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人殺しは夕方やってきた マルレーン・ハウスホーファー短篇集

感想・レビュー
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Melody_Nelson
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短編集。おどろおどろしい表題だが、読んでみるとファンタジー。隙間時間にちょこちょこ読んでいたが、後半の「戦争」パートが物悲しい。「恐るべき忠節」が特に切なかったな…。少女時代では、「さくらんぼ」が良かった。お父様のやさしさが沁みる。
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m mo
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1920年生のオーストリアの作家。翻訳が良いのかなあ。短編集だからか、どれも飽きさせない魅力がある。筆力、というのだろうか。1少女時代の思い出、「初めてのキス」は、分かりづらい乙女心?をうまーく表現し、2大人の生活、表題の「人殺し〜」は、あー、そう来ますか、3戦争の影は戦争への憤りをじわじわ描き連ねる。長編もあるらしいからよんでみよっと。表紙の絵が好きー
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M H
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「壁」がとても気になるも入手できずこちらを。瑞々しい少女時代から大人の生活、最後は戦争の影。表題作や「とりわけ奇妙な愛の物語」のような人間の不可解な側面を見据えた収録作が通り過ぎてしまいそうで、塞がることのない穴を感じさせて特に良かった。戦争が題材になると重苦しさが漂い、掉尾を飾る「もろびと声あげ」の余韻につながる。
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kero385
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お気に入りに登録させていただいている方の感想で知った本。10ページ前後、長くても20ページに満たない掌編と言っていい長さの作品を集めた短編集。文体も短く簡潔であるにもかかわらず、人生の一齣の何気ない出来事が、大きな意味を予感させる含みを持って描写される。長年ドイツ語圏の小説読んできたけど、はじめて知った作家。と言うよりドイツ語圏の女性作家あまり知らなかったかも。知っている女性作家は政治的イデオロギーが強烈な方達ばかりで、この短編集のような味わいはすくなかった(もっとも私が読んでる数が少ないのだが)。
水蛇

kero385さま、はじめまして✨️こちらこそいつもいいねや素敵なレビューありがとうございます。コメントへの返信機能がないみたいなのでこちらにお邪魔しますね。こんなふうに言っていただけて本好きとして感無量です!「国家の反逆者」も「間借り人たちのクリスマス」も忘れがたいですね。仰るようにイデオロギー色がないからこそ、戦争に巻き込まれる市民のしみいるような悲しさが伝わります。 じつはわたしも先日のシュトルムのレビューを拝見して久しぶりに「みずうみ」が読みたくなって買いなおしたところでした。わたしは →

01/11 16:37
水蛇

混雑に負けてモネ展を諦めたので、なおさら神秘的な連想にうっとりしてしまって。ほかにも「9時半の玉突き」やフォークナーもkeroさまの真摯な思索や読みこみに惹かれて 実家から持ってきたりしてるんですが、立て続けにコメントするのも…と思ってずっとひっそりいいねするだけでした😖第2外国語のドイツ語は分離動詞で早々に挫折してしまった身としては、原文への言及もすごくおもしろくて参考になります! 長くなっちゃってお恥ずかしいですが、これからもkeroさまを通していろんな本に出会えるのを楽しみにしています。

01/11 16:39
4件のコメントを全て見る
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水蛇
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タイトルを見た瞬間に買うと決めて、レジに歩きながら帯を読んで短編集なんだとわかった。数ページの長さのものが多くてすぐ読めるけど、ひとつひとつが桃の産毛みたいにささやかでチリチリした実感を持ってる。思いがけない相手にすごく重要な慎重な心をうちあけられたような気持ち。少女時代、大人の生活、戦時中と3つの時代にわけられた物語のすべてが胸が痛くなるほど傷つきやすい顔をしてるのに、人間的なたくましさを忍ばせてて何度も重いため息が出た。どれだけのものを潜りぬけたらひとはこの境地になれるんだろう。
水蛇

少女のころ見てた漠然とした世界と反抗心がしみわたる「雌牛事件」「さくらんぼ」、有機的な愛の交感って感じの「フォン・ガイエン氏の夜の出逢い」「とりわけ奇妙な愛の物語」がとくに好き。第3章は正直もうどれもすばらしいけど、「変身」から「もろびと声あげ」で締める構成まで完璧だった。

01/03 22:04
kero385

水蛇様はじめまして、いつも感想にいいねいただきありがとうございます。この本とてもよかったです。また水蛇様の感想の文章素晴らしすぎです。私は、「国家の反逆者」と「間借り人たちのクリスマス」が特に心に残りました。素晴らしい作家、素晴らしい本をご紹介いただきありがとうございました。

01/11 14:40
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ルトピエ
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オーストリア人作家ハウスホーファーの短篇26作品。訳者によると思われる三つのパートに分類されている。〈少女時代の思い出〉と〈大人の生活〉の作品群は、人生の一場面を繊細かつ的確に切り取っている一方、その輪郭がなんだか微妙に揺れているような、不思議な印象を受ける。〈戦争の影〉の作品群は、直接の戦闘場面はないものの、大切な人を失った悲しみや周囲に立ち込める重苦しい雰囲気が胸に迫ってくる。「恐るべき忠節」と「もろびと声あげ」が特に心に沁みた。この作家の作品をもっと読んでみたい、そう思わせる魅力的な作品集だった。
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blue_blue
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素晴らしく良い。「食べるのがおそい」収録作は既読だが、何度読み返しても好きだな。『壁』はオールタイムベストにつき鼻息荒げて爆推しするが、短篇もすこぶる好みだ。〈少女時代の思い出〉〈大人の生活〉〈戦争の影〉の3パートに分かれているのがとても効果的。前半は「ごく普通の」人びとの生活の一場面や、記憶を無作為に吸い上げたような作品が多い。ちいさな善意も悪意も存在するいつもの日々が、淡いフィルター越しに覗いたようにややノスタルジックに描かれる。戦争によりその均衡が崩れてからの後半は、読んでいて苦しかった。おすすめ。
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フランソワーズ
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今は亡きオーストリアの小説家の短編集。どれもふつうの人がふつうに生きていこうとするなかで、出遭ってしまうことの悲喜交交。後半の「戦争の影」の作品群では、そんな人たちが戦争の理不尽な時勢に晒される姿が描かれている。人々に対するやさしい眼差しを感じさせる、胸にほっこりする文章です。お気に入りは『さくらんぼ』と『小さな幸せ』、『恐るべき忠節』。
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天の川
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表題はミステリーを想起させたが、実に魅力的な短編集だった。『少女時代の思い出』では不遜で瑞々しい感性の子ども達に懐かしさや憧れを抱き、『大人の生活』ではちょっと変わった大人達の戸惑いや行動に可笑しみを感じた。そして『戦争の影』でのオーストリアの作家ならではの目線で描かれる無力感や戦争の残酷さ。人生を歩む中でいつの間にか背負わされていく重さを、様々なシチュエーションで描き出す滋味深い一冊。学校に呼び出された父にぶたれると怯えながら過ごした一日の終わりに、父の大きな愛情に触れた「さくらんぼ」が特に心に残った。
buchipanda3

『さくらんぼ』の話、いいですよね。私も好きです。子供だからついやってしまうこともあって、それを叱ることはただ萎縮させるだけになる。それよりも自分がやったことで自分自身や父親がどんな気持ちになってしまうかを自ら気付かせるのが大事。父親が子供を信頼して愛情いっぱいで接している姿がとても心地良く感じられた作品でした。

08/18 16:18
天の川

心の中に灯がともるような一編でした♪そして、レビューを書きながら、この本の構成からか、あの温かいお父さんにも生き生きとした子供時代があって、少女もこれからもっといろいろな経験をして、親子のもとにいずれ戦争が訪れるのだ…と、つい考えてしまい…。奥行きと広がりのある本だなぁと思いました。

08/18 17:26
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ハルト
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読了:◎ 心の繊細な機微を柔らかな筆で描いてある短編集。やさしいだけでなく、ほの昏い作品もあるけれど、総じて人を包みこんでくれるような視線がある。そして、ままならない人生に必要な温かな笑いを与えてくれる。ふとした折に手に取りたくなるような作品集だと思った。
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くさてる
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1920年生まれのオーストリア作家による短編集。題名でホラーかミステリだと思って手に取ったら、牧歌的な少女時代の思い出話が続き、意外。でもそれが読み心地良く楽しんでいたら、大人になり、戦時中へと舞台が移り替わってゆく。読み応え自体は変わらないものの、苦しい思い出の箇所はせつなく、胸が痛んだ。柔らかく、美しい文で綴られた、良い短編集です。
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越部社長
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人生のちょっとした瞬間を切り取り、少女のような瑞々しい感覚で繊細に描いた短編集。少女時代の思い出、大人の生活、戦争の影の3章に分かれいて、最後に戦争時代の話を読んだせいで暗いの印象が残ったが、実際は全体にそこはかとないユーモアがあった気がする。
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buchipanda3
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「人間にはどこかおかしなところがあるものよ。ひょっとしたら人間はみんな狂っていて、あなただけがまともなのかも」。不思議な愛おしさに包まれる読み心地を味わえた作品集だった。つい次の篇へ次の篇へと物語を読み耽ってしまう感覚。少女時代の無分別な無邪気さ、それは大人の目から見た世界へ変化し、やがて戦争のやるせない現実が覆いかぶさる。日常の中で見せる人間の機微、滑稽さ、そして人生って奴のどうしようもない切なさ。それでも子育てと執筆の話に著者の姿が垣間見えるように人を描写する歓びが伝わってきてそれが魅力に感じられた。
天の川

buchipanda3さん こんにちは。人生を考えさせられる、味わい深い短編集でしたね。章ごとの色合い、短編ごとの味わいが異なっていて、それぞれ、とても心に残りました(*^-^*)

08/18 12:45
buchipanda3

天の川さん、ほんと良い短篇集ですよね。無邪気に思えた子供時代からやがて社会を知る大人になり、戦争の辛さまで体験してしまう。日々の現実には様々な出来事があって、そんな中でいいところも悪いところも人間なのだということに改めて気付かされたように思いました。

08/18 16:15
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とらまめ
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本当は、出来事の意味はわからないし、感情の分類はできないものなのかもしれない。ただそこに一回きりのものとしてあるだけ。それを飲み込みやすく解釈するというのは不真面目なのかもしれない。
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のりまき
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不穏なタイトル、怖いお話かと思ったら美しくてホワホワするような、少女時代の思い出。が、後半は暗く恐ろしい戦争の影。それも含めて瑞々しく叙情的で素晴らしかった。
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アヴォカド
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少女時代の話は、時にユーモラスで温かみもあって、クスッとさせられたりする。それに比して戦争下の話は、苦さが滲む。彼女自身の、そして人生の複雑さを感じる。
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講釈夫人
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『壁』のマルレーン・ハウスホーファー(1920ー70、オーストリアのドイツ語作家)の短篇集。逃れようのない現実の枠組みのなかで生きる普通の人々の営みが面白く、人間とはなんとも奇妙なものだと思う。“少女時代の思い出”8篇、“大人の生活”9篇、“戦争の影”9篇の構成は、それぞれ趣きが異なり、徐々に人生の深淵へと踏分、あの時代の道徳的不運とは無関係ではいられなくなる。あれもダメこれもダメで縛りが多い少女時代、奇妙な親類の家で過ごす一夏「ぞっとするような話」、宗教の先生を激昂させて、遠くに住む父親が呼び出された
講釈夫人

「さくらんぼ」など、おかしみと滋味溢れる“不従順で陽気な日々”が描かれる。大人になっても夢見心地で、表題作「人殺しは夕方やってきた」「おもしろい夢を見る女性」から、掴みどころのない人の心にじんわりと近づく「とりわけ奇妙な愛の物語」「人喰い」へと続く。そして戦争、始まってしまえばたとえ「国家の反逆者」でも逃れる術は無く、無力感が人々を苛む。「恐るべき忠節」「ウィロー夫妻」「間借り人たちのクリスマス」どの作品も残響が長く心を曳いていく。バッハマン(1926ー73)と同じ国、同時代の作家。とても好きな作品集

04/19 11:04
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人殺しは夕方やってきた マルレーン・ハウスホーファー短篇集評価77感想・レビュー17