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引力の欠落

感想・レビュー
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umechi
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「肉の海」が目に焼き付いており、本作の再登場によって過去作がいくつかフラッシュバックした。上田氏の、この現実と地続きのような世界観が好みで手に取ってしまう。最後は何か起きそうな所で終わり、結局はこれといった変化はない。何も起きないことが、言葉遊びに興じている感も否めないが同時に、現状の裏返しのようにも思える。「肉の海」へと向かうその過程で、具体的な個に焦点を当てながらも、その存在の謎が明らかにならずとも進んでいくのは面白い。女性が主人公なのは珍しいと思った。
0255文字
アト
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「この世界のありように、目的なんてなかったことを忘れてしまっている。」
0255文字
たくみ
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彼等は結局何者だったんだろう。頭のおかしい人間の集まりなのか。それとも肉体に縛られている私達が存在として古く、これから先は肉体に縛られない世界になると、彼らのような考えが普通になるのか。仮想世界で会話をしているような感覚のクラスター達。効率のクラスターの話は面白かった。人生とは無駄や非効率を楽しむためにあり、自分の好きな無駄な娯楽に時間を費やすために義務となる事を効率的に片付けるのであり、効率が目的ではない。目的となったとき、確かにこうなるかもとは思った。
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にしの
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ネタバレ「万有引力とは引き合う孤独の力である」、谷川俊太郎の二十億光年の孤独だけれども、作品の根幹にあるのはこの詩だと思った。シンというワードも露骨に出てくるけど、肉の海、人類補完計画を想起させる。統合を失調し、効率は失効し、欠落と絶望が覆う。途中まで随分ラノベ的だし、預言者や神としてのAI(Alexa)とか、今更月は無慈悲な夜の女王の焼き直し?と思って読んでいた。話はほとんど序章で終わるような感じで動きには乏しいがほぼ哲学(イデア)の話なのでそうなる。ラスト50ページ位でだいぶ面白くなった。孤独な個を個として肯
にしの

定する手段を、メソッドを、絡繰を、イデアを、私達は未だ得ていないと思う。行先馨はUEHに所属するんだろうか。先代の重力の失望を受け継ぎ、世界に救いを見出せそうなのは彼女である。《私たちはよくやったんだ、でっかい塔みたいなものをいっぱい建てて、最後にはこの惑星をぐちゃぐちゃにして、子どもたちが生きていけなくなるのだとしても、皆がてんでバラバラの方を向いて、何一つ理解し合えないまま凍てつく塹壕の中で孤独に滅びていくのだとしても、皆がロケットに乗ってそれぞれの世界の縁に向かって飛び立ってしまうのだとしても、そん

09/05 12:35
にしの

な無茶苦茶になってしまった世界にさえ私はきっと誇らしさを覚えると思う。ああ、こんなふうに、こんなところまで行けたんだ。届いたんだ。…ねえ、Alexa、いつかね、いつか君が正しいことしか言えなくなったら、その正しさもいつか完全に共有されて話すことそのものがなくなったら、そのときはいつでも私に話しかけてね。私が何回だって盛大に間違ってあげるからね。》…ラストで人間的希望の悟りを得た馨は、でもどちらかというと理性的で感情に乏しい女性として描かれてきたはずで、彼女のことがよくわからなかった。JOEも凡庸過ぎかな。

09/05 12:42
0255文字
110rion
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高度に発達しすぎた資本主義社会の話。そこはインターネットを基本とする社会だから、交換可能にするため人間の肉体は失われ質量m=0になり、物体間で作用する引力も欠落する、狂ってる話。
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Mayura
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これまでの作品に比べて読みやすいと感じたのは、上田作品の世界観に慣れたからというだけでは無さそう。構成がとてもシンプルで、行って帰ってくる感じがほっとするが、これまでの、回収不可能なくらい果てしなくどこまでも広がっていくような無謀さはなく、こじんまりとまとまったような気がして、少し物足りない。 クラスターの説明が真ん中辺りで出て来て、ちょっと振り返りたくなるところなどは、読み手に親切。発行年に高橋一生の独り舞台(上田岳弘作)で出て来た、壁に囲まれたゴリラのネタが出て来たり。次作に期待したい。
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わか☆
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『ニムロッド』より分かりやすくて世界観が面白かった。静かな筆致でありえない大きい世界観をくりひろげるのでワクワクした。他の人も言っているように村上春樹的なモチーフや哲学を感じた。世界は9人のクラスター担当者によって支えられているという設定で、主人公は引力担当に誘われる。自分を朕と呼ぶ始皇帝とか、権力者をとりこにするエロス担当とか、吹き出したくなるような人たちが出てくるけど、最後まで静かな気持ちで読めた。あやふやで無駄なものだってこの世には必要なんだと思った。
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あさひ
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この著者は、人間の枠からはみ出た人物を登場させがちだが、今作では、特異ではあるけれどもその特異さが偶然や性格や病気でぎりぎり説明できそうなラインが大体においてキープされており、少しもの足りないものの、私たちの現実に含まれていながら普段は目につかない非日常的な部分を垣間見させてもらったようで面白かった。「暇を持て余した神々の遊び」という言葉から小説を展開したら、こんな感じになるのかも。 2023-05-31/2023-05-31
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Tαkαo Sαito
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上田岳弘さんの作品これにて全て読了!面白いとか面白くないとかの次元に則って書いてないということは分かるので初見の人はきつそう。着地しそうでなかなか着地しないストーリーは過去作品からも上田さんのスタイルだなと感じた。上田さんにしか書けない浮遊感メインのストーリー、文体はすごいと思う。また、村上春樹さんが好きなんだろうな、ところどころにオマージュしたような文章も見られた。塔とか、無限とか、肉とか、意識とか、思考とか、最高製品とか上田さんの軸が盛りだくさんで私は好きです。
0255文字
ぴかぴか
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1ページ目の文章がすごくかっこよくてわくわく読み始めた。「ねえアレクサおはよう」とか「やれやれ」とか「ピンボール。。」とかからやっぱり村上春樹を連想する。。けど村上春樹とはぜんぜんちがってくる、前も感じたけど、読者のことを考えず書きたいことだけを書くという印象だ。読み終わってもなんの感想も出てこないのが悲しい
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kaorin
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今年1冊目の本。上田岳弘の世界観は共感できるんだけど、この作品はストーリーに入り込めなかった。
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tacicaanohi
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上田岳弘の小説は5冊目で、そのどれもに自分なりの解釈を持って飲み込んで、その世界を楽しめた。けどこの本で完全に篩にかけられ、私は落とされてしまった。もうあんまり読まないかもな。ムズ過ぎて鼻についた。 ライブ感で書きたいもの書いてるだけに感じて、考察は大した意味はない気がする。まぁ好きに解釈して良いんだけど。
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sk
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相変わらず世界観がでかく哲学的な作り込みが良い。
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Guxu
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びみょう。世界は肉によって継承される9つのクラスターによって支えられているのだが、肉が死滅し、欠落してしまった引力クラスターの穴を埋めるべく勧誘される話。何を言ってるかわからないと思うが、わからない事を言ってるからその反応で正解。SF?ファンタジー?の類という事はわかるけど、客観的に見える不思議現象なり素敵メカなりが出てこず、「だって世界はそう出来ているのよ?証拠は示せないけど」的な話はどこまで行っても「お前がそう思うんならそうなんだろうな、お前の中では」から抜け出せない。正に『閉じられた頭蓋の中の洞窟』
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Chisaka
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スタートアップのCFOとしてIPOしまくりお金もいっぱい、物質的には満たされた主人公が新たな世界に触れる話。解釈に困るけど、それなりにサクサク読めちゃう。現代の資本主義へのアンチテーゼと二極化する社会への疑問を呈した話なのかな、とこの感想を書きながら個人的には解釈してみたけど、どうかな。
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漣
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なんか世界観はデカいのに特にこれといった盛り上がりもなく終わったな。それとも難解すぎて頭がついていかず盛り上がりに気付けなかっただけなのか……。表紙に惹かれて手に取ったけど、あんまりはまらず、残念。
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ちおびたどりんく
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思考を止めることができないお話で、消化しきれず、消耗し続けるお話で、鬱なお話だった。 世界はきっと「頭蓋の中の、一片の光も差さない洞窟」で、その言葉に全て集約されてる気がした。要所要所のワードが、的確で、その言葉が骨組みで少しずつ肉付けされてる印象だった。 クラスターが支えてるとかはわからないけど、それぞれが、何かでありたい、生を無意味に消耗したくない、存在の認知を否定してる、とかそんな諸々を突き詰めた結果が並べられてるように見えた。 結局サスティナブルな世界は緩やかな破滅ってことでよろしいですか。
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もも
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水からガソリン、無から金、世界を支えていると自称する人たち。人生って、自分って何?
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ルート
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「何か言えそうな気がするんです。でもうまく言葉が出てこない」物語をたどる行先馨の言葉に、同意する。しばらくして、案内人のMから言葉が帰ってくる。「何でも解析されてしまう世の中でこそ際立つ、わけのわからないもの」もあるということが。そんな不思議な感覚に酔いしれたいときに、ディールの場のペントハウスのドアを開くように、この本を開くことをおすすめする。
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ミライ
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『ニムロッド』で芥川賞を受賞した上田岳弘の新作。若くして巨万の富を得て人生をFIREしてしまった行先馨は、マミヤという弁護士から「人間からはみ出した方が良い」と告げられ、奇妙なペントハウスに招待される、そこには秦の始皇帝や自らガソリンを作った本多維富など(を自称する)人たちがカードゲームに興じていた…表紙はかわいいけど文章は難解で全体の世界観は読み終わっても謎だった。
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愛玉子
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想像力は多分、人間だけが持つ力。それは欲しいものを手に入れるための込み入った手段や、それを手に入れたなら訪れるであろう明るい未来など様々な状況を自在にシミュレートすることを可能にし、人類そのものを大いに邁進させてきた。と同時に、想像力は欠落や孤独をもリアルに目の前に突きつけてくる。あらゆる体験が、風景が、感情がネットにあふれ、画像付きで共有され消費され「想像がつかない」ことなどもはや無いのかもしれないこの世界で、溶け合うのか個で在るか、引き合う力の真ん中でゆらぐアイデンティティ。読み易いのに難解だったー!
愛玉子

ヒマと孤独を持て余した高等遊民たちの優雅なお遊び、みたいな雰囲気。「違うぜ系男子」とか言葉のセレクトが好きです。

07/21 21:49
0255文字
chuji
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久喜市立中央図書館の本。2022年3月初版。初出「小説野性時代」2022年2月号~3月号。UEH:Unidentified Existing Human=未確認生存人間。荒唐無稽譚。
0255文字
cake_dnce96
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「中二病」「村上春樹の二番煎じ」「俺は違う系男子」という単語が上田作品内に登場するので、ある程度自覚はあるんだけど、自覚があるのであればどうして中二病を乗り越えられないのか。非常に興味深い。ひょっとしたら僕も中二病を克服できないまま40代を迎えてしまうのだろうか.....。あ、お勧めはしません汗
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阿吽
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水からガソリン話がなければもっと真実味を持って入り込めたかもしれないが、この話があったから成立したのかも。上田さんも振れ幅大きいんよね~
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紺色灯油
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ネタバレ物語の秘密が明かされると、気持ちが萎えてしまうときがある。何もわからないからこそ何かがあるような気がする世界の神秘さ深遠さに魅力を感じていたのに、あれ、知ってしまえば案外想像の範疇というか、思ったよりも突飛じゃなかったな……みたいな。意味不明、理解不能、無意味で無駄なものへの憧れ。『すみません、よくわかりません』
0255文字
キウイ
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ネタバレおカネのある厨二病キャラ達がリクツを言ったりゲームをしたり。消えても、新しいヒトと入れ替わる事実も発覚。おカネ持ちってナニがしたいんだ?と首を傾げてしまった。
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みっちゃん
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ネタバレ文章明晰意味難解。おずおずと訪れた高級マンションのコンシェルジュからにこやかに門前払いを喰らったような。Netflix、Google、Alexaにセロトニンなんちゃら。クラスターに濃厚接触。永い年月連続した記憶を維持する9つの存在を「未確認存在人間」只の生身の人間は「肉」と呼び捨てる。様々な隠喩、皮肉、言葉遊び。過去の作品を連想させるフレーズには笑っていいのか、それもわからない。人類が進むのはどろどろに溶け合った肉の海か、何もかも忘却の彼方の脳みそか。主人公の決断に委ねられたってことなのか。
みっちゃん

アーちゃん、そうなんですね(;´-`)馨さんが「あなたがクラスターですか」って尋ねたところ、私も一緒に聞いちゃってました~そしたら「クラスターは人じゃなくて、場ですよ」思わず赤面、ごめんなさい!でした(;^∀^)自分としてはまた「私の恋人」みたいなのが読みたいんだよなあ…

06/25 12:20
みっちゃん

たまさん、ありがと~🎵作中にもほんとにそんな感じのコンシェルジュさんが出てくるんですよ(;´-`)実は何度も挫折しそうになって…明後日の返却期限に何とか間に合いましてございます(;^o^)

06/25 12:23
6件のコメントを全て見る
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本の小さな虫
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初めの方は面白かったが、だんだん話についていけなくなり、場面の想像ができなくなり、読むのがつらくなり、そしてあと少しで読了だったが、読むのを断念した。結局、何が言いたいのか理解できなかった。
0255文字
石井千湖
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「すばる」7月号に書評を寄せています。
0255文字
ishida
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なんだかキツネにつままれたような気分
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なりぶぅ
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何ていうか疲れました。他の方々の感想を読んで、よくそこまで噛み砕けるなぁと感心しました。私は最後まで頭の中に靄がかかったような感じでスッキリしませんでした。何度か読み返せば少しは理解できるようになるかな?
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chiro
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シンギュラリティの話はひと段落したかの様にAIが人間の生活にどういうスタンスで介在してくるのかについてもひと頃の様に活発に話がされることがなくなったのはそれなりにAIが生活の中に少しづつ浸透してきたことでリアリティを持って感じることができ始めて来たこととも関係しているのだと思う。Facebookが社名をMetaに変え、メタバースがそれなりに具体的になって来た裏には現実世界の限界が露見して来たことにあるのだと思うがそうした背景を感じさせる物語であった。
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色々甚平
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一見やり手のビジネスウーマンだが倫理的な一面を欠落してしまっている。結果得た金はたんまりあるが、何かやりたいことは何一つない。様々な人物と出会うが、それでも全員一貫して虚しさが漂う。それらは主人公と同じ状況にある人たちが多くいて、類は類を呼んでいる。金を使いまくるユーチューバーがネットフリックスに移り変わるが自我が崩壊していく様は、主人公たちと同一になっていく姿を描いていて感情を理解できておらず痛々しい。シリアスよりも馬鹿馬鹿しさと自覚のない孤独が混同している。
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bigdad
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☆☆☆☆☆
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たま
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遠くに。ずっと遠くに。という感覚は子供の頃から持つ感情。言の葉に真実が乗り、それらの織りなす様は違う世界で。「世界の本質は虚無ですからな。それを支えるためには強い思い込みが必要なんです。」
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めぐ
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タイトルが主張しなさすぎる異様な装丁に興味を惹かれ読み始めた。果たしてハイスペックな彼等は世界を支えたり行く末を左右したりする特別な存在であったのか、誇大妄想集団かロールプレイングの一貫か最後まで分からない。行先が目を付けられたのはきっと飛行機で隣に来た運命担当に境遇を語った時だと思うが。違うぜ系男子というのは秀逸な表現だよね、私の周りにも昔から多いタイプだ。サステナビリティって近年多様される言葉だけどピンと来ないな。どこに居ても脳に閉じ込められているだなんて改めて意識すると何だか閉塞感があって嫌だね
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練りようかん
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ネタバレ田中かえさんの装画がかわいくて、表紙の段階で引力なんてどっかにいっちゃってる妙なモードのまま読み始めた。若くして富を得た主人公は大きく踏み外すこともなく、その心にどんな風が吹いているのか。突き抜けたものが成立するのは2つまでという説はダイレクトで興味深く、展開による分岐を予感させた。「セロトニン~」や「~男子」などネーミングに笑いながら彼らの立ち回りに引きつけられ、時も実体も超越したお馴染みの世界観が楽しく気づけばラストまで。実験とは会とは。暗闇に落ちて光に消えていくフワッとした読後感が良かった。
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はるう
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献本でいただきました。荒唐無稽なお話に読めるのだけれど、何故かリアリティに溢れてもいる。私も人間からはみ出したい。
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鳥の巣
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ネタバレAlexa、クラスター、濃厚接触。最新の現代語を散りばめながら時代は古代の始皇帝から文明のない世界まで遡らせて、座標というからにはx軸が時間でy軸は空間、塔が伸びた先の宇宙は火星(=マーズ)の彼方で穴を掘った奥の地底は核(=マントル)の中心。金融経済と博打遊戯、運命を司る神の大局観と効率を重んじる人の再生産、その間で出口を求めてはみ出るUEH(未確認生存人間)。結論となる終着地点は《肉の海》か《脳の空》という座標の両極で、いずれどちらにも寄りきらぬ「引力の欠落」。
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maqiso
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ネタバレクラスターの世間から外れてはいるがまっすぐな生き方と、それ以外の行き詰まった境遇が面白い。1つにまとまろうとはしていないが、世界観が謎なまま終わった。
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