形式:単行本(ソフトカバー)
出版社:ホビージャパン
形式:Kindle版
そのため、アメリカ側はすぐさま動くようにしなければいけない。逆に、湾岸戦争のように1990年8月2日の始まり、5日後の8月7日に派兵を決定。しかし、先端が開かれたのは1991年1月17日。2月24日に地上部隊が進行を開始し、28日に地上作戦が終了する。約5ヵ月もかけて作戦を準備し、1ヶ月以上も航空攻撃を続けてから、地上部隊の進行を開始して、5日間で作戦を終えているのだが、こんなに遅くてはダメという訳だ。
ここから個人的な感想。二つ面白い点があった。一つ目は、不謹慎だが、戦争というスポーツに勝つためにはどうしたらよいかというノウハウ的な面白さがあった。二つ目は、最後の「マルチドメイン・オペレーションズ」における「競争・紛争・競争回帰」のサイクル。「戦争/平和」の二元論がグラデーションのように溶けたこの世界観だと、完全な戦争もなければ完全な平和もなく、常に世界は“戦争状態”になる。「工作員が分断戦略をしている」と言う参政党・神谷宗幣を馬鹿にしていたが、彼の世界観だとこうなのかもしれない。
ウクライナ危機におけるハイブリッド戦争の成果を踏まえてエアランド・バトルをマルチドメイン(陸海空+電磁波+宇宙+サイバー空間+認知)にまで拡張したのがマルチドメイン・オペレーションズ。認知が戦場の一つになっているのが目を引く。もちろんプロパガンダの必要性なんてのはラジオの時代から言われていることだが、それを軍事領域に戦術、作戦として組み込むのが面白い。「西側陣営は汚い手段を使えない」という話は、そもそも汚い手段の判断基準を握っているのが西側の認知戦における強大な武器だよなあ、とも思う。
こう並べてみるとエアランド・バトル(湾岸戦争=冷戦最終局面)からハイブリッド戦争(ウクライナ危機=現代の新冷戦)まで時間が飛んでおり、非国家主体によるテロだの非対称戦争だのは正しくオワコンになったことが分かる。まあ強大な軍事国家によるテロの方が民間のテロ組織の100倍怖い、という話になればねえ。この先はどうなっていくのだろうか。
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そのため、アメリカ側はすぐさま動くようにしなければいけない。逆に、湾岸戦争のように1990年8月2日の始まり、5日後の8月7日に派兵を決定。しかし、先端が開かれたのは1991年1月17日。2月24日に地上部隊が進行を開始し、28日に地上作戦が終了する。約5ヵ月もかけて作戦を準備し、1ヶ月以上も航空攻撃を続けてから、地上部隊の進行を開始して、5日間で作戦を終えているのだが、こんなに遅くてはダメという訳だ。
ここから個人的な感想。二つ面白い点があった。一つ目は、不謹慎だが、戦争というスポーツに勝つためにはどうしたらよいかというノウハウ的な面白さがあった。二つ目は、最後の「マルチドメイン・オペレーションズ」における「競争・紛争・競争回帰」のサイクル。「戦争/平和」の二元論がグラデーションのように溶けたこの世界観だと、完全な戦争もなければ完全な平和もなく、常に世界は“戦争状態”になる。「工作員が分断戦略をしている」と言う参政党・神谷宗幣を馬鹿にしていたが、彼の世界観だとこうなのかもしれない。