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幽玄の絵師 (新潮文庫)

感想・レビュー
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くりっちぃ☆
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皆に見えない不思議を見られる光信は足利義政お抱えの絵師。 政治から遠い存在だからこそ、フラットにいろいろな物が見える光信。御所の中で起きる不思議を解決することで、義政の信頼を得ていくが、政に興味のない義政の危うさも日に日に感じる。 室町時代の話はあまり馴染みがなく、またつかみ所のない登場人物だらけで、終始霧の中を歩く如くの読書だった。 まだこれからと言う形のラストだが、応仁の乱の前年で終わっているので明らかに不穏な展開になるのは自明の理だから、これはこれで次巻はなくても良いのかな。
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美登
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室町時代、義政の時代にお抱え絵師だった土佐光信が主人公の短編集。光信には妖異が見える。そのため、義政からも不可解な事件を任されて解決していく。義政がなぜ政治に興味を失ったかという理由が、ここでは説得力を持っている (実際にはありえないけど)。壺や梨の木と飲み明かしたり、霊の願を叶えたり、霊を苦しい恋から解放したりしつつ、民を顧みない義政のために絵を描くことへの葛藤も。好きだったのは幼少期の話。義教の殺めた持氏の息子たちや赤松家の少年との話が哀しい。『陰陽師』や『しゃばけ』のようで、とても好きな世界観。
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RIN
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主人公は妖異が見える異能の絵師土佐光信。これだけ読めば如何にも陰陽師の雅で仄暗い世界を想像するかもしれないが、この作品の舞台は将軍足利義政が統治していた室町時代。旱魃や長雨、更には地震、一歩御所を出れば病や飢えで亡くなった者たちの死体が無数に打ち捨てられ、地方では大名達が戦に明け暮れている。泥臭く血腥い地獄。将軍家は内輪の権力争いばかりで義政は既に民への関心がない。文章力も表現力も申し分ないのにただ気が滅入る。不穏で救いのない、人の世の何と浅ましきこと。時は応仁の乱前夜、人を不幸にするのは人だと鬼が笑う。
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Steppenwolf
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G土佐光信というあらざるものの見えるという絵師が足利義政とからむ短編集である.私がすきなのは影の段である.いわば付喪神の話である.嵐の段で光信幼少時に兄弟子に当たる人物と生き別れになっていたのを再会することになる.そこにある仕掛けがあり,それが故に連作として書き継ぐことができるようになった.本書の舞台は私の通い卒業した室町小学校の南側というところも気に入った要素である.続編も文庫で買えるので読みたいと思う.
0255文字
一五
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1話目からアンソロジーで読んでて ちょっとガッカリ。時の将軍足利義政は、世間を見ないし気儘。義政になにかと使われる 絵師土佐光信は平行的?な立場 考えの人で、その交わるような交わらないような所が面白いような…
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あいちょ。
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図書館。
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百杏
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室町時代の雅な貴族たちの暮らしぶりと貧困で底辺の生活を強いられている庶民たち。富と貧困、幸と不幸のコントラストが強いほど陽の光が作り出す影がより濃くなるように、日常に現れる妖も表に出てきやすいのでしょうか。人ならざるものやあまりに現実的ではない光景を目のあたりにしたら、自身が今佇んでいる場所が2,3℃下がってしまうような体感があると思います。 短編の中には薄ら寒くなるよりも何ともやり切れない切なさに同情してしまうお話もあります。時折手綱をキュッと引っ張られるような感覚で引き込まれます。
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はつばあば
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室町幕府・日野富子・応仁の乱の原因。この時代は大嫌いでほんと読むのに躊躇しました。人の想いがモノに取り付く・・この時代ですもの何があってもおかしくない。自分の感情のままに人を殺めるようになった足利氏・・それだけ天災・人災と祟られつづけて精神的に凹んでいたのでしょう。ここに登場する主人公土佐光信・・実在の絵師です!。どちらを向いても庶民の死体がゴロゴロやなんてねぇ。幽玄とはなんぞやと言いたくなります。ですがこの光信さん百鬼夜行絵巻を描いたと伝えられているくらいですから、妖も視えたのかも。そして義政さんは
はつばあば

妖って・・akoさんこの時代、全て妖で片付けられてなかったでしょうか。この本と「狂花一輪」、絵の心得のある方ですから是非(^^♪

09/11 13:25
ako

(笑)たしかにそうですね!

09/11 20:05
11件のコメントを全て見る
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ゆきんこ
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室町と言えば、金閣寺、銀閣寺、そして応仁の乱のイメージが強く、実際はどのような時代だったのかあまり知らなかったな、と読みながらつくづく思った。混沌とした世の中と、人の心を依代に現れる妖が織り成す、恐ろしくも美しく、どこか物悲しさが漂う連作短編集。中でも「鳥」「嵐」の章が印象に残る。…物語の終わりが、これからの争乱を物語っているのが、何とも言えない後味を残す。
0255文字
オノなコマキ
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ネタバレ初読み作家。本屋で裏表紙のあらすじを読んで食いつき!衝動的に買ってみた。てっきり陰陽師みたいにサラリと読めるかと思いきや、めちゃくちゃ苦戦!室町時代を舞台に、実在する将軍の名前が出てくるや否や!?なんだろう、この拒否感!笑 改めて私って日本史苦手だわ。笑 でも内容はめちゃくちゃ面白くて私好み。幻想的でロマンティック、そして物悲しさが漂う。特に池に現れる鏡の妖の話が切ない。幼い頃に起こった事件によって兄弟子である於菟也との再会が切ない。結末が、ちょっとだけ?尻切れ蜻蛉で終わった感じがしたのが残念だったが…。
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かめゆき3
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三好作品はどれも優しさの中に芯があって好きです。でもこの作品は作風が全然違っていて驚きました。 室町幕府は良く知らなかったので史実を確認しつつ、読みました。陰陽師ぽいですよね。私は嵐の段が好きです。
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エドワード
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中世が近世と異なるのは、人ならざるものが世を自在に彷徨っていたことだ。室町時代中期。赤松満祐の子、於菟也と共に絵を学ぶ少年、真魚。将軍・足利義教が赤松満祐に殺され、於菟也は右腕を斬られて放逐される。やがて真魚は足利義政に仕える御用絵師・土佐光信となる。いかなる政策も飢饉や戦を断つことが出来ない。諦観して屋敷の造営と作庭に逃避する義政。瓶子や扇の付喪神や妖童子が跋扈する都。人の思いにも、ものがとり憑き、光信の妻が鳴らした小鼓が応仁の乱を呼ぶ。全ては能楽のごとし。浅ましくも美しい時代を鮮やかに描く力作だ。
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よっち
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応仁の乱前夜、異能の絵師土佐光信が、将軍足利義政から都の人心を惑わす妖異の謎を解けと命じられる室町ミステリ。御所をさまよう血塗れの女、いわくつきの奇怪な「呪詛屏風」、影喰らいの正体、人の悲しみを喰らう石、そして将軍に取り憑いた童子…。室町時代の嘉吉の乱の頃を舞台に描かれていて、貴族が優雅な暮らしをする一方で、庶民が貧困にあえぐような時代背景も描かれていましたけど、そんな混沌とした時代だからこそ人の心を依代にして現れる妖がいて、そんな物語の結末はさらなる混乱に繋がりそうな雰囲気があって続きが気になります…。
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