形式:単行本
出版社:新潮社
形式:Kindle版
絵を追求していく過程で、彼には「ひとりで自然や無人の場所に出かけたり、森に行って数日帰ってこなかったり、プリミティブで野生的なものに直感的につながっていた」という行動があった。海で溺れ死んだのは、内から湧き上がる衝動的な行動の結果であったのか。絵を追究することと一体となって、命を終えてしまった。これは本人の生き方になるので、常識という枠ではとらえことができない。画家としては畏敬の対象となり、そして作品が遺さた。合掌。
ベルクソン関係の本を読んだ。精神と物質の二元論を乗り越えるイマージュ論。過去から未来に流れるものが今にぶつかる。メルロ・ポンティが、「第六感とは見えるものの輪郭線によって見えないものを感じる」そんなことを書いていたと思う。鈴木大拙は「浄土真宗とは今この目の前に浄土を見ることだ」と言っている。中園の「自分の中に外縁を作る」は同じだと思う。
中園は右脳とか小脳とか体で考えている。言葉は拙い故に実感があってよく理解できる。「身体を動かして忘我に近い状態へと辿り着こうとしていた」「絶対的なひとりにならなければ」妙好人と同じだ。親鸞が「本願は親鸞一人の為」といい、西田幾多郎が「述語にならない主語」といったもの。中園は見守る人として「ソウルメイト」を求めた、妙好人はそれを阿弥陀に見た。
本書には若くして瀬戸内の海で亡くなった彼を惜しむ友人たちの声が溢れている。彼の作品がこれからも人々に愛され、評価されることを望みたい。
相変わらず選定される本がすてきですね。
ありがとうございます(*^_^*) 図書館の新刊コーナーで掘り出し物を見つけています♪
この、バスキアノートみたいに、彼の考え方や姿勢が詰まったこの本は、私にはかけがえのない物となったし、彼が最期に観た、溺れ死ぬ前の香川県坂出市にある大崎ノ鼻も行ってみようと思った。天才ではあると思うんだけど、後世にも残る画家だと思う。カルト的人気になるような。絵だけじゃなくて、文章も描いていって欲しかった。昨年出版された、舞城王太郎さんの短篇七芒星のジャケットに、彼の絵が使われているのも良い。
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