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寓話 上 (岩波文庫 赤 323-1)

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kero385
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「寓話」は難解と言われるフォークナーの中でも飛び切り難解なんじゃないかと思う。過剰とも言える描写がある一方で肝心な箇所はとても曖昧。会話も噛み合わなかったり、謎めいた内容だったり、会話の途中だけを切り取ったり。ある人物の描写にしても、最初はAという話者を想定した三人称で書かれているのにその描写が終わる頃には同じ三人称でも描写の中で登場した別の人物の視点に切り替わっている。上巻の最後の「盗まれた馬」の挿話を含む第六章は、大変複雑な構成で読んでいて常に「誰が誰を」を意識していないとたちまち迷ってしまう。
kero385

ただこの章は、小説のほぼ真ん中で、今までのエピソードを別の視点で描写したり再提示する重要な章。トーレマン(全世界)と称す老黒人が語る「盗まれた馬」の挿話。主人公は、聞き手の連絡兵を第二章で突然殴り出したミステイリと呼ばれる馬丁だった歩哨兵。そして三本足にも関わらず常に勝ち続ける競走馬。いつのまにか外国語を習得してしまう老黒人の孫。「寓話」と題された小説の通り読む側の考察が必須の小説。

02/03 20:00
kero385

「盗まれた馬」の挿話は、自分の不具の身体でも勝ち続けることが生きる意味になっている馬、様々に不貞を働いているのにも関わらず、不具の馬とは意思の疎通が図れるミステイリ、何かの信念を持っているのに生きるためにミステリイリと共に生きなければならない老黒人。それぞれがそういう意図で進んでいるのに、全く意図しない結末に至る「世界/歴史/人間」の不条理を描いているのでは。その不条理の究極の姿こそ「戦争」なのでは、私なりの拙い解釈。

02/03 20:19
0255文字
meg
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ページを繰る手がとまらない。引き込まれる。すごい。
0255文字
壱萬参仟縁
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1950年初出。 戦争の話か。 なんで借りたんだろう? 「悪は人間の一部です。悪も罪も怯懦も、改悛や 勇敢であることと同じに、です。 あなたは、その全部を信ずることになるか、 さもなくば何も信じないことになるかです。 人間はその全部ができるということを信じ なさい。そうでなければ人間は何一つ できないでしょう」(335頁)。
0255文字
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