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ユダヤ人の歴史 古代の興亡から離散、ホロコースト、シオニズムまで (中公新書)(Kindle版)

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261bei
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高校だとシオニズムを除くと古代にちょっと出てくる程度のユダヤ人だが、ディアスポラ以降イスラーム王朝の庇護下で発展してきた経緯があること(マイモニデスもファーティマ朝の庇護下にいた人だ)、ポーランドやオランダにユダヤ人が多かったのは近世にスペインやドイツ地域から追放された人が、ユダヤ人「寛容」が必要だったこれらの地域に流入してきたこと、オスマン帝国の地主たちからシオニストが土地を買ったことで在地の小作人を追い出されたことがパレスチナ人の苦難につながることなど、歴史の連関性を補充できる本。
261bei

そのポグロムの記憶、さらにはチェチェンのイスラーム教徒への偏見を持つロシア系が大量にイスラエルに移民したことが、今日のイスラエルでの極右政党への根強い支持につながっているという指摘が強い印象に残った。またアメリカ政治の文脈で、シオニズムによってユダヤ人は「宗教」というよりも「ネーション」になった(たとえ移民でも「祖国」を実感できる)が、元々奴隷として連行され、ネーションとして成就していないアフリカ系はユダヤ人よりも厳しい立場にいるとの指摘も重要なものだろう。

02/16 15:04
261bei

イスラエルが自民族至上主義に染まっているのは、ポグロムの恐怖に原因がある。それを解きほぐすためには、ホロコーストの責任を一身に負った(西)ドイツのみならず、ポーランド、ロシアその他の地域における対独協力の責任を追及すること、そしてそれ以前のポグロムの責任を問うことがきっかけになりそうである。もっとも、それらの国々は武井『歴史修正主義』で言及されているように、自国民の対独協力の歴史研究を「歴史修正主義」とみなして弾圧しているのだが・・・。

02/16 15:09
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0255文字
ラウリスタ~
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必読本。ユダヤ人の歴史について決定的な入門書ではないか。歴史のほとんどの時期において国を持たなかったユダヤ人は強大な帝国の中にあって、共存する道を探す。それが時に小規模商人(同胞を通じて各国ともやりとりできる)であったり、あるいは貴族と農民をつなぐ仲介者だったりした。ところが経済が落ち込むと、そして民族独立の気運が高まると、彼らは真っ先に搾取者の手先として、支配者自体には手を出せない民衆の暴力の標的となる。ホロコーストに集約されるイスラエル建国神話を、より多元的に、東方におけるポグロムの流れに位置付ける。
0255文字
さとうしん
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高校世界史では古代と近代のシオニズム以降しか取り上げられないユダヤ人の歴史を通史として提示する。著者は近現代史専門ということだが、「選民思想」「一神教」の解説など、その他の時代についてもしっかりした内容となっている。ユダヤ人が常に組み合わさる相手を求めていたこと、そしてそのことが時としてユダヤ人に対する偏見や迫害につながるという構造、ユダヤ人が宗教集団などではなく「ネーション」として意識されるようになったのはシオニズム以降であるといったことを興味深く読んだ。
0255文字
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