形式:単行本
出版社:立東舎
序盤、後期必殺を支えたキャストがずらりと並んだインタビューは華やかだが、俳優は押し並べてエゴが強いため俯瞰的な視点に乏しく、語りは上手いとしても内容はそれほどでもない。別項のスタッフのインタビューでは、そういった俳優特有の調子の良さに茶々を入れられていて笑えるし、つまりそれはキャストとスタッフがいい関係性だったということだろう。春日太一のインタビューの収録ながら、後期必殺の戦犯として批判されがちな吉田剛の弁明が読めたのも良かった。被害者意識が強いため読んでいて快い内容ではないが、被害者意識自体は興味深い。
吉田の目には、プロデューサーの山内久司が気の弱い人物に見えていたという。それは他にない証言で、脚本家ゆえの観点か、単に自己のルサンチマンを他者に投射した偏見か(或いはインタビュアーの春日が昏い情念に惹かれがちな作家なので、そうした部分がピックアップされたか)。今回も総じて楽しんで読めたが、ただシリーズ通じてやはり音楽関係のフォローが物足りない。特に竜崎孝路、中村啓二郎のインタビューは再録か何かでもいいから読みたかった。必殺の音楽世界は当時の他のドラマと比べても豊饒なのだし、何なら単著を出し欲しいくらい。
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序盤、後期必殺を支えたキャストがずらりと並んだインタビューは華やかだが、俳優は押し並べてエゴが強いため俯瞰的な視点に乏しく、語りは上手いとしても内容はそれほどでもない。別項のスタッフのインタビューでは、そういった俳優特有の調子の良さに茶々を入れられていて笑えるし、つまりそれはキャストとスタッフがいい関係性だったということだろう。春日太一のインタビューの収録ながら、後期必殺の戦犯として批判されがちな吉田剛の弁明が読めたのも良かった。被害者意識が強いため読んでいて快い内容ではないが、被害者意識自体は興味深い。
吉田の目には、プロデューサーの山内久司が気の弱い人物に見えていたという。それは他にない証言で、脚本家ゆえの観点か、単に自己のルサンチマンを他者に投射した偏見か(或いはインタビュアーの春日が昏い情念に惹かれがちな作家なので、そうした部分がピックアップされたか)。今回も総じて楽しんで読めたが、ただシリーズ通じてやはり音楽関係のフォローが物足りない。特に竜崎孝路、中村啓二郎のインタビューは再録か何かでもいいから読みたかった。必殺の音楽世界は当時の他のドラマと比べても豊饒なのだし、何なら単著を出し欲しいくらい。