読書メーター KADOKAWA Group

宇宙開発の思想史: ロシア宇宙主義からイーロン・マスクまで

感想・レビュー
5

データの取得中にエラーが発生しました
感想・レビューがありません
takao
新着
ふむ
0255文字
owlsoul
新着
人間が宇宙に進出すること、それは新たな世界を創造することに他ならない。重力、大気、温度、光量、そして大地。地球では定数であるこれらも、宇宙では変数として恣意的に作る必要がある。当然そこには創造者の意図や思想が反映される。今も昔も、人間を宇宙へと駆り立てるものは、技術の拡張、そしてフロンティアへの欲望だ。宇宙飛行士が地球の尊さを痛感する体験を「オーバービュー効果」と呼ぶらしいが、宇宙を新たな資源や開拓地と捉え消費拡大の現状を加速する未来よりも、その冷たい暗闇を経て、地球環境の再評価がなされることを期待したい
0255文字
thumoto
新着
「宇宙、それは最後のフロンティア」と言われるように、宇宙を開発することを夢見た人たちの思想を紹介する書。その幕開けが、地球がglobeであり、どこでも訪れることができることができるようになった19世紀〜20世紀であることも関係してそうで、初期の開発思想は自分の理想とする社会を地球外で構築することを夢想するものなのも、関係あるかも。その後冷戦やメディアの発達、公害や持続可能性など人類社会として宇宙開発が夢見て実行されてきなのかもしれない。
0255文字
EMI
新着
古来、人類は天体の運行を観測し、法則性や意味を見出そうとしてきた。神の領域だった天上は科学によって徐々に解き明かされ、20世紀には宇宙開発の実現化を目指す研究が始まる。人類の宇宙進出を不死性と結びつけたロシア宇宙主義者ツィオルコフスキー。宇宙居住計画を示したアメリカのオニール。V2ロケット開発にかかわりアポロ計画でも活躍したフォン・ブラウン。本書は宇宙科学とSF小説を行き来しながら、歴史上の7つのパラダイムを検証する。巨費を投じて生存に適さない宇宙進出に乗り出す理由は、科学的な合理性だけでは説明できない。
EMI

今日ではイーロン・マスクが火星への移住計画を掲げ、ジェフ・ベゾスは宇宙でのコロニー建設を探る。宇宙への欲望を多面的に描いた一冊。アーサー・クラークに一章を割くのに、それ以外のSFを論じないことには物足りなさを感じる。しかし宇宙思想史の本格的な研究はこれからなのだろう。宇宙開発競争が熾烈になった現在だからこそ、宇宙は人類の共有地であるとの訴えが光っている。

08/31 22:46
0255文字
塩崎ツトム
新着
控えめに言っても、大変刺激的な本だった。宇宙開発は19世紀半ばに空想されたときから、どうしても植民地主義的な拡張性と地続きで、ツィオルコフスキーの思想もまさに全世界の植民地化あるいは工場化であり、さらにフォン・ブラウンもそのプレゼンターとしての顔の裏には「この道しかない」という必然性の元、ドーラ収容所での強制労働や、冷戦期の軍拡を正当化した。そしてその植民地主義的開発を第一とする思想は現代のイーロン・マスクやジェフ・ベゾスら億万長者の宇宙開発の思想の「地金」ともなっている。(つづく)
塩崎ツトム

そしてその思想は当然、ロシアの宇宙開発から多大な影響を受けているであろう、中国の宇宙開発にも如実に表れているだろう。「三体」では異なる宇宙文明がお互いを認知したときにあるのは殲滅戦であり、宇宙は「黒暗森林」であるということが徹底されたが、それはまさに、現在の宇宙開発が、根底の思想を変えない限り、避けられない結末だということだ。しかし本書でも引用されているが、そのような拡張的な宇宙開発を行い、指数関数的に地球文明を増やした場合、わずか5世紀で食いつぶすという。それじゃあ、その先は? (つづく)

08/02 00:01
塩崎ツトム

誰が言ったのかは忘れたが、「例えば自動車が発明される前に、渋滞の発生を予想するのがSF」だそうで、ぼくもその通りと思うけど、SFに影響を受けたイーロン・マスクは、ひたすら自動運転の車を増やして、さらに最短ルートの都市間トンネルを無数に掘りまくればその問題はないのだと、「渋滞」の予想を頑なに拒む。そして自分の押し付ける未来のビジョンによって起きる予想外の破綻すら、思想の隅から押しのける。それでいいのか?オルタナティブな宇宙開発は存在しないのか? ぼくはそのオルタナティブを、想像できるのか?

08/02 00:05
0255文字
全5件中 1-5 件を表示

この本を登録した読書家

宇宙開発の思想史: ロシア宇宙主義からイーロン・マスクまで評価42感想・レビュー5