形式:文庫
出版社:岩波書店
ただこの章は、小説のほぼ真ん中で、今までのエピソードを別の視点で描写したり再提示する重要な章。トーレマン(全世界)と称す老黒人が語る「盗まれた馬」の挿話。主人公は、聞き手の連絡兵を第二章で突然殴り出したミステイリと呼ばれる馬丁だった歩哨兵。そして三本足にも関わらず常に勝ち続ける競走馬。いつのまにか外国語を習得してしまう老黒人の孫。「寓話」と題された小説の通り読む側の考察が必須の小説。
「盗まれた馬」の挿話は、自分の不具の身体でも勝ち続けることが生きる意味になっている馬、様々に不貞を働いているのにも関わらず、不具の馬とは意思の疎通が図れるミステイリ、何かの信念を持っているのに生きるためにミステリイリと共に生きなければならない老黒人。それぞれがそういう意図で進んでいるのに、全く意図しない結末に至る「世界/歴史/人間」の不条理を描いているのでは。その不条理の究極の姿こそ「戦争」なのでは、私なりの拙い解釈。
この機能をご利用になるには会員登録(無料)のうえ、ログインする必要があります。
会員登録すると読んだ本の管理や、感想・レビューの投稿などが行なえます
ただこの章は、小説のほぼ真ん中で、今までのエピソードを別の視点で描写したり再提示する重要な章。トーレマン(全世界)と称す老黒人が語る「盗まれた馬」の挿話。主人公は、聞き手の連絡兵を第二章で突然殴り出したミステイリと呼ばれる馬丁だった歩哨兵。そして三本足にも関わらず常に勝ち続ける競走馬。いつのまにか外国語を習得してしまう老黒人の孫。「寓話」と題された小説の通り読む側の考察が必須の小説。
「盗まれた馬」の挿話は、自分の不具の身体でも勝ち続けることが生きる意味になっている馬、様々に不貞を働いているのにも関わらず、不具の馬とは意思の疎通が図れるミステイリ、何かの信念を持っているのに生きるためにミステリイリと共に生きなければならない老黒人。それぞれがそういう意図で進んでいるのに、全く意図しない結末に至る「世界/歴史/人間」の不条理を描いているのでは。その不条理の究極の姿こそ「戦争」なのでは、私なりの拙い解釈。