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やみ窓 (角川ホラー文庫)

感想・レビュー
41

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銀華
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駅から離れた団地で無為に過ごすバツイチ三十代女性の心拠り所は夜の取引、次元が交わった窓から現世では手に入らない香木や反物などをペットボトルで取引する日々、取引相手は訛りの強い農民のような人々でーーこれだけ述べても可もなく不可もない話なのに、著者の文章が官能的で陶酔感をもたらす。現世と窓の向こう側である異界(あるいは過去)の境界があやふやになっていくように。畏れられ崇められ祈られるうちに、あまりいい人とも云えない女性の心が、普遍な人間から徐々に神、山姥、沼主と云ったモノに変異していくのが魅せられる。
0255文字
オルツィ
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もしこの窓が異世界に通じていたら。そんなありきたりな空想をリアリティのある物語に落とし込んだ四編から成るオムニバス。過去の人々からの捧げ物と交換するのは何と空のペットボトル。そして得た肝や黒米はネットで販売。こうして書くとユーモラスだが、元夫の存在や淡々と綴られる文章のせいで、真綿で締められているようなじんわりとした怖さが続く。秋にぴったりの一冊でした。
0255文字
オフィーリア
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何処にでもいるような女性が異界との交流を経て神と崇め奉られる中、徐々に神性を得たかのように引き込まれていく様子にゾクゾクが止まらない。窓一つを介した異界との交流を描いた夜はじっとりと幻想的でただただ美しい。本作もその世界観、その文章を堪能させて頂きました。
0255文字
JACK
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◯ バツイチで30代の柚子は古びた団地に一人で住んでいる。生きる気力もなく、昼間はアルバイトで働き、毎日を無為に過ごしていた。そんな彼女の唯一の拠り所は「夜の取り引き」。彼女の部屋の窓を叩く深夜の訪問者。窓を開けると汚れた姿の者が訛の強い耳慣れない言葉で語りかけてくる。彼らは現世では手に入らないものを手に、取り引きを持ち掛けてくるのだった…。不気味な描写が続く和製土着ホラー。話が急に飛んで読みにくいところがあるのが難点。かなりグロテスクなシーンもあるので読む人を選ぶ作品だと思います。
0255文字
紺
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ものすごく好き。平凡な女が魔性を秘めていくのめちゃくちゃエロい。読み終わるの嫌で最終章だけ三日寝かせて耐え切れずに読んだ。本当にすき。
0255文字
読書遍歴備忘録
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ホラー文庫ではあるもののある種の幻想小説かと。主人公が割と嫌な人間ではあるのですがあくまで常識的なタイプではあるからこそ怪異(異界)との交流、そしてそれがもたらす変化がじわりと日常を侵食するようで面白いです。
0255文字
沙智
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異界と繋がる窓の向こうとの不思議な取り引き…いうシンプルなプロットだけど、蠱惑的な美しさに満ちた異界の描写があまりにも素晴らしくて浸るように読んだ。艶かしくも鮮やかな夜の香りに恍惚感を覚える。基本的に幻想小説として楽しんだけど、窓の外のものが理外の存在であることを見せつけられるような「やみ児」はホラーとしてのアクセントが効いていて良かった。無味乾燥で倦んだ空気感の日常の風景でも著者の筆力の高さを感じられる。
0255文字
クラゲ
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闇の世界につながった不思議な窓。「透明な壺」を対価に、闇の商品を取引する女。現実世界で生きる術を手放すのは良くないからとパートは続けるものの、闇の商品を使うことからも逃れられない彼女は、今後どう生きていくんだろうか?
0255文字
MADAKI
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不思議な味わいの異界交流譚。シーンは主人公のマンションの窓辺と、勤め先のコールセンター程度のものなので、舞台とかにしたら面白そうだなと感じた。
0255文字
満michiru
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団地の古い窓越しに異界と現実が交わる仄暗いファンタジー。篠さんの自然の描写がとても好きです。日常と非日常の境界が徐々に曖昧になっていき、最後の章で異界の視点から読むことで異界側に惹かれてしまいました。
0255文字
佐倉
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マンションの窓が異界(恐らくは過去)と繋がり、住人の柚子は異界の民から窓越しに“かみさん”と崇められる。ペットボトルなどと引き換えに織物や熊の肝、絶滅した植物などといった代物を受け取ってはネットで売り捌く柚子たが…という幻想怪奇短編集。現実にいながら異界のことを思い、どんどんとあちらの世界へと惹かれて行き、現実で受けた言葉と共に立ち位置がグラグラ揺れて、やがては境界線上の存在=山姥と自己認識していく主人公の様子が丁寧に描かれる。竜宮童子の話のような異界との交換と強欲による没落をなぞっているのだが、こうした
佐倉

説話での異界側(竜宮のような上位側)の存在として現代と主人公を置いているのが新鮮だった。

03/05 12:29
0255文字
YSHR1980
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むせ返るような官能と血のにおい。上品で湿度の高いホラーを堪能しました。
0255文字
ねこ
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一晩中訪れる者を待つため日中は仕事中もぼんやりし会話もまともに受け答えせず…そんな主人公にイラつきはするが、異世界?過去?と繋がって取引する生活に魅力を感じもする。異常な義母に仕返しするくだりはちょっと勧善懲悪的な爽快感もある。
0255文字
ぽすこ
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独特な世界観。怖さはあまり感じられないが、じっとり気持ちの悪い雰囲気。
0255文字
Myrte
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ネタバレとても面白かった。恒川光太郎風とおすすめされて読んだが確かにそんな気配がした。異界につながる窓で取引する30代の女。だんだんどうなっていくかが恐ろしいが、最後の「洞の灯り」のおかげで読後感が良かった。・文庫版あらすじにあるエロスは皆無・一遍書下ろしあり・表紙の童女?が30代には見えないためミスマッチで残念
0255文字
ドアラ竜の壁
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団地窓の向こうから来る者と闇取り引きをする不思議な話。熊肝、香木、反物あたりは良いが間引きされた赤子は頂けない。柚子の変わっていく様が良い。
0255文字
dsk
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ネタバレ 千代さんの田舎の話、派遣先で同僚たちとプラセンタのことを話していたときの様子。 はっきりとした結末が書かれてはいないのでモヤモヤするけどいろいろ想像してしまう。
0255文字
まぶりな
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文庫化にあたり、書き下ろしの「やみ花」が加わったことによって、柚子の印象がかなり変わった。異界の者達に神と崇められる内に、彼女の内面が変化したのだろうか。面白かった。また読み返すと思う。
0255文字
spica
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ネタバレ初読み作家だがかなりいいのでは。最初は団地の窓外の変容がよくわからずに戸惑ったが、仕組みを理解してからは取引にハラハラし、しだいに柚子を応援したくなってくる。ちょっとはみだしていたり、踏み外したりするとすぐ襲ってくる現代社会の生きづらさと、窓外の世界の常識の違い。それらをはかりにかけ、揺らぎ、笑う柚子は痛々しく、共感も抱く。きっとこの闇取引はずっと続き、歴史の織物はぐるぐるねじれるのだろう。
0255文字
ササキアンヨ
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ネタバレ抜群に面白かった。柚子の窓は過去と繋がる。反物のくだりがとても良かった。おばあさんから語られる昔の話が主人公にとっては未来の話になるという構造も素晴らしい。
0255文字
くろねこ
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ネタバレ【※ネタバレ注意‼︎】あらすじをよく見ずに買ったので、購入後に背表紙を読んで「エロス要素いらんなぁ…」って思ったけど全然入ってなかった。どこにあったのエロス😂 窓の外に現れる異界のものとの取引きの始まりからは予想のつかない姑バトルラストで、意外性もあってよかったなー。。
0255文字
あみやま
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ネタバレ読後の「……そっかぁ」っていう、個人的には好きな虚無感を味わえた。最後のお話が一番好き。
0255文字
ぷっぷくぴー
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主人公が羨ましい…。そう感じてしまうほどに魅力的で妖しげな闇の取引。現世がこれほど生きにくいのならば、闇の向こうへと引き摺り込まれるのも無理はない。自分なら窓を越えてしまいそう。でも、物語はあくまでも両者一線を引き、相容れない、得体のしれない向こう側のモノとして成り立っている。なんとも危うい均衡が故に緊張感が生まれ、惹き込まれる。
0255文字
ノリスケ
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じっとり恐い。好き。
0255文字
灰猫
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ネタバレうまくいかない夫婦生活から、夫を未必の故意で殺してしまった柚子が、窓の外の世界(昔のどこかの村?)から神としてあがめられるという話。胎児とかグロい描写もある。派遣業とか、描写が妙にリアルだった。義母からおいまわされるがこちらも正気ではなかった。千代は何者だったのだろう? 柚子を崇めていた村の出身なのだろうが、思ったより話にからまかった感じ。最後、窓の外の村人の視点で語られるのもいい。柚子は千代から聞いた通り、ほんとに赤子を食うようになったようだが、最後は首を斬られるとあったが、そこまではなかった。
0255文字
Porco
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『やみ窓』のやみとはなんだろう。闇、病、暗、夜どれを当て嵌めてもとりあえずあまりよろしくないものであることはわかる。作品自体はエロスの土俗と銘打たれていたがエロスは足りないというか皆無であるためそこで頭を捻ったが、よくわからない相手との取引を通じてのトラブルを書いているかと思えば、現代でのどこか厭なある種常に薄暗さを感じる主人公の日常自体や精神性に怪談奇談っぽさを感じたりなど、読み進めているうちに日常と非日常の境が曖昧となっていくのはなかなか表現しづらい独特の不快感があり岩井志摩子作品のような読後感だった
0255文字
オスカー
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『やみ窓』の「やみ」は闇、病み、やみつきなのかなぁ。幻想とエロスの土俗ホラー短編集というカバーの言葉につられて買った1冊。エロス風味はあんまりなかった気がするけれど(グロさの方が多い?)ものすごくコワいわけではなく、なんとなく日常の中でふと思い出してザワザワするような感じ。主人公をウラミハラサデオクベキカ状態で粘着する元ダンナ(死亡)の母親の方が恐ろしい。元ダンナもチョイ役(笑)なのに腐ったヤローだと思う。「窓」って小さくても大きくてもあれば外が気になるし、外から見てもナカが気になる不思議な世界。
0255文字
のん☆
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初読み作家さん。他のかたのレビューで気になって購入。ある女性が、時代も場所も違う異界と窓を通じて人々と物々交換をする不思議なホラー。グロさはないんだけど土俗的な淡々とした怖さ、或いは本人ではどうする事も出来ない現実の哀しみを浮き彫りにする世界観は、レベルが高くてあっという間に頁の中に引き込まれてしまう。あんな頭可笑しい姑にまとわりつかれたら、そりゃまともな神経では生きてられないよね……。やはり、一番怖いのは欲望の尽きない人間たちだなぁ。平太とのやりとりの場面が好きだった。
0255文字
瀬古悠太
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自宅の窓辺が繋がるのは異界 今宵も柚子は異界の者との商いに興じる 異界の者たちとの取引を重ねるごとに少しずつ現実と異界との境目が霞んでいく柚子に恐怖せずにはいられない! 崇められることに愉悦を覚えていく柚子にとってどちらが現実なのか…
0255文字
うさぎちゃん
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現代が舞台のため、人喰観音とは違う湿度と怖さあり。人喰観音で篠さんにはまった自分は、本作の嫁姑の怖さが、異界のものより怖かったです。
0255文字
雨
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どことなく不思議で得体の知れない怖さを感じた。
0255文字
うなぎ
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ネタバレ何か賞を取って大絶賛と聞いたので購入した。この前読んだ『ばくうどの悪夢』に続いて、鬱展開で悲惨だった。読み終わった今も落ち込んでいる。夜の窓先に現れる取引相手の人々は多分東北のどこかの江戸時代頃の貧しい農民?主人公が彼らから神様と思われて、今の私たちにはゴミでも彼らからは喜ばれる意外なある物を物々交換で取引していく話。主人公の死んだモラハラ夫も元姑も悪意に塗れた人間だったけど、夜の窓の向こうで取引していた人々の生活と今より軽い命の扱いが酷過ぎた。機織りの少女と平太にゃ幸せになってほしかったよ…😭
0255文字
眠る山猫屋
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実は恒川光太郎さんの『夜市』をイメージしていたのだけれど、勿論ちょっと違った物語にのめり込んだ。人として終わってる(実際死んでるが)夫とその母から隠れるように生きている柚子。彼女が棲む古びた団地の一室、その窓には深夜になると“取引”を望む異界の者が訪れる。この異界の正体は存外早く明かされるが、それでも窓の向こうから流れ込む夜霧の空気感にはゾクゾクさせられた。亡夫との過去や義母の嫌がらせ、柚子を裏切ろうとした異界の村の末路は強烈だが、死んだように生きる柚子を(ある意味)鍛えていたのだろうなぁ。 (続)
mirai.R 

文庫のみだと思われます!

11/23 22:08
眠る山猫屋

mirai Rさんにお薦めされていた作家さん、ようやく手をつけました。凄く好みです!

11/23 22:12
3件のコメントを全て見る
0255文字
一乃
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ひっそりと日々を暮らす柚子の部屋の窓は、夜になると此処とは異なる場所とつながりを持つ。取引相手は第一印象こそ素朴な昔話の登場人物のようではあるが、決して純朴なだけではなく、柚子を裏切る事もある。しかし、何があっても夜に窓を叩く音を待ち望み、その向こうの闇に安らぎを覚えてしまう柚子が、ひどく羨ましく思えてしまうのだった。とても好きな一冊。
のん☆

読みたくなりました!ポチらせてもらいます🍀✨

11/27 15:39
0255文字
火冬
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【評価:大満足/媒体:電子】夜毎、古びた団地の窓越しに行われる異界の者たちとの闇の取り引き。もし、自室の窓が異界に通じていたら…と想像すると、ほんの少しの恐怖と、それを上回る好奇心を抱かずにはいられない。初読みの作家さんでしたがすっかりハマりました。
0255文字
toriaez
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ネタバレ海千山千、「生き抜いた」怪異というイメージの強い山姥。だがこの小説の山姥は「生きにくい」女の成れの果て。主人公の柚子は、夫を事故で亡くしたことで義実家との関係が悪化し、居場所を失っただけの凡庸な人物だ。だからこそ、異界に繋がる夜の窓を通じて、彼女が徐々に変貌していく様は恐ろしい。窓越しに神と勘違いされた彼女は、初めは供物を転売して活計にしていたのだが、やがて崇められる万能感に、灰色の現実よりも芳醇な闇に酔い始める。ついには民を家畜扱いし、この世ならざる力をもって邪魔者を消す。魔はどんな人にも宿りうるのか。
0255文字
もりしー
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ネタバレじわっとした雰囲気で、読ませる。義母を殺してから、彼女はどんな生活を送ったのだろう、と思わずにはいられませんでした。
0255文字
はいね
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不思議なおはなし。現実はリアルで、闇の方は陰鬱で結構エぐい…。現実と暗闇の世界…自分も「どこの者?」したいなと思いました!!
0255文字
keigo
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昨年読んだ同じ作者による『月の淀む処』にも通じる主人公像。そして日常がゆっくりと異界と通じていく不気味な展開。異質なものが日常に侵食してくる恐怖は読んでいてゾクゾクする。こういう派手ではないが怖いホラーは大好物だ。
0255文字
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