形式:文庫
出版社:KADOKAWA
この事件に巻き込まれた側の苦しさ、そしてこの事件を発端した者の心の叫びがひしひしと伝わってくるようで心が抉られるばかり。緑雨は軍人としての自分の在り方に誇りを持ちつつも、裁かれたかったんだろうな……と思いを馳せる。人を選びそうな容赦のないえげつなさのある、歴史小説よりのTL作品ですが、読了後も後を引くような考えさせられるような博識な物語でした。
昭和史に残る重大事件「二・二六事件」がベースというのも面白く、クライマックスのヒーローと敵方との攻防の臨場感にハラハラし通しだった。兄の仇であるヒーローに心惹かれていくヒロインと、自分を殺そうとしているヒロインに心許していくヒーロー。二人の想いが重なり、ただの男女として愛し合いたいと願いながらも何処か緊張感の漂うRシーンが特にお気に入り。挿絵が美麗かつ重厚感もあり、眼福の一言。
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