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amico
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北朝鮮の家族事情・社会事情を垣間見ることができる、とても貴重な作品。離婚するにも国の承認が必要だけれども、そこへ至るまでの心の動きは、どこの国でも変わらないんだなと、当たり前のことを改めて感じました。2人の離婚問題を担当する判事自身も他人事にあらず。面白かった、というよりは、よかったに近い読後感です。紹介してくれた読友さんに感謝。
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竹園和明
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北朝鮮の市井の一コマを描いた北朝鮮文学作品。これがとても繊細且つ情緒的で驚いた。北朝鮮は国の構成員たる夫婦が離婚するには裁判所の了承が必要だそうで、本作は若い夫婦の離婚調停を担当した判事が友として2人に寄り添いながら改心を促し、同時に己れの家庭を顧みる…という内容。一組の男女の純愛〜結婚〜夫婦仲が冷め離婚話に至るまでの様子は超リアル。2人に誠実に対応する判事だが、その判事自身がギクシャクしていた妻への感情を整理し感謝と想い語る場面は、まさに山あり谷ありの夫婦の、到達点の姿のようだった。やるね北朝鮮!
竹園和明

【追記】旋盤工のリ•ソクチュンと、同じく旋盤工として働きながら歌劇団の歌手として活動するチェ•スニとの純愛の様子は韓流ドラマと何ら変わらない。熱愛の末結婚したものの、豊かな暮らしより旋盤工としての技術向上に没頭する夫に対し不満を抱き始める妻の変化の描写が白眉。そして判事チョン•ジヌの、公平な判断から2人を夫婦として再生させようとする姿が印象的。それが同時にジヌの妻への気持ちや感情を整理する事につながるのだ。作品として素直に素晴らしいと思える作品だった。

09/05 05:58
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寄り道
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北朝鮮の作家による小説。日本での北朝鮮情報は西側目線でネガティブなものが多いが、庶民の生活や想いはどの様なものなのか。やや緊張しつつも興味を持って読み進めた。離婚訴訟に携わる判事が職を超え友として夫婦の関係を修復しながら、自らの夫婦関係をも内省するという、道徳的で美しいストーリー。この国の民は真摯で穢れがないように思えた。根底にあるのは国家。国家の発展を支える最小単位である家族を崩壊させない様に努力する姿を描いていた。これが北朝鮮の国民のリアルなのかは謎。内容的に優等生過ぎて違和感が残ったが...
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kei
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ネタバレ1988年に書かれた北朝鮮文学。日本で北朝鮮文学が出版されるのはとても珍しく、韓国で出版され、フランス、アメリカで翻訳されたため日本でも出版されることになったそう。若い夫婦の離婚相談をきっかけにその夫婦と相談を担当する判事がそれぞれの恋愛、結婚、家庭生活を顧みるという難しいことはなく日本はアジア圏ということもあり1980年代ということを考慮すると考え方に一定の理解もできる内容。優秀な妻、家事の負担、真面目な夫、ちょろまかす小悪党…市井の人々の暮らし、特に夫婦生活の悩みが日本とさほど変わらないんですよね。
kei

1980年代、女性も働く北朝鮮の家庭を維持することはハードだっただろうなぁと思います。洗濯は川でしてるし…。文章が抜群に綺麗です。党の理念などがなかったら単にハートフルな物語として捉えられたかも。

10/01 17:44
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blue_blue
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ネタバレ北朝鮮文学。聞きなれない“トンム”敬称にやや戸惑うが、描かれている夫婦間の亀裂は国家問わず普遍的なものであるのでするする読めた。離婚調停を依頼された判事がその職域を超え“友人”として夫婦の関係修復に奔走するという、そもそもがちょっとありえなくない?な話なのだが、夫婦どころか個人ですら“国”の一部であるから国家介入已無しという大前提に、読みながらキムの兄貴がチラついたり。小説として面白いかどうかではなく(その観点でいえば全然好みじゃないので)いま1988年の北朝鮮小説が訳されたことは非常にありがたいと思う。
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Yuzuki
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ℝ𝕖𝕡𝕠𝕣𝕥 ➫今現在も北朝鮮に暮らしている作家の作品、北朝鮮の人が読む北朝鮮の文学という紹介文に惹かれて読んだ。将軍様を讃える内容じゃなく、市井の人の普通の暮らしに起こった「離婚問題」を題材に拗れた夫婦の関係を当人達のため何より子どものために丁寧に解き再生させた主人公の判事の行動と心情を描くストーリーはとても温かかった。私が知る北朝鮮の様子は日本のメディアが報じる過激なものばかり。そこに暮らす人が毎日どんな暮らしをしてどんな仕事をしているのか…はっきり言って知らなかったので読んでいて興味深かった。
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金箔の紅茶
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88年の作品だが奇跡的に邦訳を経て現代に甦った。装画が素敵だからか意外に古臭くない。北朝鮮で離婚が不可能とされる理由が書かれている。同じ様に我が国でも国家が個人や家庭に介入する事に関して常に目を光らせねばならない。
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フランソワーズ
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北朝鮮の”体制側の作家”の道徳的小説。主人公チョン・ジヌ判事がある一件の離婚問題を扱う。最初こそ妻側に同情的であったが、夫を始めとした周辺の調査をするうちに、この夫婦の不和の本質的問題を看破。離婚という解決策ではなく、やり直しという道を選ばせるが、判事自らの冷め切った夫婦仲を改めて再生させることにも繋がる。北朝鮮にも私たちと同じような恋愛の喜び、結婚生活のうちに訪れる苦労といったものが描かれていますが、やはり一家庭、一個人がみな国家に従属した存在であるということを随所に感じられました。→
フランソワーズ

→多分に道徳的で、個人よりも国家。そこで生きてゆく国民にとってそれが幸福か否かは提起されていない。あくまでも諸外国の事情とは無関係である北朝鮮の現実を描いている(はたして体制側の作家であるだけに、体裁を取り繕ったものであるかも)。

05/14 14:25
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星落秋風五丈原
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北朝鮮って思想的な問題で自由に離婚もできないの?家庭が全ての基本という考え方はちょっと締め付けがすぎるな。
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真琴
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北朝鮮文学。離婚相談に訪れた歌唱団の歌手と機械工の夫。その相談を受けた裁判所判事と農産物の品質改良従事者の妻。この二組の夫婦(家族)を中心にした物語。1980年代の北朝鮮の地方都市の様子、工場や芸術団、家庭というものを窺い知ることができた。「国家承認を受けた作品」でありフランス、アメリカでも翻訳されていることでも貴重な作品だと思う。
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