形式:文庫
出版社:新潮社
形式:Kindle版
お前の指を、手を、腕を、胸を、頬を、瞼を、舌を、歯を、脚を愛着した。僕はお前に恋していた――。相手は、旧制中学の美しい後輩、清野少年。寄宿舎での赤裸々な関係と青春の懊悩を、若き日の日記や手紙を手がかりに、五十歳の川端は追想し、書き進めていく。互いにゆるしあった腕や唇、震えるような時間。嫉妬、反発、唐突に訪れた京都嵯峨での夏の別れ……。自分の心を「畸形」と書き、精神のひずみを自覚していた川端にとって、あの愛の日々は何だったのか。二度と会わなかった少年との愛惜の日々を一篇の小説に作品化させ、人生の寂寞を滲ませる。川端文学の知られざる名編。
あらすじ・内容をもっと見る
この機能をご利用になるには会員登録(無料)のうえ、ログインする必要があります。
会員登録すると読んだ本の管理や、感想・レビューの投稿などが行なえます