書評以外では大阪の商店街の古本屋をハシゴするという他愛のない話でありながら、往年の『バーボン・ストリート』を想起させる分量で圧倒的に読ませる「秋に買う」と、逆に書物の処分を描いた「秋に売る」の対を成す二篇、そして50年前の1974年2月に発表された、超大型書店の取材記「書店という街よ、どこへ? 一九七三年、冬、紀伊國屋梅田店」の若書きも印象深い。すでに『路上の視野』『象が空を』などの全エッセイ集に収録された原稿の再収録であることは注意されたい。ただし個人的には初読の原稿ばかりだったので問題なく楽しめた。
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