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穏やかなゴースト 画家・中園孔二を追って

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towerofthesun
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「絵を描くことは、自分の中の何かを変えることで、遠くに行くということで、その後、帰ってくる必要があるのだけど、帰る場所というのは自分一人だけでは用意することのできない。誰か一人でも他人を必要として、浮び上がる場所があり、その場所があるということが絵を描く前ていとしてあるように思う。それが無く、遠くへ行った人はどうなるのか?」…25歳で死んだ画家・中園孔二(本名晃二)の評伝。膨大な作品やメモを残していたからこそ再現できた生涯だが、そうしたものを残していないだけで人はみな同じなのかもしれない。
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どんぐり
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25歳の若さで亡くなった夭折の画家・中園孔二の評伝。初出は『芸術新潮』の連載。中園孔二が遺した作品は、高校時代からの9年間で約600点、一部の作品は東京都現代美術館に所蔵されている。藝大の学生時代から天才といわれ、「中園が駆り立てられるように絵を描いているのが羨ましかった。藝大生のほとんどは、絵を描いているってことが自分のアイデンティティになっているのに、何を描けばいいのかわからない。それでも絵を続けるしかない。だから苦しむんです。でも中園は、描かざるを得ないから描いている」という証言がある。→
どんぐり

絵を追求していく過程で、彼には「ひとりで自然や無人の場所に出かけたり、森に行って数日帰ってこなかったり、プリミティブで野生的なものに直感的につながっていた」という行動があった。海で溺れ死んだのは、内から湧き上がる衝動的な行動の結果であったのか。絵を追究することと一体となって、命を終えてしまった。これは本人の生き方になるので、常識という枠ではとらえことができない。画家としては畏敬の対象となり、そして作品が遺さた。合掌。

01/09 22:51
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snow
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素晴らしく、没入した。彼の「生」に引き込まれた。 僭越ながら、何かが呼応したと思った。 出会えてよかった本。本当に。
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まめはち
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ネタバレ中園孔二君の作品と出逢ったのは東京都現代美術館のコレクション展でした。(今期は3点展示中)ご遺族からのご寄贈もあり初期から遺作まで揃う充実のコレクションぶり。うまいとか、へたとか、そういうことではなく、直感的に惹き付けられ、絵の隅々まで観ずにはいられない、そして、いつまでも忘れることができない、不思議なパワーを持つ作品たち。中園君のことをもっと知りたくて、美大浪人生が「中園ファンが聖書にしている本」として紹介してくれたのがこちらの本でした。中園君をより身近に感じられ、いっそう作品たちが愛おしくなりました。
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sayar
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昨年、丸亀まで中園孔二展を見に行った。知らない作家だったが、多分日曜美術館でビビッときたんだ。ちょうど行ったその日に、この著者の村岡さんによる担当学芸員との対談があって話を聞くことができた。そこで聞いた話もとても興味深かったけど、著作を読み、話はさわりだったんだなとわかった。その先には、さらに深い画家のストーリーが広がっていた。若くして亡くなってしまったことを神格化したくない、という友人の思いはよくわかる。でも彼を愛した多くの人の言葉を丁寧に集めれば、やはり特別だったことが見えてくる。作品の衝撃とともに。
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へへろ~本舗
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25歳で海で亡くなった、夭折の天才画家・中園孔二の評伝。天才は天才を知るとか言うが、普通の人はどこをみて天才と判断し認めるのだろうか?現代アートは分かりません。
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伏木
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NHKの番組で中園を知った。久しぶりにどきどきした。 昔は現代美術をよく見に行った。 近代の造形表現は単に表面の問題と考えるのが主流だった。 支持体と表面。 小学生のころ、「何年生?」と聞かれるのが不思議だった。 「見ればわかるだろ」と思っていた。今は全くわからない。 画家は私たちの見えないものを見ている。 今この時代に、こんな天使のような純粋な人がいたのだ、これは誇張でも何でもない、人の言葉が伝えているのではない、事実がそれを証明している。
伏木

ベルクソン関係の本を読んだ。精神と物質の二元論を乗り越えるイマージュ論。過去から未来に流れるものが今にぶつかる。メルロ・ポンティが、「第六感とは見えるものの輪郭線によって見えないものを感じる」そんなことを書いていたと思う。鈴木大拙は「浄土真宗とは今この目の前に浄土を見ることだ」と言っている。中園の「自分の中に外縁を作る」は同じだと思う。

05/28 19:26
伏木

中園は右脳とか小脳とか体で考えている。言葉は拙い故に実感があってよく理解できる。「身体を動かして忘我に近い状態へと辿り着こうとしていた」「絶対的なひとりにならなければ」妙好人と同じだ。親鸞が「本願は親鸞一人の為」といい、西田幾多郎が「述語にならない主語」といったもの。中園は見守る人として「ソウルメイト」を求めた、妙好人はそれを阿弥陀に見た。

05/28 19:27
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kawa
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2015年、25歳で事故死した早熟の画家・中園孔二さんの評伝。短期間に550点以上もの作品を残したと言う。本書にも12点の作品が口絵紹介される。「ダイレクトに伝(わ)ってこない美術はすきじゃない コンセプトや美術的教養のようなものをふまえた上でしか理解できない美術って、ぼくの中ではなんか違う。」と言う中園氏。残念ながら感性鈍い私は、本書を読んで作品にさらに親近感。補助輪付き自転車で20キロ彼方のランド・タワーに一人でいってしまったという氏。天才となる人間の衝動は幼くても異次元ということだろうか。
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kaoru
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夭折した天才画家・中園孔二の生涯を友人が綴った評伝。バスケに熱中する高校生が不意に絵を描くことに目覚め、藝大で天分を開花させる。誰にでも好かれながら「生と死のギリギリの辺りを歩いていた」彼は野宿したり電車のトンネルにはいったりという行為を続けながら爆発的に創作に打ち込んだ。音楽を愛し思索をノートに綴った彼の言葉に打たれる。「絵は、自分自身の片方である」「絵画は性質的に、うそのつくことのできない、純度の高い”優しさ”である」彼の絵はときに不穏であり、生きることへの不安や哀しみが現れているように感じられる。
kaoru

本書には若くして瀬戸内の海で亡くなった彼を惜しむ友人たちの声が溢れている。彼の作品がこれからも人々に愛され、評価されることを望みたい。

01/09 17:26
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くみん
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東京現代美術館リニューアルオープン当日に嬉々として出かけ出会った作家中園孔ニ。私の子どもと同世代であるこの作家はもうこの世にはいないのかと作品数点とともに強烈に目に焼きついた。とても優しくてナイーブで皆に愛される人生だったこと知り元旦の朝から優しい気持ちになる。2019年3月29日の私の写真フォルダに彼の作品が数点残されている。2024年1冊目。
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来条
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主には題名に惹かれ。三十代で夭折した画家のひととなりを、親交のあった人たちや本人のメモ(日記?)から描き出していく。冒頭に「今年は天才がいる」というフレーズを持ってきたところといい、そういう設定のルポルタージュ調の小説を読んでいるようだった。でも、折に現れる、友人たちの友人を喪ったことへの感情の吐露は、まだそれほどに時間が経っていないだけに、鮮明。あと、長生きした画家は自分の作品を整理する(から初期作品が処分されてしまったりする)、という話が残った。彼も、もっともっと生きていたらそうしていたのかも。
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八角屋
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その画力はうらやましいけれど、天才も大変だったんだなぁ。惜しいけれど、たしかに濃い人生だったのかも。
風地

相変わらず選定される本がすてきですね。

11/22 20:52
八角屋

ありがとうございます(*^_^*) 図書館の新刊コーナーで掘り出し物を見つけています♪

11/23 12:55
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heather
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武蔵美、多摩美、東京造形大落ちて、藝大現役合格ってすげえな…。この本は中園孔ニの光輝く短い人生をしっかりと記録している。が、作者による大幅な編集がなされているのも間違いなく、この本の存在を中園が喜ぶかどうかは微妙。そのため、読んでいる側も一抹の居心地の悪さ、罪悪感を覚える。ただ、彼の業績を忘却から救い出す役割は果たしていると思う。
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onepei
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展覧会の光景とよく結びついた
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チェアー
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印象に残ったのは筆者の誠実さだ。決して自分を消しているわけではない。自分の出し方がまっとうで違和感がないのだ。関係者にじっと話を聞き、自分の中に取り込み、わからないことを分からないまま残しておく。これが本来のあるべき書き手なのだと感じた。 「いま」が永遠に続く。それを常に通過し続ける私が見る。それは羨ましくもあり、残酷なことだ。
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にゃんちゅう
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彼の家族とちょっとした知り合いで、そこから9月の展覧会のことと、この本のことを知り、ほぼ一気読みした。彼自身の才能如何は私自身に才能がないので細かくはわからないが、私が絵を観に行く理由というのが明確になったような気がした。「その人の観た世界を観る」ということなのかなあと。初めて知ったことはたくさんあった。暗い絵を描く時の方が心が落ち着いているということや、「死」は彼にとって恐怖ではなく身近な存在だったいうこと。彼が亡くなって神格化されるなんてことはなく、彼自身の実力がこれから色んな人に発見されますように。
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チーキー
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「神格化して騒ぐなんて最悪」「描き続けなければいけない作家」/「絵というものには良い絵とか悪い絵とかなくて/忘れられないかどうかだけなんです」(長谷川祐子)/自分は心が落ち着いている時、色のない絵を描く。逆の時は、色のある絵を描く。色が見える、という機能は、食べられるものなのかどうか判断する為、だけでは説明しきれない量の情報を受けとっている。大きくなった精神をなだめる為、落ち着かせる為に人が獲得した機能なのだと思う。今、見えている色の量は、人の体が蓄積してきた、精神の不安の「対」であると感じた。
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mirei
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ネタバレ「天才というレッテルを引きはがす試みは失敗した」 著者はあえて、周囲の中園は天才との高い評価に懐疑的な目を向けつつ主に彼らへのインタビューによって中園という人物を浮き彫りにしていく。 一見穏やかで人に好かれるが、攻撃的暴力的な絵を描き一歩間違えれば命を失う危険と隣り合わせの日常を送る中園を、やや引いた目線で人となりや絵に対する思考の変化を紐解いていく様は静かで熱い。マグマのように湧き出る「誰かに自分を理解されたい」という熱情が、絵に力を与えるのか。収録されている絵の幾つかはその迫力に圧倒された。
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頭痛い子
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普段全く美術に興味がないが、たまたまXで見かけた『顕神の夢・霊性の表現者』という企画展のチラシが目にとまり、片道2時間かけて観に行った。強烈な印象を打ち出していたチラシを描いた人が中園孔二という人と知り、享年25歳で夭逝した人だという。彼の絵は宮沢賢治、草間彌生、岡本太郎などと展示スペースが同じ処に飾られ、絵に一種の狂気があって、それを知りたくて本書を1週間のうちに2回も読んだ。冒頭の森氏だとか、その妻の愛のインスタとかがよく理解できなかったが、それ以外のとこは、彼の哲学的なとこを知れて良かった。宝物だ。
頭痛い子

この、バスキアノートみたいに、彼の考え方や姿勢が詰まったこの本は、私にはかけがえのない物となったし、彼が最期に観た、溺れ死ぬ前の香川県坂出市にある大崎ノ鼻も行ってみようと思った。天才ではあると思うんだけど、後世にも残る画家だと思う。カルト的人気になるような。絵だけじゃなくて、文章も描いていって欲しかった。昨年出版された、舞城王太郎さんの短篇七芒星のジャケットに、彼の絵が使われているのも良い。

08/27 11:49
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