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コモンズのガバナンス―人びとの協働と制度の進化―

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壱萬参仟縁
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共的資源とは?(35頁~) common-pool resourcesとは、自然もしくは人工的な資源システムのうち、ある程度の規模を持ち、それがもたらす便益からある者を排除することが困難なもの(36頁)。資源システムと資源ユニット。組織とは、さまざまな行動を秩序付けるように変化し続ける。実行すべき行動の順序を定めることによって成り立っている(46頁)。日本の平野村、長池村、そして山中村:マッキーンは財産法沿革を概観。コモンズを統制する取り決め、監視の取り決めおよび制裁を論じている(79頁)。
壱萬参仟縁

複数の世帯からなる組がコモンズに関する収支計算や分配の単位として用いられることが多かった(80頁)。私は個人的に、閉鎖的な村社会、町内会というのは、離脱の自由を求めたい。渡る世間は鬼ばかりだよ。。制度選択の過程を理解するためには、過去の決定の上に現在の決定が成り立っている歴史的な過程として考えなければならない。他の選択肢を閉ざしてしまいかねない(248頁)。そのため経路依存的(注11、265頁)。人々は、損害をより重く見るし、目先の費用に大きな関心をもつようだ(254-5頁)。

12/24 09:30
壱萬参仟縁

近視眼的かもしれないが、田舎の第1次産業従事者にはありがちな傾向かもしれない。それだけ、厳しい社会状況ともいえよう。官僚の画一的なルールの押し付け(260頁)は、厳に慎むべきだろう。本書は、成功例のみならず、失敗例からも学んでいる。だからこそ、ノーベル経済学賞だろう。

12/24 09:31
0255文字
takao
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ふむ
0255文字
うえぽん
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女性初ノーベル経済学賞受賞者によるコモンズ共同管理の実証・理論に係る研究。日本の入会、フィリピンの水利、カナダの漁場など豊富な成功・失敗事例を基に、自律的な共的資源管理に関する分析枠組みを提示。最大で1.5万人という小規模集団に限定されるものの、日本の地域に根付いている入れ子状組織が組織化の費用低減に役立つとした点や、市場と政府のみに依拠する社会科学者の分析モデルは中央集権化を助長するとした点など、デジタル化・原子化が進む現代においても傾聴に値する。人口減少時代の資源管理にも有効な手法を模索すべきだろう。
0255文字
shin_ash
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リフキンの限界費用ゼロ社会に紹介されていたので読んでみた。内容的には「コモンズの悲劇」を回避する為の当事者による自律的なガバナンスに関する研究の解説で、原書は1990年初版の様である。約30年後の翻訳ではあるが現代でも十分通用する内容であり類書は少ない良書であると感じる。地球環境をはじめコモンズの劣化が強く意識される今日に置いて、地道にあるべき姿を模索するには必須であろう。一方、類書の少なさや翻訳にかかった時間を考えると、この様なテーマの提起自体が大変困難を伴うのであろう。また、明確に「コモンズ」とは言い
shin_ash

難いが、企業などの組織設計を考える上でも重要な視点を与えてくれている様に思う。むしろ環境や社会が破綻を迎えずに持続可能な価値を生み出すことを可能にする為の組織や組織化は今日ではホットな話題だろう。ESGは勿論、パーパス経営だとか人的資本経営だとかも組織のガバナンスをどう設計して持続可能性を確保しつつ価値を最大化かするのかが問いである様に思う。個人的には飛躍はあるが、社会的に好ましいスタンド・アローン・コンプレックスに対する組織化の設計指針である様な気がする。

02/19 17:15
0255文字
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