形式:文庫
出版社:講談社
形式:単行本
かの天安門事件は、エピローグでさらっと触れられている程度。その内実を、中国で育った人がどう書くのかに興味があったのでそこはちょっと物足りない。故国を離れ英国で暮らすようになった著者だけれど、それでも触れてはいけないものがあったのだろうかと勘繰ってしまう。勉強ができることは、自由に生きることと直結するのだと思い知らされた作品。知識が与えられなければ、奴隷状態にあることすら気付けないのだから。
現代でもしかり、指導者の良心を、国民への奉仕の心を取り戻して欲しい。
毛沢東は正式な学校教育を全面的に否定すると発言p113下 大躍進で鉄を作るために木々を切り倒して燃やしてしまったp122下 大飢饉の時は、田んぼをほったらかして鉄を作り、半分を立ち腐れにしたp123下
昨年10月に、長距離バスの中でお話しした在日中国人の女性(来日後20余年、日本人男性と結婚されていると)の思い出の話と酷似したものを感じました。紅衛兵と毛沢東の時期を中学生で体験し、医者であった父親がつるし上げにあい、一家の財産が没収され。。という驚く内容の話。余りに生々しく、聴くだけで衝撃の時間でした。
悲惨の度合いは、前2巻に増して目を覆いたくなる。 だが著者の筆致に明るさのようなものを感じる度合も増えてきていた。 綴っている現在、事件は過去のものとなり修復されているからだろうか。それもあるだろうが、著者そのものが根底に強い意志を持つ人だからに違いない。 著者のイギリス留学が決まったところで本書は終わる。それは明るい将来を予測させるが、それを勝ち取るまでに、祖母の死、父の死と犠牲にしたものが多すぎる。
ここまで陰惨な叙述が続きながらも読むを止めなかった本がかってあっただろうか。 考えに考えた末だが、ロマン・ロランの『魅せられたる魂』が浮かんできた。今では読む人も皆無と云える書である。 本書も現実を顧みれば今では、1990年代ほど読まれているわけではない。
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