形式:単行本
出版社:岩波書店
形式:Kindle版
本書は未読ですが、レビュー後半の文章について考えさせられました。様々な場面で同様な事例に遭遇するような。
tamamiさん ありがとうございます。柄にもなくきつめのレビューを書いてしまいました。私も、最近いろいろな場面で遭遇している気がしています…自分が年を取ったというだけなのかも、と思うこともあります。
34ページに取り上げられた横浜市だが、TICADなど国際会議が開かれることもあり、排除はそこここに見られる。中区大通り公園のベンチは止まり木のようで、健常者でも休まらない。通行の妨げでも何でもないバス停の私設ベンチが市によって撤去され、代替が設置されない例もある。一見小ぎれいな町は、行政には好都合でも、弱者、ひいては市民にとって住みづらい町だ。
29頁。近隣住民の要望によって、公園にホームレスがいることが目障りだ、もしくは不安であるという課題に対し、なるほど排除ベンチは役立つ。ただし、それでホームレスがいなくなるわけではないから、社会問題の根本的な解決にはつながらない。だが、「ビッグイシュー」という路上の雑誌販売のシステムをつくることによって、ホームレスの収入源をつくり、自立を支援する試みは、広義の意味での社会デザインである。20頁。路上や公園をめぐる排除の動きは、可能性としてわたしたちの生存がかかっているという点で、わたしたち自身の問題なのだ。
48頁。隣接する公園の子どもの声がうるさいという苦情を受けて、ブランコやジャングルジムなどの遊具を撤去する事態もすでに発生している。実は公園においてストレッチやぶら下がりなど、高齢者向けの健康遊具が代わりに増えているという。まさにシルバー民主主義だ。そして「児童公園」は「街区公園」に変更され、ボール遊び禁止や大声を出さないなどの注意事項が増えている。日本の少子高齢化に伴い、公園のサービスを変えたとも言えるが、こうした対応は公共空間からの子ども排除ではないか。
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