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生誕100年 安部公房 21世紀文学の基軸: 21世紀文学の基軸

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chanvesa
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仕事をきっかけに、親しくさせていただいている方よりお貸しいただく。「えらい作家」はいろいろな人からの影響が垣間見えるのか、掲載されているエッセイには、たくさんの作家の名前が結び付けられる。巻頭の三浦雅士のエッセイが典型。難しくてよくわからない。視覚化されたことで生理的に受け付けられなかった映画「箱男」上映で話題になった、匿名性や「見られることを拒否しながら見る」ことの関連性からSNSやインターネットの時代を安部公房が(好意的・関心をもって)どう見るか、という議論が本書でもいくつかあったが、疑問に思う。
chanvesa

興味深かったのは刈部直のエッセイ。尾辻克彦(赤瀬川原平)の指摘の引用は非常に説得力がある。尾辻は批判的であったようだが、安部公房の初期作品の「ナンセンスの力」から「『生きた言葉の表現』から離れ、その代わりに『思想と表現をつなぐ回路を意識してしつらえる、『文学の力』がこめられるようになってしまった」(243頁)という指摘だ。「文学の力」の力とはおそらくねじ伏せる暴力性ではないだろうか。安部公房のロジカルで暴力的なイメージを感じていたが、一方、彼の作品は晩年にまた初期に戻るようなナンセンスな世界に入っていく。

03/15 07:40
chanvesa

たくさんの写真が掲載されているが、手紙は生々しい。この時代の人はいろんな人とのつながりがあったことを強く思わせる。また安部公房は総合芸術家であった。演劇・ラジオドラマなど。シンセサイザーに関心があったというのも面白い。

03/15 07:47
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荒野の狼
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2024年に県立神奈川近大文学館で開催された特別展「安倍公房展-21世紀文学の基軸」の公式図録。展覧会は安倍公房の生い立ちから全生涯をカバーし、その多様な活動と、膨大な作品を紹介。妻の美術家・安倍真知の安倍作品の装幀・挿絵・舞台美術と真知自身の作品と写真も紹介していたが、本書もそれらを掲載。写真が多く、ムック本といってよい内容で通読にも向いている。安倍の長女の安倍ねりをはじめとする複数の執筆陣が2-4ページほどの寄稿をしているのも魅力。
荒野の狼

唯一、残念なのは編集委員の三浦雅志による27ページにも及ぶ展覧会とも安倍公房とも関係が希薄な寄稿文。全体で264ページの本書の10分の一を占める無用の文章であり、三浦の文章がなかったら、よりコンパクトなサイズになったはずであり惜しい。

02/17 19:01
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吉田
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安部公房はどの写真でも顔が変わらなくて安心する。にしても人の手紙を資料として勝手に覗き見ることにずっと違和感がある。今回の展示では数学のノートすら展示されていて面白かった。チェコ語に翻訳されるのすごすぎ。ソーダを売って生活していたエピソードが大好き。私なんて安部公房の中の人には全く関係がないのだから黙って読んでふむふむという顔をしていればいいのだけど、手書きの文字や友人との関わり(あだ名をつけたり)を見てると、当たり前に生きていた人間としてのあなたもいたなら私も気まぐれに色々して生きちゃおって思うんすよ。
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chuji
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久喜市立中央図書館の本。2024年10月初版。県立神奈川近代文学館の特別展「安部公房展──21世紀文学の基軸」の公式図録として企画・編集されたもの。安部公房の小説は学生時代に随分読みました。懐かしい!
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PapaShinya
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作家やアーティストの生誕**年、没後**年企画では、お蔵入りになっていた未発表作品や音源が本やCD、DVDでまとめて発売されるので、有難いことはありがたい。が、そうして後付けで都合の良いエピソードや秘話が創作されて、正史になっていくのはイヤだな。この本も、いろいろ珍しい資料が載っていて、ファンには有難いが、一言で言うと安部真知ウザい。果林の暴露本の方が、生々しくて面白かった。逆に言うと、安部が果林にすがりたくなった理由もコレだなとも。飛ぶ男が、真知の改竄本だった時の怒りが込み上げてきた。
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パチーノ
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安部公房の著作は大学生の頃だったかに当時文庫本として出ているものを片っ端から買っては読んでしていた。2024年は安部公房生誕100年だったそうで行きたかったが行けずじまいだった『安部公房展』が開催されたりと彼が再考されるきっかけとなっていたようだ。本作もそれの一環として発売された。映画が好きで演劇に関してもたまにだが観劇する身としては興味深く読めた。また安部公房が妻と二人三脚で活動されてきたことも知れて個人的には新しい発見もあった。かなり久しぶりになるがまた彼の作品を読み返したいと思う。
パトラッシュ

文学館で開かれた公的な展覧会のカタログなので、山口果林との20年に及ぶ愛人関係や山口の自宅で倒れたことなどは一切載っていませんよね。そのあたりを知った上で読むと、人間の複雑さが改めて感じられます。

01/18 12:10
パチーノ

パトラッシュさん、コメントありがとうございます。たしかにそれらについては全く載ってはいなかったですね。まだ山口果林の著作を読んでいないので近々読んでみたいと思います。

01/18 16:24
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パトラッシュ
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誰かの伝記を読んで多くの事実や解釈を知っても、どうしても文章だけでは今ひとつピンとこない。その人の生きた時代のリアルや空気を全く知らねば、何を考えて行動したかとのイメージが摑めないのだ。特に安部公房のように過酷な満洲引き揚げを体験し、激動の戦後を生きた作家の生涯を理解しろとは、スマホやSNSが常識の令和にあっては江戸や明治の頃と大差ないのではないか。だからこそ生原稿や日記、愛用品に古い写真などを網羅した本書があれば、単なる資料でなく文学者の息遣いが聞こえてくる。その意味で紙の本の価値を再認識させてくれる。
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keroppi
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神奈川近代文学館「安部公房展」の図録。ちょっと値は張ったが買わずにはおれなかった。安部公房の生い立ちから作品の数々、映画や舞台、安倍真知の創作まで、資料としても価値がある。舞台の活動はかなりのスペースで紹介してあり、リアルでは一つも見ることが出来なかったのは悲しい。小説すらまだ全てを読めているわけではなく、もっと読みたくなってくる。
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モトラッド
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★★★★★生誕100年記念として開催された『安部公房展―21世紀文学の基軸』の公式図録。安部氏関連の記録が満載されており、私にとって宝物となりました。展示物の紹介だけでなく、安部氏に寄せての文士らの一文も、とても興味深いです。更に、写真や安部真知さんのイラスト、舞台装置等々、いつまでも見入ってしまうベージばかり。この展示会に巡り合えたことに感謝したいです。安部公房愛が、再燃しております。
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フリウリ
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神奈川近代文学館の「安部公房展 21世紀文学の基軸」の図録として発行。安部公房作品の読者としては、展覧会はおもしろく、個人的には安部と石川淳とのやりとりなど、とても興味深く拝見しました。「21世紀文学の基軸」が何を言わんとするか、よくわからないのですが、本書冒頭の三浦雅士氏の論考にあるように、インターネット(!)や脳科学の先取りを論拠とするならば、あまりに時局的、評論的に過ぎると思います。でも、展示はよかったし、資料は貴重です。8
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Kiki
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県立神奈川近代文学館で行われている安部公房展での図録。ずっと宮沢賢治との類似性を考えていたので、冒頭で比較論評が読めたのが嬉しい。短いが他の研究者や作家からのエッセイ形式の文章もあり、そして装丁も良く(いつもの近藤一弥氏!)、なかなかいいではないですか。資料は写真だけなので実際の文章を読むには全集がいるけれど、写真や安部氏の動画も含まれているので、彼のジャンルを超えた作家としての歩みを立体的に見ることができた。
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