後は屋敷に戻ると、白手袋をはめた給仕にかしずかれて夕食をとったのである」みたいなことが書かれていて、レフ……! そんなあなたが好き! みたいな気持ちになりました。

03/22 08:53
0255文字
人生ゴルディアス
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ロシア文化史と銘打たれているが、キエフ・ルーシとかモスクワ公国からではなく、1700年にピョートルがペテルブルクを作ったところから話が始まる。ペテルブルクは完全に人工的な都市で、しかもひどい沼地だから砂利石を文字どおりに積み上げて作られたベネツィアのような都市だったという話に驚き。フランスかぶれが行き過ぎていてロシア語を話せないロシア貴族たちと、ナポレオン戦争からの自国アイデンティティの確立。農民という得体のしれない国家の担い手たちと文化の担い手である貴族たちの関係等、文化・文明の話がねちっこく続く。良い
人生ゴルディアス

ペテルブルクはアンシャンレジームの貴族的ヨーロッパを思わせる都市でり、モスクワこそが我々の想像する熊と変わらない大酒飲みが暴れ回る都市だったようだ。トルストイやチェーホフなど自分でも知ってるような文豪や、絵描き、工芸品の担い手、バレエなど舞台芸術を作っていた人の伝記に交えて文化状況が語られるのも、まったく疎い分野の話だけれどどうにかこうにかついていけてる理由か。農村の話は過酷すぎて大変つらい。下巻はソビエトの時代に入るのかな。

12/01 21:16
0255文字
ちり
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“モスクワとサンクトペテルブルクの対比は、ロシアの文化的宿命をめぐる西欧派とスラヴ派のイデオロギーにとって根本的な意味をもっていた。西欧派の人びとが、ロシアはヨーロッパに導かれるべきであるというのが彼らの思想のモデルとしてペテルブルクを示したのに対し、スラヴ派はいにしえのロシア的生活様式の拠点としてモスクワを理想化した。”
0255文字
Hide
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ピョートル大帝の時代以来ヨーロッパをむいていたロシア、しかしその一方でロシア的な物とはなにかをめぐりあれこれと考えてきた歴史があるようです。どのようにして『ロシア的なもの」が構築されてきたのか、ロシア文化の歴史をたどりながら上下巻でまとめた一冊。
0255文字
ヘラジカ
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ロシアというあまりに巨大な国を形作る無数の文化。その構造や発展の歴史を、国内外の事象によって複雑に変化する精神性などから明快に解説している。上巻を読み終えただけで途轍もない満足度。ロシア文学に馴染みがある人には非常に興味深い書ではないだろうか。気軽に読み飛ばしていた『戦争と平和』のあのシーンにこんなバックグラウンドがあったとは。下巻へ。
ヘラジカ

2021年7月の新刊。『戦争と平和』読み返したくなるな。文化史は面白い。読むのに苦労するけれど。

08/13 07:34
0255文字
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