形式:文庫
出版社:岩波書店
2/3) しかし,なによりも兆民と秋水の師弟関係が印象的.たとえば,「秋水」の名をもらい受ける際,兆民と秋水との間にこんなやり取りがあったという.兆民,秋水に,汝,義理明白に過ぐ,春藹を雅号するがよかろう.秋水答えて,我,甚だ朦朧を憎む.別の名を選む所を乞う.秋水笑って,では,秋水を用いよ.これは「春藹」の反対で,自分が若い頃使っていた号だ・・・(p.49, 大意).自分と似て「義理明白に過ぐ」秋水を危ぶみ,かつ愛した兆民の姿が目に浮かぶ.その危惧が的中してしまっただけに一層痛ましい.
3/3) 【余談】ある兆民伝にあった話.兆民たちが討幕方法を議論しているのを聞いた龍馬: 幕府は倒れる.だから,倒す方法を議論するのではなくて,夢でも見ないか.こんな日本になってほしいという夢をよ・・・.龍馬の魅力を彷彿とさせる逸話だが,本書にこの話はなかった.出典は何だろう?
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