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代表作時代小説〈46(平成12年度)〉

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山内正
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もう源次は六十になる 行方知れずの息子の事を女房の位牌に語り掛け 達者さきっとと聞こえる気がする 金槌を持つ手が時々震える 弟分の藤兵衛が加賀様の銀の急須を 作ってくれと来た 大名の仕事はしねえと前から決めてたが 藤兵衛の仕事場に行くと 昨日出来た品さと銀の蓮の葉に蛙が 座ったのを見た 俺にゃ到底思いも 年を取りこの男はここ迄きたかと 十四で藤兵衛に奉公に行き 二十四で一端の職人になるが 酒と女で家を飛び出したままだ 盆に娘が帰り送り火をし送りがてら 子が出来たと喜ぶ 源次の事で話す娘は女房に似て来た
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山内正
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守山宿で髪に蛍の付いた女が泊まってと声掛ける小菊と言う その夜抱いた小菊は頬を寄せ泣いた お代は蛍の供養だと受け取らない 窓際に蛍が動かない あれは死んだ父の人魂ですと言う 六年前火事で残った父が近所に詫を言い山で首を括って死んだのと 小さな観音様の彫物だけが今もある 卯吉はふと十四の時八幡様の石段で 花簪を拾い女の子を探し手渡した事 を思い出した私も覚えていますとも こんな遠くの守山でお会いしこの日を待ってた気がします、 二人して掛川に行くと父さんに呼び掛けた 小菊は少女のような声で泣き蛍は窓から舞った
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山内正
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勝手口に入る時呼ばれた 箕吉さん 近所のおばさんが おえんちゃんが死んだよ これでやっと楽になれるね!と 十五年も病んでたからねぇ あたしは梅の花のほうがずっといい 言った口振りを思い出した 上総屋の女中の話が急に来て 一番姉が嬉しい顔をした が直ぐに他の娘に決まった 姉は萎れて宮に参り御籤を引いた 大凶だと後で分かるが 姉とその時目があった 凍る様な顔をして 寮を借り寝てる姉にねぇちゃん今までごめんと言ったら声を出し上を向いて泣き続けた 姉の枕元に行く お前女の人とすれ違わかなった、お千代さん来てたよ
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山内正
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新庄藩大手門の見得る辻に立つ 城に呼び出された庄太夫 書院に七人がいて若い家老が江戸より沙汰で巡回見役相手の奉行を申し付ける七名を告げた 二十七年前の覚書を見たら 格別な事一切するな道を普請するな 本陣を触るなと 領民に様々聞くと 庄太夫の作った書を目付仁兵衛に ここはこうしたが、と心配する いざ来た使いの言葉に蔵人は 暗記口調で答えたら嫌な顔になる 川舟に乗り途中で大きく揺れ使者は なんだかしろと怒る中一つが消えた 大事になり岸辺に上がり焚火につく 仁兵衛は責任感じ腹を切ると騒ぐ 使者は無事だったと
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山内正
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藩校から帰り自宅前で赤ん坊を抱いて妻のりんは立ち話をしてた 父親が叔母からの文を見せた 困った物だりんは 女だけの集まりで嗜みのない振る舞いがと細々と 謙三郎は三度目の嫁だ 二人の妻は 不幸にも死んでいる ある夜謙三郎はりんに起こされた 物音がします、行こうとする夫を 引き留めた時父も儂の秘書が盗まれたと生き怒る りんは飛び出した 探しに出た夫に風呂敷包を担いだ りんが現れ お知らせをと叫ぶ 城方が隠れ家に入ると盗品が山積み 噂は拡がった 殿様の褒美も頂き 子を取り立てると賜る 家の前にりんが立ち話を
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沼田のに
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前半読み終わった時点で凄惨で強烈な団鬼六の「大切腹」を筆頭に血みどろの印象ばかりが残ったけど宮部みゆきの初登場で救われた気分だ。宮部みゆきは図書館でも人気で何人も予約が入ってるのが常で敬遠していたが、さすが上手に面白いものを書くなと思う。伊藤桂一の「蛍火の初夜」、乙川優三郎の「蟹」、南條範夫の「お蘭さまと一十朗」、佐江衆一の「急須の源七」と後半は好みのお話でよかった。7/10
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代表作時代小説〈46(平成12年度)〉評価100感想・レビュー6