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須永朝彦小説選 (ちくま文庫)

感想・レビュー
52

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Eu
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ネタバレ「聖家族Ⅰ」で書かれる父の文章への評価が、ここまで読み進めてきて薄っすら感じていた須永朝彦の文章への印象とかなり一致していた。自己嫌悪のようなものが強く感じられて、塚本邦雄の場合それも捻た笑いに転化されたりしておもしろいのだけど、須永朝彦の場合そういうことがほぼなく、ちょっと息苦しい。作者は生前「百人のためのエンターテイメント」を標榜していたそうで、確かに刺さる人には猛烈に刺さる魅力があるのはよくわかるけれども、私はそのうちには入れなかったな、と思った。
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あ
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悪霊の館と蘭の祝福が大変好みでした。全集も読みたい
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YO)))
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泉鏡花から山尾悠子へと至る本邦幻想文学の系譜を須永朝彦は確かに繋いでいたのだな、と思わせる好短篇選。比類なきスタイリストの手になる絢爛たる「和魂洋才のゴシック小説」たち。就中ゴーティエ『死霊の恋』と耳なし芳一をブレンドして南欧の怪奇譚に再構成したような『悪霊の館』が良いと思った。 美青年への偏愛もまた特筆すべきで、女性は抑出て来ないか醜い存在としてしか描かれない徹底ぶりであり、そういうものとして読める人向きだとも言える。
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McLean
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著者処女作『鉄幹と晶子』は若き日の私にとって短歌開眼の書となった。塚本邦雄や葛原妙子に影響された新進歌人であったが、そこにとどまらず耽美世界に深く没入して行き、メジャー文壇とは無縁に終始したようだ。その博識を作品で表現することよりもアンソロジーで紹介する方向に進んだのは残念な面もある。その意味で本書は小説作品を紹介する貴重な文庫だ。巻末の谷崎潤一郎、佐藤春夫、江戸川乱歩のあの世での架空鼎談は著者の博覧強記で実に興味深い内容になっているのだが、最後に稲垣足穂が乱入して鼎談は目茶目茶になる。ちょっと余計かも。
McLean

収録作「聖家族」中の掌編それぞれの冒頭に掲げられた俳句は「えっ、あの人がこんな句を書いたの?」というものばかりであった。「桃の花母よと思へば父現はれ 永田耕衣」「北に他郷の黒つぐみ、ふるさとは父(ペール) 加藤郁乎」「麦穂なす第一ヴァイオリンの遅れ 同」「うそ寒く落雁食(くら)ふ父と知るや 石田波郷」「よその兄弟絆血と濃き小鶏頭 中村草田男」「百日紅何年後は老婆たち 三橋鷹女」「寒夜肉声琴三味線の老姉妹 西東三鬼」「黄麦や悪魔背骨にとどこほり 同」「扨(さ)て星の一つが隕(お)ちて兄おとと 火渡周平」

09/24 15:57
0255文字
オレンジ
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ネタバレ理解できない話もあるけど25作もあるからいくつかは気にいる話がある。「月光浴」と「銀毛狼皮」が好き
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すずめ
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旧仮名遣いで耽美さの際立つ美しい文章だった。「契」「就眠儀式」「天使Ⅱ」など、吸血鬼、美少年、天使といったモチーフが好き。
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いなお
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『天使』、就活生の頃に受けた国書でお土産にもらったなあと言うのを思い出しながら読んだ。『天使』に収録された小説はもちろん、「聖家族」、特に落雁の話が良かった。無比無二。
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YH
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こういう世界観大好き。日本作家なのにゴシック満載。まさにロマンスの世界。吸血鬼のシリーズがやっぱりステキかな。あとは、植物の名前が漢字で描かれているのも良かった。
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askmt
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初めてではあるが、大変なじみ深い。文化とは世界観というか趣味というかそういうある種のムードの継承であることは間違いない。
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E
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ネタバレ秋の夜といえば須永朝彦でしょう。濃厚なホットチョコレートなどをお供に飲みたい。BGMはドビュッシーの「月の光」で。須永本としては三冊目なので読むのが三回目の作品も多い。私はやはり初期の作品が好きかも。あの古く美しい装丁の『就眠儀式』など単行本で読むほうが世界に浸れた気がするが気のせいか。「森の彼方の地」、こうやって読み返してみると、ヴァーミリオン・サンズはちらっと出てくるだけではなくこんなにがっつり出てきてたのやな。物語に登場する名称や、はたまたバラードなんて言葉も出したりして。憧れる気持ちわかる。
E

ドン・セバスチャンの動物の趣味好きやな…。小説の雰囲気に合わせてあやしい絵展で買った水島爾保布の絵の栞で読んでいたが、なんと最後の作品に谷崎と「人魚の嘆き」の話題が出てくるという。秋はしばらくゴシックや幻想を読みたい。カバーデザイン:間村俊一、カバー絵:カラヴァッジョ「ナルキッソス」。

10/14 07:46
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麦茶
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「死を生きる」吸血鬼への愛が存分に感じられた。咲き乱れる熱帯植物の幻惑と、美青年を養分に美しく肥っていく吸血鬼的生き様が兼ね備えられている点で、短編「蘭の祝福」が特に好きだ。
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妖湖
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初読みの作家。山尾悠子さんのエッセイに名前が出てきたので。選ばれたもののみが行ける耽美の世界にどっぷり浸かれる。ちょっと中井英夫に通じるものがあるかな。ヴァーミリオン・サンズの名前が出てきたのも懐かしい。もっと読みたくなるが、今ではなかなか手に入れるのは難しいだろう(頼みの図書館にもなかったし)。とりあえず泉鏡花に挑戦してみようと思った。昔買った(買わされた)現代日本文學大系もあることだし。
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Saku
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吸血鬼にせよ天使にせよまた美青年にせよ独自の美意識の中に同一化を求めて身を捧げ、そぐわないものを徹底的に否定していく様はとても気持ちがいい。 また、編者の小説も硬質な雰囲気があるのでこのアンソロジーを編んだのもわかる様な気がする。
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belle
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再読。欲望に忠実な物語を読むと気持ちがすっきりとする。読み終えて、書店のカバーを外して書影を見ると納得してしまった。すべての源泉は自己愛。
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たがみ
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山尾悠子氏編ということで、読んでみました。耽美な世界が美しい。旧仮名遣いがあまり苦になりませんでした。
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kiyoka
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山尾悠子編集に惹かれて入手したのだが須永朝彦のことはずっと気になっていた。旧仮名遣い。鏡花に心酔していたというだけあって古風で妖艶。だがそこに極上のエッセンスがまぶされていて、和洋折衷な独特の世界を醸し出している。お城、チェンバロ、タペストリーなど中世を思わせる語録。女性は敵としてしか登場せず廿歳前後の美しい青年との倒錯的な愛の変幻。のようだけど自分に似た容姿のものしか受け入れないってことは結局好きなのは自分自身なんだろう。究極の自己愛。この小説集もひたすら好きなものだけを集めた秘密の小箱のようだった。
kiyoka

【血祭り🧛🏻‍♀️吸血鬼本19】『吸血鬼文学名作集』で二篇ほど先に読んでしまっていたが似た話だけど本書とはかぶってなくてホッ。全部が吸血鬼ものではなかったけど美しい吸血鬼たち、堪能できました。ワラキア公ヴラドを題材にした話もあり、『ドラキュラ伝説』に出てきていたヴラドにぴったりなイメージ。ドラキュラ伯爵よりは美しい銀狼の方があってる気がした。

12/30 00:15
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おかだん
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山尾悠子氏が編する所に大きな意味がある。堅牢な美意識のある人が同じく美に囚われたひとの作品を編する。ある意味でのぶつかり合いから成り立つ一冊。文として完成度が高いのは山尾氏の方であろうが、知と陶酔のある耽美な作品群は須永氏にしか表せぬ宝である。聖家族は初読みだが、現代ロマンとして風刺も効いていて面白い。森茉莉の諧謔味のあるエッセイとも手触りが似ていて、やはり「生活なぞは召使いに任せておけ」な人生をにじみ出させる物がある。
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芙蓉
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ネタバレ山尾悠子さんが編纂した須永朝彦さんの小説選。2021年にちょうど「天使」を読み始めたころ薔薇の盛りの5月15日に須永さんは亡くなられた。追悼―。永劫なる死を生きる吸血鬼。美しく残酷な美少年。チェンバロの音は高らかに夜空に響く「聖家族」のシリーズが好き。特に「聖家族Ⅲ」の女に迷惑をかけられている青年が彼女らを排除してさあこれから好きに生きようとしているときに訪れるラストがいい。
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R
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山尾さん・編なので手に取る。何も考えたくない時に最適な耽美短篇だけれど、初読時も思ったが既視感バリバリ。それだけリスペクトされているということでしょうか。ありがちな女性蔑視も満載。そこも結構しつこくありがちで笑える程。文庫で入手出来てありがたい。
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びっぐすとん
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初読作家さん。山尾さんが編者ということで手に取ったが、これは素晴らしい。モロ好み。ハプスブルグ、ハンガリー、吸血鬼、美少年...お耽美の缶詰だわ。引用される詩や旧仮名遣いの典雅な文章、国名が全て漢字表記なのがかつての異国への憧憬を思わせる。旧仮名遣いの文章なのに読みやすく、内容も不思議ではあるが難解ではない(編者の山尾さんの小説の方が難しい)。『就眠儀式』シリーズが特に好き。皆川博子さんにも通じるものがある。贅沢な時間が持てた。
ケロリーヌ@ベルばら同盟

お耽美の缶詰…至言です!

10/11 16:07
びっぐすとん

けろちゃま、これは高級缶詰です😊💕

10/11 16:41
0255文字
ふゆきち
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国文学の翻訳やアンソロジストとしてのイメージが強く、まとまった量の小説を読むのは初めてでした。耽美の極みのような作風で、原本にも手を出してみたくなります。旧仮名遣いが嬉しい。
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ゆう
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美貌の青年吸血鬼や天使に逢いたいがために再読した。著者の好みがこれでもかと詰め込まれているような短編集だった。幻想的なまでに神々しい金髪碧眼の美青年たちとそれに魅了される青年の物語は、匂い立つような雰囲気を醸し出している。複数の短編の舞台であるトランシルヴァニアは、謎の残る魅力的な場所という印象が残った。特に異形の者が登場する短編が好みだ。夢がある。
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ふるい
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吸血鬼、天使、美少年…旧仮名遣いで紡がれた、この世ならざるものたちの滅びゆく美の世界に、ひたすら酔い痴れた。やはりというべきか、連作「天使」「聖家族」が特に印象に残る。この唯一無二の作品群に、著者が生きている間に出会いたかったなぁと、一抹の後悔と共に読み終えた。
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999
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面白かった。天使シリーズ、木犀館殺人事件、聖家族シリーズ、蘭の祝福などなど。非常に良かった。現代作家の美文が読みたい。
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ほしまめ
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ネタバレお名前だけは存じ上げていて、今回、初めて内容に触れました。活字を読んでいるはずなのに、艶やかさや色気のようなものを感じ、「これが耽美……!」となりました。 天使のモチーフでありながら、聖なるものと言うよりも、未知の生物のような扱いに(この言い方が正しいか分かりませんが)、衝撃を受けました。
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erie
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なんというか、濃い、のだけれど、表紙のイメージに違わぬ世界がずっと同じ密度、同じ方向性で続いている。これが描きたいのだというのがひたすら主張されている感じ。ひとつ一つの刺繍みたいな言葉遣いをなぞるだけで心地よいが、この手の深みに到達しているレベルのもので女性にスポットライトを当てたものがいまいちないので彷徨し続けている(まあ多和田葉子の飛魂とかかなあ。サラウォーターズはちょっとベクトルが違う感じ)。
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いつき
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ネタバレ最後まで取っておいた『聖家族』をようやく読み終えた。 ポルトガルの耳なし芳一が面白かった。『滅紫編』の長編版が読みたいなー、っと。
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Shun
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須永朝彦氏は昨年他界されており、その豊富な遺作の中から山尾悠子さんが選びまとめられたものが本作になります。ジャンルはゴシックホラー等の幻想・耽美小説のものが中心で、全体として雰囲気に味わいがあり私の好みとマッチした珠玉の作品集と言えます。吸血鬼をモデルにした作品からは、暗鬱なイメージの中に映える陶磁器のような白い肌、そこに唇を当てる視覚的な美と官能が意識される。また小説内に流れる音色を辿ってゆけばチェンバロのあの独特な響き、詩情が湧きそうな音色は吟遊詩人のつま弾く弦の音か。芸術性と幻想の世界に酔いしれた。
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恋愛爆弾
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もちろん美青年目当てで読み始めたが、途中の森の中にてふと思い出した。小説はすべてを書こうとするから小説になるのだ。自分のなかに画定して譲らないすべてを。森の下には天使たる美青年の四肢が根を張っている。天使は手を伸ばす。そのすべてへと。
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tosca
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須永朝彦は殆ど知らなかったけれど、山尾悠子編というだけで手に取った。山尾氏が選んだ25篇というからさぞ難解なんだろうと意を決して読み始めたら、なんと自分の好みに合うことか、まずは冒頭の「契」という短い作品で、こんな作品を書く人がいたのかと驚いた。原本の旧仮名遣いを踏襲しての出版となっているので読み易くは無いが、「文体の技巧を凝らし、時には擬古文まで駆使する朝永の創作ともなれば文庫化といえども、そのままで」というちくま文庫の英断だと山尾さんは解説している。吸血鬼、美少年、黒い森の古城…万人受けはしないけど。
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モリヤマ リン
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読了。小説でこういう世界が広がっているのは知らなかった。そういう終わり方なのかと驚いた『天使Ⅱ』、耳なし芳一を思わせる『悪霊の館』、この物語にこの題名かと唸る『聖家族Ⅲ』が印象に残った。
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アルハ
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昨年75歳で逝去した著者の代表的な短編を収録した短編集。これから著者の作品を読みたい人向けの入門編としても、未収録作を読みたいコアなファンにもオススメな一冊といったところか。 作品一つ一つは10頁にも満たない短編が多いものの、どの作品も濃密な内容を誇り、妖しく美しい異形達をはじめとした魅力的なキャラクター、趣向を凝らした文体、著者の博覧強記ぶりに裏打ちされた世界観といい総じて満足度が高い。(結構な女性蔑視ぶりだけはいただけないが) 願わくば編者同様、もう少し小説を遺して貰いたかったというのが正直な気持ち。
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真城
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耽美!吸血鬼!美少年!それは浪漫 人間とは違う怪しさに魅入られていく恍惚感が堪りません
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ぎじぇるも
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素晴らしかった。恥ずかしながら須永朝彦は亡くなるまで知らなかったのだが、もっと早く知っていたかった程の衝撃だ。全ての短編が美しい。思春期の時に読んでいたら自分の人生がかなり変わっていたと思う。吸血鬼、天使、聖家族 2021年ベスト1かも知れない。
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すな
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素晴らしい作品集だった。 旧読みの読みづらさは無く、寧ろ雰囲気にマッチしている。 耽美でぞっとする感覚。 本当に短かい作品もあるけれど、その短さで一気に引き付けられる。 再読したい。
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KAZOO
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この作者の作品を読むのは初めてです。丸谷才一と同じように旧仮名遣いで書かれているのですが気にならないくらいの内容に引き込まれました。銀毛狼皮、悪霊の館などは外国の作家と勘違いしてしまいます。この編者の山尾悠子さん、皆川博子さん、渋澤龍彦、谷崎潤一郎に通じるものがあると感じました。もっと読みたい気がします。
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rinakko
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再読。
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みかん
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旧仮名遣いだし読みにくいかな?と身構えたら全くそんなことは無かった。爛熟の過ぎた美は常に死と隣り合わせだし、それは幻想とも少年愛とも隣接している。その作り込まれた美的世界は過剰なはずだけど、精緻な言葉選びと凝縮された文量の甲斐あって、不要な装飾とは感じられないのがすごい。後書きで選者の山尾悠子が「誰にも似ていない小説」と須永を評していたが、それはそっくりそのまま書き手に返したい。
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つっきー
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なぜ今まで読まずに来たのだろう? 幻想的で耽美な世界が、流麗な旧仮名遣いで綴られている。 どの作品も美しく儚い。 山尾悠子編というのも嬉しい一冊。
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Porco
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こと耽美主義の小説家として稲垣足穂,澁澤龍彦,夢野久作,江戸川乱歩の著作は読んではきたが、 現代の耽美という言葉のイメージに最も近いのは多分この作家だ。今では王道とも言うべきジャンルの始祖なのではないかとも思っている。 表現方法もそうだが、当時ここまで幅広く知識を蒐集し混ぜ込んだ作品があったことに驚いた。 同ジャンルの作家として比較するならば、稲垣足穂が少年愛の論学者なら、須永朝彦は耽美の劇作家とも評するべき。 本編集が発売されたことで、手に取りやすくなったことが有難い。
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須永朝彦小説選 (ちくま文庫)評価88感想・レビュー52