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人と超人 (岩波文庫 赤 246-1)

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松本直哉
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ドン・ファンが現代に生きていたら、すべての既成の価値を否定して革命思想を標榜するジョン・タナーのような人物になっていただろうか。しかし、皮肉なことに、彼は思うように行動できず、アンに言い寄られて、最後には、彼が忌み嫌う結婚をさせられてしまう。彼女にマフラーで首を絞められる場面が象徴的で、伝説とは立場を逆転して、ドンナ・アンナがドン・ファンを誘惑するのである。現代において、ドン・ファンであることは喜劇的な道化になることを意味しているのだろうか。長くて複雑な劇だが、上演の動画を見ると三十秒ごとに笑いの渦。
松本直哉

劇中劇のような第3幕では、ドン・ファンと石像とドンナ・アンナと悪魔が、恩讐を忘れたのだろうか、地獄でなごやかに世間話をする。もとの伝説をひとひねりもふたひねりもしていて、一筋縄ではいかない。

07/03 13:40
0255文字
無能なガラス屋
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「お前は、貧乏がどんなものだか知らんのだよ。」「ええ、どんなもんだか知りたいんです。わたしは、一個の人間になりたいんです。」それぞれの魂が必要とする経験は当人にしかわからない。貧乏暮らしをしてみたいという一見奇妙な欲望だとしても、周りの人間が口出しするのは馬鹿げたことなのだ。お節介なのだ。
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のほほんなかえるさん
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このお芝居は英語(原文)でこそ楽しめるものではないだろうか。タナ―の信じれないほど膨大な台詞。これを翻訳劇の言葉として語りこなせる俳優が果たして日本にいるのだろうかなどと思いをはせた。ナショナルシアターライブ(NTL)で鑑賞したのを機に読み返してみた。本著の概説ではヒロイン・アン視点での解説がなされているが、NTLではタナ―視点で描かれる。そこに大きな違いを感じる。基本的にはラブコメディ。「ピグマリオン」にも通じる点が多々見られる、偏屈独自の価値観を持った登場人物たちが多様に入り組む傑作喜劇。
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Koichiro Minematsu
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革新家のタナーを追いつめ、結婚するアン。アンの生き方に「生の力」がある。創造力の盲動こそ人間私的なものではなく、全宇宙的目的であり、人が活発に「生の力」を働かせ超人でなければならない。精力的考えアン>革新的考えタナー>芸術肌オクタビアヌスの三角関係。宇宙の目的は、搾取の力。
0255文字
よう
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物語を楽しむ というよりかは、その時代背景や哲学論をなるほど…と読んで楽しむような感じでした。以前英文でも読んだのですが、かなり内容が難しく、日本語訳で読んでみました。が、日本語ですらかなり難しく、結局理解に時間がかかりました…。というか、むしろちゃんと理解すらできてるのやら…。笑 勉強不足です。
0255文字
刳森伸一
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大まかに言えば、ファム・ファタール的なアンとそのアンに翻弄される二人の男を軸に、アンとは異なるタイプの女性ヴァイオレットなどで周囲を固めた群像劇といった感じだろうか。そこにニーチェ風の超人思想が加わるのだが、思想面については残念ながらよくわからなかった。いつか再読したい。
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とむ
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第三幕はよくわからないところがあるが、ここを理解すると本編の見方もかわるのであろうか?タナーがドンファン、メンドウザが悪魔その他うんぬん。タイトルの「超人」はニーチェの思想のUbermenschのことらしいので、革命家のタナーが「超人」ということであり、タナーをかくまで追いかけるアンは生の力を象徴するものであると。彼らのような2人が結ばれることで、人類やら社会というものが進化していくということだろうか。途中、時間が空いてしまったのでなんとも。
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壱萬参仟縁
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タナーは、「ほんとうの芸術家というものは、 妻を飢えさせ、子供をはだしにし、 七十になる母親に、生活の手助けをさせても、 自分の芸術以外のことは、何一つしない」(48頁)。 それだけ、作品に全身全霊打ち込む者、 覚悟がちがうのだ。 取柄なしで養育院に行くが、骨折りなく、 いい物を食べ、いい着物を着、いい家に住む ことができる(132頁、第三幕開幕)。 T.ヴェブレンの見せびらかしの消費を思う。 結婚とは制度のうちで、最も放縦(気まま、212頁)。
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nuno
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難しい本かと思いきや、思い通りに行動する女アンが、女性崇拝のティビーを振って、その友人で革命家ジャックと結婚する戯曲です。結婚は男の墓場というジャックが、アンから逃げながらも、演説します。演説が長い。英国らしい皮肉が効いたセリフがいいです。ひねくれてるな。
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