読書メーター KADOKAWA Group

帝国で読み解く近現代史 (中公新書ラクレ 827)

感想・レビュー
13

データの取得中にエラーが発生しました
感想・レビューがありません
Satsuki
新着
18世紀から現在まで。概ね標準的な通史だ。本書でいう「帝国」は予想外に多義的で、WWI後には消滅した典型的帝国のほか、英や本国は共和制だった仏は植民地帝国。更には冷戦期米ソも実質的には帝国と呼ぶ。そしてこれらを俯瞰し、19世紀から現在までを、国民国家と帝国的なもののせめぎ合い、とする。ほかに興味を持った指摘。秘密結社がアヘンを売買する社会構造だった清朝の問題。現地「チーフ」利用も撤退も上手にやった英と、現地に入り込んでしまった仏の植民地統治の違い。日清戦争で日本が大勝ちしていなければという歴史のイフ。
0255文字
えびす
新着
面白かった。「帝国」をキーワードとして近現代史を読み解かれており理解が深まる。中国やロシアが帝国的に振る舞う歴史的背景や理屈も少しわかった。読み易く読み応えがある。
0255文字
花時計
新着
「帝国」を切り口にした、中国史と英国史の専門学者の対談による近現代史の概観。読みやすく引き込まれて楽しい本。複数民族を包摂して統治するのが帝国だが、国民国家が成立するに従い、古い専制君主制の帝国は衰退する。しかし、中露など国民国家の成立が難しい地域では、民主集中制を利用した強権的な新しい帝国が成立する。中露は領域が大きすぎて歴史・文化・宗教・言語を共通にする単一の国民国家が成立しないので、国がバラバラに分裂するのを防ぐためには、強権的支配をせざるを得ない。中露はそういう国柄ということのようだ。
0255文字
鈴木
新着
買って1日で読み終わった。 平易にまとめつつも非常に面白かった。 ハウの「帝国」の定義を参照しつつ、「帝国」には領土内に複数の民族が共存する旧来型の帝国と、国民国家的でありながら市場としての海外植民地を求める新型の帝国が存在すると述べ、前者である清朝と後者である英国の邂逅を端緒として対談を進めていく。 同時に、国民国家概念により斯様な新型の帝国が勃興し、それ自体により崩壊していく過程に触れる。また、ロシアや中国等が現代でも国家的なまとまりを得るために帝国的にならざるを得ないことを指摘している。
0255文字
tom
新着
バラバラになりそうなものを纏めるものは理念か強大な敵か、統治者の強権しかないもんな。
0255文字
Decoy
新着
「帝国」とは何か、 から始まる近現代史。対談だけに、ドライヴ感たっぷりで、放言(?)もありつつ、すいすい読める。複雑な歴史をかなり単純化しているものの、「なるほど」と膝を打つところが多々あり、帯の「米・露・中の行動原理までがわかる」も納得。
0255文字
すいみん
新着
岡本隆司先生の本は何冊か読んでいて、各国間の有機的な関係性により歴史が変容していく様を語っていただける点が面白いなあと感じていた。この本も対談なので読みやすく、とても面白い。現代における世界の諸問題(民族間での紛争の増加や帝国的国家による圧政など)は、長い歴史の試行錯誤の結果出てきているものなのだと改めて認識できた。
0255文字
(k・o・n)b
新着
「帝国」の興亡を軸に近現代史を辿る対談本。これまで著者のお二人とも著作を読んだことがあり、面白かった記憶があるので期待して購入。帝国を差し当たり「広大で複合的で複数の民獄を内包する」国家と定義しつつ、(国民国家成立以前の)古典的帝国/国民国家型帝国と細分化しており、議論が分かりやすい。本書は18世紀の清と英国という東西の帝国の邂逅から筆を起こし、帝国主義時代のアジア分割、第一次大戦後の古典的帝国の解体、第二次大戦後の国民国家型帝国の解体、現代に残る帝国的な要素の指摘と進んでいく。
(k・o・n)b

帝国=悪と見做されるようになったのはウィルソン以後、アメリカは孤立と介入の両極に振れがち、中国は巨大すぎる故分裂状態が基本、多民族を統治する手法という点での古典的帝国と民主集中制の類似性…等々、随所に発見があり楽しかった。他方、全体的には期待ほどの新鮮味がないと感じたのは、おそらく教科書等でも19〜20世紀は自ずと帝国を中心とした記述になっているからだろうか。「〇〇で読み解く」なんて聞くと、「今まで光の当たっていなかった角度から通史を眺めると新しい歴史観が!」みたいなのを勝手に期待してしまっていたが笑

01/08 08:33
0255文字
バルジ
新着
「帝国」という視座から近現代の流れを鷲掴みに出来る良書。期待を裏切らない君塚先生と岡本先生というふたりの碩学の対談は読み手に時間を忘れさせる。本書は歴史を現在から眺め、歴史から現在を眺める双方向的な営みとしての「歴史を知る」面白さを堪能できる。中国やロシアといった帝国的な振る舞いを強める国家の論理とアメリカや西欧諸国、日本といった自由民主主義国家の論理の違いは面白い。また孤立主義的な「アメリカ」は決して利害関係のある地域への関与を辞める訳ではないという君塚先生の指摘は興味深い。更なる学びの入口となりそう
0255文字
(ま)
新着
中国史の岡本教授と英国史の君塚教授の帝国の成立や確執、変貌、興亡を巡る対談 帝国=須らく悪、は真か?
0255文字
TSUYOSHI
新着
細谷雄一氏は著書『国際秩序』(2012年、中公新書)の中で、欧州発の国際秩序がどのように世界規模へ拡大していったかを論じるにあたり、弁証法的なアプローチを採用した。「既成秩序」対「新興国」の図式を「作用」対「反作用」と捉え、これを繰り返すことによって国際秩序が東西両洋を包摂するに至ったという理解だが、本書の議論は図らずもそうした理解を裏書きしているように思えた。細谷氏の著書では国際秩序の根源にある思想の変遷を議論の軸としていたのに対し、本書では「帝国」の消長の歴史がその役を担っている。⇒(1/3)
TSUYOSHI

⇒「帝国」を軸に俯瞰すると、19世紀以降の国際秩序は次の4つのタームに分けられるだろう。①「国民国家型帝国」の伸長=「勢力均衡」原理の東漸。②「国民国家型帝国」の溶解=「勢力均衡」の衰微と「共同体」原理の台頭。③「国民国家型帝国」の瓦解と米ソ二大「帝国」の対立=「勢力均衡」と「協調」原理の結合。④冷戦後秩序に対する中露二大「帝国」の挑戦=「勢力均衡」と「協調」原理の綻び。2つの世界大戦は「勢力均衡」の原理が崩れた②から③の時期に起こっているから、④のタームにあたる現在も危うさを孕んでいる。⇒(2/3)

12/21 22:13
TSUYOSHI

⇒対談では、中国について、歴史的にみて地方勢力が分立していること自然な姿であるが、飛躍的な経済成長を果たした今、そのような分立状態に戻ることを恐怖するあまり、「一つの中国」論に固執していると指摘する。ロシアについても、民主主義が育っておらず、さらにソ連「帝国」に対する誇りが今なお強いことも相まって、強力な指導者を演じるプーチンへの依存度が高まっているという。皇帝はもはやいないが、「帝国的なもの」は現在も、しかも日本のすぐ傍で生きており、国際秩序を揺るがす脅威となっていることがよく分かる良書。(3/3)

12/21 22:14
0255文字
いぇに
新着
ハウのいう「複数のエスニック集団や民族を内包している」帝国と国民国家的帝国が話の軸にあり、各帝国の実情が解説されていて面白かった。大韓帝国と大日本帝国のように同じアジアの帝国でも帝国の性質が違うという指摘も面白がった。最後の君塚先生の国民国家の概念が持ち込まれたことによる紛争の増加、岡本先生の帝国的な国家の歴史的背景を知った上で批判するという視点は重要だと思う
0255文字
全13件中 1-13 件を表示
帝国で読み解く近現代史 (中公新書ラクレ 827)評価75感想・レビュー13