形式:Kindle版
出版社:中央公論新社
そのポグロムの記憶、さらにはチェチェンのイスラーム教徒への偏見を持つロシア系が大量にイスラエルに移民したことが、今日のイスラエルでの極右政党への根強い支持につながっているという指摘が強い印象に残った。またアメリカ政治の文脈で、シオニズムによってユダヤ人は「宗教」というよりも「ネーション」になった(たとえ移民でも「祖国」を実感できる)が、元々奴隷として連行され、ネーションとして成就していないアフリカ系はユダヤ人よりも厳しい立場にいるとの指摘も重要なものだろう。
イスラエルが自民族至上主義に染まっているのは、ポグロムの恐怖に原因がある。それを解きほぐすためには、ホロコーストの責任を一身に負った(西)ドイツのみならず、ポーランド、ロシアその他の地域における対独協力の責任を追及すること、そしてそれ以前のポグロムの責任を問うことがきっかけになりそうである。もっとも、それらの国々は武井『歴史修正主義』で言及されているように、自国民の対独協力の歴史研究を「歴史修正主義」とみなして弾圧しているのだが・・・。
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そのポグロムの記憶、さらにはチェチェンのイスラーム教徒への偏見を持つロシア系が大量にイスラエルに移民したことが、今日のイスラエルでの極右政党への根強い支持につながっているという指摘が強い印象に残った。またアメリカ政治の文脈で、シオニズムによってユダヤ人は「宗教」というよりも「ネーション」になった(たとえ移民でも「祖国」を実感できる)が、元々奴隷として連行され、ネーションとして成就していないアフリカ系はユダヤ人よりも厳しい立場にいるとの指摘も重要なものだろう。
イスラエルが自民族至上主義に染まっているのは、ポグロムの恐怖に原因がある。それを解きほぐすためには、ホロコーストの責任を一身に負った(西)ドイツのみならず、ポーランド、ロシアその他の地域における対独協力の責任を追及すること、そしてそれ以前のポグロムの責任を問うことがきっかけになりそうである。もっとも、それらの国々は武井『歴史修正主義』で言及されているように、自国民の対独協力の歴史研究を「歴史修正主義」とみなして弾圧しているのだが・・・。