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オホーツク諜報船 (現代教養文庫 1454 ベスト・ノンフィクション)

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take
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ネタバレ戦後から東西冷戦時代続いたレポ船を題材に、取材に基づいてルポ的に綴られた小説。何処まで本当にあった話かは分からないが当時の北方領土を巡る実態や雰囲気がよく滲み出てとても面白かった。拿捕や抑留、情報を虱潰しに把握する重奏的な諜報構造といったソ連の怖さや冷徹さ、レポに染まる仕掛けや外事課や公安との騙し合い、レポ実行時の緊迫、ベ平連の関わり、北方の暮らしの厳しさ、朝鮮系徴用者の悲哀、機密保護法が無い美徳と反面での捜査や摘発の難しさ、など複雑な要素が絡み合い、生と死が身近に感じられる緊張感のあるストーリーだった。
0255文字
やさぐれパンダ
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昨年12月に逝去した直木賞作家西木正明氏のデビュー作。 根室港から出入りする漁船の中に ロシアと通じて ロシア領での漁を黙認してもらう代わりに、日本の電化製品や新聞を持ち込んでいる 「レポ船」といわれる船があった。 その内容をドキュメンタリー風に著述した作品。
0255文字
木下猛
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1980年に出版された本です。ソ連に占領された北方領土海域に入るともちろん拿捕されるのですが、ソ連と通じて情報や物などを渡す見返りに漁を許されたレポ船というものがありました。この本を読んだのは20年か30年前だったでしょうか。こういう世界が世の中にあったんだと驚き個人的にレポ船については少しづつ本を読んだりしています。 今回数十年ぶりに久しぶりに読み返しましたが今読んでも凄いです。まさに傑作だと思いました。 どこまでが事実かわかりませんが下敷きになるようなエピソードはあったんだろうと思います。
0255文字
AICHAN
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図書館本。日本の情報や脱走米軍人と引き換えに北方領土近辺で漁をするレポ船。戦後すぐからその姿はあった。戦後、千島から引き上げた日本人16,505人が根室地域に入り、前浜で魚介類を獲り尽くした。そのため北方領土付近での操業を目指し、ソ連への情報提供と引き換えに漁をする漁師が増えたのだ。中には“帝王”と呼ばれる大物もいたが、逮捕されるのは小持つばかり。しかも証拠をつかめないので別の容疑で逮捕するしかなかった…。綿密な取材による恐ろしいくらいリアリティーのあるノンフィクションだった。よくぞここまで取材した。
0255文字
hatayan
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単行本は1980年刊。冷戦さなかの1970年代、ソ連の国境警備隊は根室の沖で拿捕した日本の漁船を懐柔。密漁に目をつぶる代わりに日本の情報や物資を提供させる「レポ船」として運用します。日本の公安は盗聴までして捜査するも、漁師に裏をかかれ証拠を押さえられません。ベトナム戦争の時期には米国の反戦脱走兵や米軍将校の脱出ルートとしてレポ船は活躍しますが、国家の機密に触れたレポ船に対してソ連は冷酷な判断を下します。 まじめな漁師が生きるために時代と国家に翻弄された様子を描く、泥臭さと切なさを感じさせる一冊です。
0255文字
turutaka
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前々から、「ハロー張りネズミ」ネタで気になっていた、レポ船について知見を深めたく手に取った。読んでみてわかったがハロー張りネズミの元ネタやね。北海道の隅っこのど田舎で繰り広げられるスパイ活動の最前線がリアルに伝わってくる。小説の体をとっているが、かなりリアルでネタをしっかり収集しているから描けるのだろう。オチも秀逸。素晴らしく面白かった。
0255文字
プリン
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記憶の奥深くにしまわれていた北方領土について思い出させてくれた本。うん10年前の微かな記憶だが、ソ連に拿捕された漁師や、そこから何年かぶりに帰ってきた人についてのニュースを思い出した。子供ながらに、拿捕されて知らない国に連れていかれいつ帰れるかわからない怖さは想像できた。読み物としても飽きさせない構成で、謎が読み進んでいくうちに驚きの展開になったり、海、漁師、ロシア将校の描き方にも惚れ惚れしたりして楽しめた。大画面のスクリーンに映えそうなスケールの大きな話だった。
0255文字
Wataru Inoue
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はい。来ました。戦後にロシアて密漁を行える代わりに、日本の情報を持ち出す漁師さんたちのお話。いわゆる、ルポ船を取り上げたものです。これ本当にノンフィクションみたいです。この本、絶版なので貴重です(^^)
0255文字
Ted
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'80年7月刊。○戦後から冷戦期まで、北方領土海域での操業を黙認してもらう代りに機密情報や物品などをソ連に渡していた「レポ船」の実態を描いた小説。小説とはいえ事実に近い内容を含んでいるのでロシアでも翻訳され資料になっているという。倒叙の構成も映画的で面白い。冒頭のシーンも映像的なのでそのまま映画にしても違和感がない。また、実在する人物と摩り替って工作活動をする「背乗り」の話が出てくるが、日本人になりすましても通用するような風貌が工作員にないと難しいので、北朝鮮やロシアならではの謀略といえる。
0255文字
806_shusaku
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冷戦期のソ連の対日インテリジェンス工作が非常に生々しく描かれた一冊。第二次大戦後のソ連は北海道での対日工作を加速させたが、具体的には根室の一部漁師に北方領土内の漁業権益を与えることによって事実上買収、適宜インテリジェンス人材を民に紛れ込ませることによって、長期的な視野で人・モノ・カネのルートを築いていく。確かに野付半島と国後島の間であれば数キロでロシア領内に入ることができるので、日本の漁船とロシアの巡視艇の洋上接触も可能だったのかもしれない。綿密な取材に基づく力作、人物名以外は殆どノンフィクションらしい。
0255文字
ともくん
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物語の舞台は、ソ連時代の北方領土に近い道東沿岸です。そのあたりで活動している漁師が、あることをきっかけにKGBのエージェントになってしまいます。陰湿で腰を据えたヤリ口がいかにもソ連的で、KGBと公安とのやりとりが、緊張感溢れます。こんな頃もあったのですね。
0255文字
leekpuerro
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北海道で漁をする漁師の一部は、ソ連のスパイとして活動していた。スパイ船はレボ船と呼ばれ、日本の新聞や自衛隊員の名簿の運搬。ベトナム戦争の脱走兵の密航。工作員の手助けなどを行っていたらしい。ノンフィクションなのか小説なのか途中で分からなった。
0255文字
moonset
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まず感じたのが、これは本当に小説なのかということ。内容はオホーツク諜報船という書名が表すとおり、「レポ」と呼ばれる、情報や物資、時には人さえも、日本からソ連に引き渡す、根室の漁船と漁師たちが中心になっています。彼らはその見返りに、ソ連領での漁業権を得ます。ソ連の警備隊ではなく、日本の公安や警察も巻き込んで展開する物語は、読者を意外な結末へと導きます。舞台は北方領土、読んで損はない作品です。
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オホーツク諜報船 (現代教養文庫 1454 ベスト・ノンフィクション)評価100感想・レビュー13