形式:単行本
出版社:みすず書房
まあそんな地衣類についての学術的な案内書に留まる本ではない。文学や歴史、思想、音楽、アートと人文学的視野は広い。ルソーにソローにモンテーニュにバシュラールにユゴーにガスカールにビュトールにラスキンにジョン・ケージに…。33歳の有能な書き手がそのセンスのありったけで人文的土壌から栄養を拾いまくってくれている。訳者の目からすると瑕疵が目についてならないというが、ペダンティストでさえなりきれなかった吾輩には、存分に楽しめた本だった。
個人的には、過去それなりに美術館通いしてきた吾輩の視野に入らなかった少なからぬ先鋭的なアーティストを知ることができただけでも嬉しかった。
アートや文学に登場する地衣類(多くは「苔」「コケ」と表現されている)を詳細に引用。なんと、日本の国歌「君が代」まで出てくる。地衣類は岩石の分解に寄与するものもあるので、君が代の歌詞を持ってくるのはいささかおかしいのだが。
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