形式:文庫
出版社:集英社
形式:Kindle版
リンドバーグを安易に重ねるなと警告している。なるほど、確かにそうかもしれない。人々は何かと比べ、重ねることで簡単に評価をしてしまいがちだ(簡単に批判を、あるいは安心を抱きたいものなのだ、人は)。作中における、惑い、憂い、恐れ、悲しむ少年フィリップの痛く切実な眼差しは、まさしく渦中にいる者が放つ心細さであり、だからこそ我々の胸を抉っていく。もうひとつのアメリカ史を描く本作から我々が学ぶとすれば、歴史教科書には決して出てこない、フィリップ少年の眼差しから何を感じるかにあるはずだ。(つづく)
なぜなら、我々は歴史を振り返り未来を想うことはできても、結局のところ現在にしか生きられないからだ。ちなみに、読書と並行してドラマ版を観たのだが、原作の精神を誠実に汲み取った良質なドラマで感動させられた。
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