②(承前)☆ 著者はエンタテインメントノベルの何が求められているかは熟知しているから,問題意識の織り込み方も上手で小出しに並行するストーリーが環を描き完結する「開放系」のストーリーの骨格(背骨)に「善意と信頼」並びに「恩返し(のあり方)」を置く。『ショートセール』が伝統的復讐譚に重きを置くので,たとえ「裏切り(かけた)者」であっても断罪の代わりに再起の機会を与えるという描き分けは(世の中が「倍返し」の小気味良さに塗れているので)著者なりの意思表明であると見た。すごく簡単に言えば「論語と算盤」なのである。
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