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中野正彦の昭和九十二年

感想・レビュー
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耄碌先生
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★★★★☆89点
0255文字
arnie ozawa
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安倍晋三の暗殺を予告した、なんていうことやネット炎上を起点とする回収(それにより入手できない本になったが)などの話題よりも、この異常な世界観と個人の日記という形態を取ることによる現実と意識の乖離(ところどころに現れる綻びが怖い)に惹かれる。しかし、これを差別を理由に訴えた出版社社員には、出版社で働きながら表現とは、フィクションとはということに思い至らない愚かさに絶望させられる。
0255文字
yoshi
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Mr.Hiyoko
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一読してどう読んでも書店から消す理由のなかった本というのはわかる。しかしてこの本がむしろ左派の側から消されたということは象徴的で考えるべきことがあるような気がする。というのも、この本、小説としては全然つまらんのだ。確かに取り扱っているテーマは大江のセブンティーンや中上的なテロ小説の系譜ではあるのだが、まったくその深みがないというか。端的に「浅い」。もちろん読者は安倍政権に対しては批判的だし、うんざりするような差別を激しく軽蔑することはこの小説とともに全く同意することだろうと思う。
Mr.Hiyoko

もちろん自分も自民党政権の虚偽や異邦人たちへの差別に対する途方もない嫌気には同意する。だが、それだけだ。ここにはそれしかない。そして小説は本当にそれだけでいいのか。本当に問題はそんな簡単なことなのか。むしろそれは一見自民党や差別を憎む私たちの中にすらあるものこそが最も難しくて厄介なものではないのか。この小説を読んでも自分は自分の中にある自分ではない「相手」への軽蔑や憎しみ、それらに対するくだらない感情が確認されただけだった。

09/19 00:01
Mr.Hiyoko

読む前と読んだ後で自分はなにも変わらなかった。それこそこの小説で愚かな人間として描かれた語り手となにも変わらないのではないか。この小説は中野正彦を徹底的に愚かしい「他人事」だと思っている。書き手が本当に描きたかったことは中野正彦は自分たちだということではないのか。いや皮肉なことにそれは成功している。中野正彦は中野正彦にとって他人事なのだ。だから中野正彦を他人事だと思う作者も読み手である僕らも「中野正彦」なのだ。そしてこの本はそうした私たち「中野正彦」によってこの社会から葬られたのだろう。

09/19 00:05
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Tom
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発売前に回収されてしまった本。実在の人物名をあれだけだしてあんだけのことを書いたらそりゃ回収も止むなしか。帯に※一切関係ありません、と書いたってねえ。しかしべらぼうに面白い。安倍晋三を「お父様」と慕うネトウヨをこじらせた若者による日記の体をとっており、舞台は2017年の日本。2017年といえば森友学園問題。安倍政権の腐臭が最もキツかった時期だ。いま読むと安倍をはじめ石原慎太郎など鬼籍に入っている人物が多い。基本実在の人物なんだけどたまに架空人物もいて「誰だっけ?」ってなってややこしい。
Tom

しかしこの小説の主人公はいわゆる「ネトウヨ」とは違う。博識である。ネトウヨである時点でアホなので、アホなことは確かなのだが知識はある。ネトウヨはWILLやHanada、産経くらいしか読まないだろうし、映像はYoutubeが限界だろうが、主人公は映画や文学にも通じている。いや、だったらネトウヨならんだろーって思うがそこをツッコんだらお話にならないか?安倍政権持ち上げが過ぎて、「褒め殺しと見せかけた痛烈な皮肉」にしか見えない箇所がいくつかあった。終盤の展開は自分のなかでは賛否両論。悪くはないが。

03/19 02:09
Tom

正直、思ってたのと違った。もっとリアルなネトウヨの脳内が覗けると思っていた。まあ、ネトウヨの日記をやったら小説にならんのだろうけど。逆にこれのリベラル版もあったら面白いのではないかと思った。日本のリベラル陣営のアホさも深刻だからな。

03/19 02:15
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ふじこ
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安倍晋三元首相暗殺を予言した小説として回収されてしまった本作。安倍晋三元首相を「お父様」と慕う男性が残した日記。事実と妄想が混在した文章に頭の中を侵食されそうで恐ろしくなり、読み終えるまでに時間がかかってしまった。それでも止まることを知らない皮肉の端々に確かな樋口毅宏らしさを感じて嬉しくなる。この本が多くの人に届かない状況であることがとても歯がゆい。読み終えた今も、どうしてこの本が回収されなければならなかったのかわからずに暗闇の中でぐるぐるしている。本作は断じてヘイト本ではない。
0255文字
クサカベ ススム
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こんなディストピアにワタシたちは住んでいる!●ストーンローゼズ、グレート3、小沢健二の復活を予言した樋口さん、もしかしてこの中から予言が実現するかも。。●前作がポール・マッカートニーのファーストアルバムだとすると、本作はルー・リードのメタル・マシーン・ミュージック?※解説すると狂人にしか分からない音楽●民進党から希望党への流れはどの立場の人から見てもクレイジーだわ!●50才でこんなパンク(ノイズミュージック?)な小説を書けるのはホントすごい!●展開が中原昌也さんの小説に似ている。
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NAO.I
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発売前日になって出版社によって自主回収されてしまった本作。自分は某ネット書店に事前予約していたため、発売日に普通に手元に届き、読むことができた。革命家気取りの男の手記という体裁で、差別用語がわんさか。ゆえに読み手を選ぶかもしれないが。風刺、パロディ、ときどき下ネタ。樋口作品をずっと追っかけてきた者からしたら、究極のお家芸だな、と思った次第。決して差別やヘイトを煽っている作品ではないと思うし、著者本人もそんなコメントを出している。いやしかし、発売日前日に回収を決めるって。高額転売されてるって。切ないなぁ。
おかむら

うわぁコレ楽しみにしてたんだけど自主回収なのですかー…。幻の本になっちゃった…残念

12/29 11:22
NAO.I

おかむらさん。まさに「幻の本」といわれて、高額がついてます。自主回収も、転売も、残念。

12/29 12:05
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清 義明
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21世紀版の『セヴンティーン』『政治少年死す』(大江健三郎)ですね。 『十九歳の地図』(中上健次)にもつながる系譜の、テロ少年小説です。 主人公がネトウヨのディストピア小説なので差別用語満載。 読者を選ぶ内容だが、もちろん通底は反差別なのは間違いないので、そのへん議論を呼んでしまうかも。
0255文字
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