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猫の舌に釘をうて (徳間文庫)

感想・レビュー
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yuki_furu
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だいぶ昔に紙の本で読んで、電子書籍でアレをどうやったのかが気になってKindle Unlimitedで再読。……まあ、そうするしかないよね。情けない男の語り口と、探偵=犯人=被害者を成立させる力業も印象深く、決してあの仕掛けだけの作品ではないけれど、これから読む方には紙の本をおすすめしたい。
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タケミチ
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たぶん大学生の頃に講談社文庫版で読んだ。当時けっこうな衝撃を受けた。今ならこういう仕掛けに富んだミステリ書く人はけっこういるけど、発表時にこれは新しすぎる。こういう野心的な部分に惹かれて、都筑道夫をちょくちょく読むようになった。
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Mushi_Mamire
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ネタバレKindleUnlimited。自称犯人で探偵で被害者の手記を読み、事件のあらましを知るような作品。手記という曖昧な語り手と、終盤に詰められた手記の特殊性ギミック、お遊びが面白い。人間関係のねじれや登場人物の異様さが目を引く。特に主人公の執着と有紀子の異様さ(手記であるため主人公が神格化したように描かれるが、わりとひどい)か良かった。以下は好きな表現。#私が殺人犯人として、あるいは他殺死体として、#「清純な淫乱女だったよ」#「なんでもくわしいんだな、淡路さんは」「有害無益で、手軽に親しめることならね。
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spica
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ネタバレ読むのを楽しみにしていた。犯人、探偵、被害者でもある語り手。有紀子への思いに翻弄されて、情けなさがかわいそうになってくる。動機も不思議だったし、あっけなくオチが来たと思ったらメタ的展開になるし、凝りまくった細部に感嘆する。1960年の東京ってまだこんな汚かったのか……。話はへんてこでおもしろかった。都筑道夫は未来警察があまりに男性視点で気持ち悪かったんだが、徳間のこのシリーズは好き。同時収録の短編も未来警察っぽくて苦手なんだが、解説によるともっとおもしろくなるようで気になる。
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こほ
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ネタバレ前々から読みたかった本だけど刺さらず。貧乏文筆業者がBSS相手の人妻をずっと好きでその夫を殺す前に風邪薬+夫似の男で練習してみたら本当に死んでしまうがそれは男が実は夫を恐喝してたから夫の手先にコーヒーを毒薬入りのとすり替えられてた話。後々文筆業者は人妻が別の知己とも寝てたと知り結局夫じゃなく人妻の方を殺す。で夫手先に(多分)殺される。すごくよくできてる話だとは思う、伏線も見事、締めも素晴らしい、けど肝心のヒロインが魅力的でないし全体に変に露悪的というか猥雑さを殊更下品に書いてる風なのも私は合わなかった。
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mihya
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倒叙トリック?どこがよ…と思って読んだ。そうきたか。 猫は出てこなかった。舌に釘をうたれる猫は出てこなかったよ!
りょうすけ

猫、好きなんですね🤔

04/05 17:15
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hagiwalionV2
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「わたしはこの事件の犯人であり、探偵であり、そして被害者にもなりそうだ。」ある作家が巻き込まれた殺人事件。他人の妻に恋心をよせる模様から夏目漱石「それから」を思い出したが、代助より行き過ぎた感情を持っていたようだ。冒頭で一人三役という設定が述べられたが、このような展開になるとは全く予想できなかった。是非とも紙の本で読んで騙されてほしい作品。
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花嵐
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★★★★☆ 前々からタイトルと有名な序文だけは知っていた作品。古い作品だからかちょっと読みづらかったがなんとか読了。作中の言い回しや言葉づかいのチョイスは流石に古いが、それでも終盤の展開はこてこての本格派であり、今現在においても充分な読み応えがある。犯人の動機はあっさりと書かれているが、そこに至るまでの犯人の思考を考えると個人的には「あり」だと感じられた。
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nemuro
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密かに進行していた(単に私が知らなかっただけのこと)「徳間文庫41年目の本気【トクマの特選!】」の一環と思われる復刻シリーズ「都筑道夫・初期トリッキー長篇」の第2弾。読了後、法月綸太郎氏の「解説」で「1961年6月、推理小説専門の叢書としてスタートした『東都ミステリー』の5冊目として刊行された」ことを知り、それほど以前の作品だったのかと驚いた。感想を書くにあたり何頁かをパラパラと振り返り(ようやく)ラストの仕掛けに気付いた(発見したというべきか)。う~む。かつてここまで見事に騙されたことがあっただろうか。
るい

タイトルが面白くて(残酷で)ずっと気になってました。読了なされたのですね。📚+*

11/02 18:02
nemuro

るいさん、こんばんは。冒頭、1行目から「私はこの事件の犯人であり、探偵であり、そしてどうやら、被害者にもなりそうだ」と一人三役で始まる作品。で、「都筑道夫の長篇で、自伝的な私小説だと明言されているのは本書のみ」らしいです。

11/02 23:38
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マムみかん(*ほぼ一言感想*)
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60年以上前の作品だし、女々しい主人公の手記という形なので少々読み難い。 でも、今でもすごく斬新な超絶技巧! タイトルからは想像つかない内容だったけれど、猫好きさんも安心して読んで大丈夫(笑)☆
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longscale
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ネタバレ饒舌な語り手が、なかなかに退屈。手記である以上はすでに経験したことを書く形になるわけだが、無理にでも緊張感を出そうという気はない印象だった。この手の片想いにも、全く感情移入できない。「野獣死すべし」と比べると、そのあたりでサービス精神に欠けるような……。当時はこういう実験にも価値があったのだろうが、その挑戦にふさわしいドラマになっているとは思えなかった。後半は、慌てて店仕舞いしてるようにも感じる。むしろミステリとして読むべきではないのかも……。「やぶにらみの時計」および「誘拐作戦 」を読むかどうか、迷う。
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UPMR
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都筑道夫の小説の束見本をメモ帳代わりに書いた手記という体裁で進むかなりトリッキーな作品。ともかく稚気に溢れた風変わりな試みが満載で、いきなり語り手=犯人=探偵=被害者であると宣言する冒頭からしてぶっ飛んでて楽しい。一方でそうした試み全部が成功しているかというと、アイデア自体は奇抜で面白くてもそれを支えるだけの物語の厚みや工夫があまり伝わってこなかったように感じた。唐突な解決編や束見本の手記による趣向は確かに呆気にとられるが、伏線への納得感は薄く、正直、置いてけぼり。
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ホームズ
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ネタバレ語り手の淡路が犯人であり探偵であり被害者になりそうって出だしの掴みが良かった。ただ淡路も有紀子もあまり好きになれず…。事件の解決がちょっと突然な感じで…。
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お笑いループシュート
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ネタバレ同じ人物が、探偵であり、犯人であり、被害者であるツイストの効いた話を、巳年生まれの主人公淡路瑛一が他の男と結婚してしまった金沢生まれのユキ子を愛し過ぎたがうえに起きてしまった悲しい恋愛悲話であり、一族の権力闘争としても描く。 昭和36年(1961年)の時点で、新本格派と云われても遜色のないくらいの凄い話を書いていたのかと驚くばかりである。 随所に出てくる東京の描写が粋で良いなと思った。 ※本書が束見本に淡路瑛一が書いた手記ということは、これとは別に都筑道夫が書いた『猫の舌に釘をうて』が存在しているの??
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Cinita
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ネタバレ「私はこの事件の犯人であり、探偵であり、そしてどうやら被害者にもなりそうだ」という趣向を綺麗に成立させ、束見本という設定を生かした大掛かりなメタフィクション的仕掛けも入れつつ、不安定で生々しい主人公の語りの中に、推理のヒントや大小の構図の暗示を自然に織り込み骨組みを目立たせない……という大変すごいことやってるんだけど、全然面白くないという不思議な作品だった。淡路本人にも彼が思いを寄せる有紀子にも全然魅力を感じず、文章も読点多すぎて読みにくい! なめくじ長屋や退職刑事は素直に面白かったんだけどなあ……
Cinita

そうそう、タイトルで不安に思っていたけど猫が酷い目にあう話ではなかった。よかった。

12/21 06:36
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抹茶カステラ
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ネタバレ「誘拐作戦」は面白かったけど、これはいまいちだったなぁ。私には合わなかった。なんで語り手はこんなに有紀子が好きなんだろうなぁ。小説とかで時々出てくるなんでかわからないけど妙に男性達に好かれるタイプの思わせ振りな女性って感じ。私はてっきり有紀子はとんでもない悪女で、有紀子が狙われていたのではなく、逆に有紀子が誰かを殺そうとして毒を用意してたんだと予想していたので、後半で有紀子が殺されて驚いた。構成は面白かったけど。確かに探偵で犯人で被害者。
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やまだん
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都筑道夫の「猫の下に釘をうて」の束見本に、淡路瑛一という作家が手記を書いているという構成のミステリ。「私はこの事件の犯人であり、探偵であり、そしてどうやら被害者にもなりそうだ」という文章から始まるなど、本格ミステリ好きにはたまらない一品。淡路瑛一という作家の失恋、そしてその失恋をきっかけとして仕組んだ「毒殺ごっこ」から実際に死者が出てしまい、その事件の真相を捜査するという構成。個人的には、こういう構成の本が非常に好き。文章がやや読みにくく感じてしまったが、そういう欠点を踏まえても、評価したい(75点)。
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koma-inu
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61年作の復刊。1人称者が犯人=探偵=被害者の三役を担う。明らかに「信用できない語り手」の記述から、いかに真相を見抜けるか、という野心作。「読者への挑戦状」が挟まれるも、それすら、疑ってかかってしまいました。結末のブラックさも印象的!新本格ブーム10年前に、こんな巧みな(バカミスな)話を作った作者は偉大です。題名は、全くお話に関係ないです、最後まで回収は無かったような・・。同じキャッチコピーの海外某作品が、この1年後に出たそうで、なんともスゴイ偶然です。
koma-inu

えにくすさん、コンパクトかつ、ラストは驚きの読みやすさで、サクッと読めます、ぜひぜひ😊

05/24 06:21
koma-inu

paoさん、確かに大技の作品ですが、やりすぎ感もありますね😅この時代に、メタミステリを出した勇気はスゴイと思ってます🤔笑

05/24 06:24
4件のコメントを全て見る
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SATAN'S TOY
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ネタバレメタ・フィクション、私小説的でありながら本格パズラーかつ叙述トリック。ちょっとキザなくらいの文体とペダンティシズム。何とも言えない読後感。これより良く出来たミステリはあるだろうが、これだけ挑戦したミステリはないかも。孤高の傑作。
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有理数
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「私はこの事件の犯人であり、探偵であり、そしてどうやら、被害者にもなりそうだ。」という書き出しで始まる、奇妙な本格推理。この書き出しについては知っていたので、どんなトリッキーな技が飛び出すかと思えば、「風邪薬だと思ったら毒薬だった」という事件の幕開けも面白いし、意外と中盤までは本格推理らしい本格推理である。だが、終盤は――めっためたにメタフィクションで、よくそんなことを思いついたなあ……と感心してしまう。書き出しの文章に偽り無し。「猫の舌に釘をうて」というタイトルもカッコイイ。
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まつのは
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琥珀色に輝くハリーウィンストン製みたらし団子のイヤリング(そんなのない?)みたいなミステリでした。著者自身が探偵で被害者で犯人。本自体がトリックというトンデモナイもの。最近、ちくま文庫·徳間文庫と続けて再版されていますが、正直ミステリとして面白いとは言えないし、買う人いるのかな?(ここにいますが…^^;) 昔の風景·風俗、そしてなにげなくチラつかせる小道具のウンチク話がたまらないのですよね。昔の縁日で外せばもらえたガラスの知恵の輪。全く記憶にないのですが、気になって仕方ない。どなたかご存知ありません?
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ぬ。
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ネタバレ40年あまり前の時点で、こんなメタフィクションめいた作品が存在してることに驚いた。1977年だから、ミステリの歴史から考えてみれば新しいほうなのかな。「探偵で、犯人で、被害者」という強烈な掴みと、紙の本だからこその最後の展開がおもしろい。
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はっか
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「私はこの事件の犯人であり、探偵であり、そしてどうやら、被害者にもなりそうだ。」この一文に尽きる。
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Inzaghico (Etsuko Oshita)
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表題作の凝り方に、遊び心をくすぐられる。束見本に手記を書いていく、という趣向で、最後のほうにちょいと洒落たしかけが仕込んであるのだ。たしかに、犯人がわかった時点でパタンと本を閉じるよね、ふつうは。都筑の実体験を織り交ぜながら、知人をモデルにした人物も登場させて、懐かしの東京がよみがえる。文京区の伝通院が出てきたり、こんにゃく閻魔が出てきたり。かと思えば、浅草や墨田の下町の猥雑な町並みが登場したり。文京区の住人と下町の住人が対比的だ。個人的にはちょっと蓮っ葉な下町のおねえさんがいい味で好きだ。
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弥生
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ネタバレ序盤に感じた傑作の香りを信じて読み進め、終盤、アクロイド殺しを初めて読んだ時と同じ感動を感じました。 「この時代のことがよくわからない」、「タイトルがいまいちよくわからない」等思う所はあるかもしれないが、斜め読みでも飛ばし読みでもよいので是非一読してほしい。 読書ってたまにすげえ。
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