形式:文庫
出版社:文藝春秋
【スティーヴン・キング作家デビュー50周年記念刊行、第3弾!】この小説は、「ぼく」ことジェイミーの回想記であり、そしてこれはホラーストーリーだ。そう、だってぼくには死者が見える――。「死人の霊が見える」という、古典的とさえ言える設定。それがキング流に調理されると、他の何者とも違うユニークな物語が立ち上がる。ジェイミー少年は、ものごころついた頃から死者が見えていた。死者の世界にはいくつかの決まりがあるようだった。死者は死ぬとすぐ、死を迎えた場所の近くに、死んだときの姿で現れる。長くても数日で、だんだん薄れていって消える。普通の生者にはぼんやり存在が感知される程度だが、ジェイミーだけは会話を交わせる。そして、死者は嘘をつけない。文芸エージェントの母。若年性認知症を発症した伯父。母の親友のタフな女性刑事。同じアパートの引退した名誉教授。母のクライアントの売れっ子作家。警察をあざ笑う連続爆弾魔……。ジェイミーはその能力ゆえに周囲の人々の思惑にたびたび振り回され、奇妙な目にあいながら、どうにか成長していく。しかしある事件をきっかけに、いよいよ奇怪な事象が彼本人の身に降りかかってくるのだった――。少年の成長物語を書かせれば天下一品、そして言わずもがなのホラーの帝王が、両者を組み合わせた「青春ホラーストーリー」。これが面白くないはずがない。最後の最後まで驚きを仕込んできて読者を油断させてくれず、自身の代表作のある「ネタ」をからめてくるファンサービスも怠りなし。どこを切ってもキングという円熟の筆で心おきなく楽しませてくれる、記念刊行にふさわしい逸品!
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