したがって、現代人に伝統宗教やそれらに救いを求める人々を中傷する権利など無いに等しい。 それに、進化論を始めとする自然科学の世界でも、近年はロビン・ダンバーやジョナサン・ハイト、フランス・ドゥ・ヴァールやナシーム・ニコラス・タレブらの様な進化論研究者によって、宗教のポジティブな影響が研究で示されており、宗教から学べることは未だに多い。 特に個人の善意では、共感や支持を得られる弱者とそうでない弱者による格差が生まれるという「かわいそう」ランキングの問題の解決などは、伝統宗教から取り入れられる要素が沢山ある。
僕個人としても、沼田さんの苦しみと比べれば遠く及ばないけれど、沼田さんと境遇がかなり似通っていて、読んでいて他人事とは思えなかった。 僕自身は特に信仰があるわけではないが、浄土真宗やキリスト教の経典を昔から好んで読み耽り、その中の言葉や考え方には癒され、現在の自分の価値観の根底にも深く織り込まれている。 また、僕も著者と同じ様な疾患を抱えて周囲の人々に迷惑をかけ、今なお支えられる立場にあるので、ここまで何もかも告白されている姿勢に強く心を動かされた。
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