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イスラムがヨーロッパ世界を創造した 歴史に探る「共存の道」(光文社新書) (光文社新書 1199)

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Wolfgang
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イスラムは欧州との長い交易の歴史とともに、様々な技術・文化芸術のルーツであること、本来は暴力的な民族などではなく他宗教との宥和を是とし、知的で合理的な思考を受け継いできたことなどを余すことなく語っている。自分がイスラムについて何も知らなかったことを思い知る。ただ、イスラムを称える事例が豊富なだけに、なぜ現代のようなことになってしまったのか?に対して「偏ったナショナリズムとエゴイズム」の一言で片づけてしまうのは少し物足りない感じがした。他の書物も読み進め過去と現在をつなぎ合わせる自分なりの視点を持ちたい。
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メイジトップ
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イスラムのユダヤ・キリスト社会への寄与や、共存の例を豊富に掲載し、近代以前のイスラムの寛容具合を強調している。情報量こそ豊富だが、それぞれが有機的につながっているとは言い難い。人の営みという時間の流れからも離れて、共存の事例を個別に眺めているという感じで、現在からみた未来への展望を示しているかと言うと微妙。
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templecity
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イスラムと聞くと恐ろしいというイメージがあるが、実は欧州の文化もイスラムから取り入れられたところがある。十字軍の時代でも文化交流があった。地中海を通じてベネチアやフィレンツェは発展した。大航海時代になってスペインやポルトガルが外洋に出るようになってキリスト教が外に出ていったがイスラム圏の方が文化輸出という点では先駆者である。その後の欧米のイスラム圏の領土分割などがあって、おかしなことになったのもあるが、元は隣人も助けるという穏やかな宗教なのである。
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takao
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・ヨーロッパの発展はイスラム文明に依存
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skunk_c
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中世、特に12世紀(著者は12世紀ルネサンスと表現)の頃のヨーロッパにおけるイスラーム社会からの影響が大きかったかを中心に、近現代に至るまでのヨーロッパ文明に対するイスラームの関与をまとめている。著者の意識は反イスラーモフォビアにあるため、イスラーム側の対応には全く問題がなかったかのようにも読める部分があるが、世界史を学んできた者としては妥当な内容。むしろ日本の世界史教育が、如何に欧米からの「輸入」であったかを再確認した。現在高校で教えられている「歴史総合」が、その点全く改善されていないことに唖然とする。
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ta_chanko
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近現代になるまでは、ヨーロッパは文明の辺境地帯、イスラム文明と中華文明が世界の最先端地域だった。当然、イスラム経由でヨーロッパに伝えられた文物や技術も多い。特に、イスラム支配下にあったイベリア半島(アンダルシア)や、イスラムとの交流が盛んだったイタリアなどはイスラム文明の痕跡が色濃く残っている。イスラム世界では、ユダヤ教徒やキリスト教徒も当然のように共存していた。激しく対立する現代のほうが例外的。産業革命による西欧文明の急激な発展と、国民国家の成立によるナショナリズムの高揚などが原因か。
ta_chanko

閉鎖的・排他的な国家や文明は必ず行き詰まる。オープンで寛容な社会が未来を切り拓いていく。社会の分断がすすみ閉鎖的・排他的になりつつある現代世界において、次なる時代を創るのはいかなる国家・地域・勢力になるのか?

07/30 14:01
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Go Extreme
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ヨーロッパの食文化を豊かにしたムスリムたち: ワイン パエリアとクスクス 世界商業の発展に貢献したシルクロードとムスリムたち: イタリア北部と中部の都市国家 ヴェネツィア商人 黒海 ヨーロッパ社会に貢献したイスラム文化と十字軍が紹介したイスラム文明: イスラム建設 十字軍国家 病院システム ガラス工芸 アンダルス―文化的寛容とイスラムの栄光 12世紀ルネサンスに影響を与えたイスラム ヨーロッパ近世とイスラム 現代地中海世界の共存 イスラム世界で活躍したユダヤ人 共存と愛を説いたイスラムの詩人・文学者たち
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設定温度
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イスラムがここまで現在のヨーロッパに影響を与えているとは思わなかった。教科書で世界史を学ぶ際に、ある程度の分野でイスラムがヨーロッパに影響を与えたという事実をよく目にするが、それ以上のものがヨーロッパにもたらされていた。この事実を知った上で、現在のイスラムとヨーロッパの関係性を考えると、少し奇妙に思える。
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スターライト
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学校教育の世界史はどうしても英米中心で、それ以外の地域はいわば「付けたし」だったり、触れられずに終わってしまうことが多い気がする。イスラム教といえば「剣かコーランか貢納か」とイスラム兵が征服した民に迫り、野蛮な印象があった。本書ではイスラムが東方とヨーロッパをつなぐ架け橋となったことを、主に文化の面から明らかにしていく。もちろんそれだけにとどまらず、世界の商業的な発展も促進し、今の「イスラム・フォビア」が異常であることを浮き彫りにしている。イスラム、非イスラムとも求められるのは「寛容さ」ではなかろうか。
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さとうしん
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ヨーロッパ世界、イスラム世界、ユダヤ人の共存と交流の歴史。扱う時代が幅広く、それがバラバラに触れられるので読みにくいのが難点。個別のエピソードには興味深いものが多い。たとえば病院の制度はもともとムスリムの制度であったのが、十字軍遠征を通じてヨーロッパに取り入れられたのだという。現在の対立、相互不信の状況が歴史的に決して常態ではなかったことを示し、共存の重要性を説く。その認識・姿勢に大いに賛同したい。
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イスラムがヨーロッパ世界を創造した 歴史に探る「共存の道」(光文社新書) (光文社新書 1199)評価100感想・レビュー10