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ドン・キホーテ 後篇3 (岩波文庫 赤 721-6)

感想・レビュー
160

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ぬるま湯
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ドン・キホーテとサンチョの旅もここで終わりかとさみしくなりますね。当初はこの後編も書かれる予定はなかったらしく、素晴らしい作品に仕立て上げてくれた作者のセルバンデスには感謝の気持ちが湧いてくる。後編のメタ的な構成は作品の独創性を何段階も上げたと思います。後編おもしれ。作品について調べてみるとこの時代にキャラクターの内面をこれだけ表現した作品は画期的らしいですね。読んだ人は誰でも主人公の二人が好きになるのではないでしょうか。最終章の感慨はこの長編をここまで読んできた読者へのご褒美です。
0255文字
Gorikell
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ネタバレ切ない最後だった。起こった出来事は、文量と比して決して多くはない。これだけの長編となった理由は、どう考えてもそれぞれの登場人物らが物凄くおしゃべりで、一人残らず時に数ページにもまたがるような長広舌を繰り広げ続けるからに他ならない。では冗長な小説か、と言われると決してそうではない。17世紀に書かれたとは思えないほどユーモアに富んでいて、しかも各キャラがしっかりと立っていて、後篇に至っても飽きさせず、時々吹き出さざるを得ないこともあった。また、当時の風俗をリアルに追体験できる貴重な小説だといえよう。
Gorikell

そして、作者自身がこの騎士道物語の化身ともいえようドン・キホーテを葬り、何人たりとも彼をまた遍歴に立たせることのないように、念には念をとばかりに締めくくる。やっぱり騎士道物語の風刺、という点からはぶれなかった。忙しなく読んでしまったが、本来は、またあのドン・キホーテという狂人の沙汰に触れたくなったときに、数章ずつつまんで、ほくそ笑むような設計の物語なのかもしれない。今度読むときは、のんびり読むことにしたいと思う。

01/31 21:11
Gorikell

ラバじゃなくてロバでした。

02/01 00:02
3件のコメントを全て見る
0255文字
特盛
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評価3.8/5。長い旅の最終巻はこんな終わり方なのか、と少し寂しくなった。夢から目が覚めることについて考える。我々は脳が作り出した虚構モデルと現実をなんとかすり合わせ生きているのだろう。それが極端に離れて、それをつなぐ伸び切ったゴムが一気に双方がバチンと衝突してしまったような感じだ。人は狂気に陥っている時の方が自分でも、傍から見ても楽しいのではないか。まとも、というのはある意味ゼロなのかもしれない。覚めない夢を見続けられるのは才能だろう。そう考えると、眠りについての幸せをサンチョが話していた言葉が印象的だ
0255文字
Kei
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0255文字
八百蔵
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続編贋作を徹底的にくさすという目的があるからだと思うが、ドン・キホーテは、前篇のような自らの頭の中の妄想世界ではなく、前篇が出版され、有名となった妄想騎士を待ち構えられている現実世界にいる。このため、何が現実かわからなくなる人まで出る。後篇の方が圧倒的に面白かった。「副王は…二人をそのまま戦わせるか、それとも決闘をやめさせるべきか判断に迷ったが、結局、どう考えても何かの冗談としか思えなかったので…」。
0255文字
りんご
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セルバンテスはドン・キホーテを思いやり、良き人として終わらせたような気がします。前篇は新訳で再読してみようかな。。。
0255文字
おか
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はぁ終わった~~~ヽ(^o^)丿でも 最後まで読んで良かった❣お馬鹿で滑稽だけだと思っていたドン・キホーテを 私は今では尊敬しています💕そして サンチョ・パンサの何と人間味溢れる従者であったことにも気が付く。それに引き換え 公爵夫人の何といやぁな、愚かな人間であることか(# ゚Д゚) 最後のドン・キホーテの臨終の場面は 思わず泣いてしまいそうでした。彼が気高い心をもって天国に導かれたのは疑いようのないことです💕最後まで読んで本当に良かった
0255文字
もも
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前篇は能動的、後篇は受動的。後篇はドンキホーテより、(主に)公爵夫妻など取り巻く人々の愚かさ、滑稽さが際立っていました。前篇だけの方が良かったと思う。特に公爵夫妻のしつこさには食傷気味になった。
0255文字
ぷよ吉
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ネタバレ長かったドン・キホーテも、とうとう最終巻。今回も笑わせてもらい、考えさせてもらう場面が多く、いつの時代にも弱き者達を庇護する、キホーテの様な存在があれば心の救いになるのではと思う。友人達の尽力の甲斐もあってか、キハーノとしてラストで正気に戻るも、親しい友人達に惜しまれつつ生涯を終えるのは、悲しくもあり皮肉でもあるが、つまるところセルバンデスは、ドン・キホーテを肯定しつつ、徹底的に騎士道物語を否定しているんだろうな。
0255文字
かふ
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ドン・キホーテの騎士道物語は叙事詩であり、それを批評するサンチョ・パンサというメタ・フィクションになっている。セルバンテスから影響を受けた現代作家ナボコフや大江健三郎にその喜劇的諧謔性は受け継がれていた。ナボコフは『ドン・キホーテ』をテニスの試合に例えていたがラスト近くにテニスの喩えが出てきたのには驚いた。また思い姫のヒロイン(名前は覚えられなかったが)がイメージとしてドン・キホーテの主人となるのはキリスト教的な説話のようだ。それを異教徒の書いた物語の翻訳としているところが入れ子構造になっている。
かふ

敗者となったドン・キホーテが牧歌的なイメージをサンチョに語るところなんてドン・キホーテの詩人らしさを現している。いまさら騎士道でもないだろうと批評していたサンチョ・パンサもそのイメージの虜になってしまうのだ。そして帰還してドン・キホーテは詩の中にしか居らず、本名のアロンソ・キハーノに戻る(狂気からの帰還)。それはすでに一人の詩人の臨終でしかなく、大いに胸に込み上げてくるものがあった。批評家であったサンチョ・パンサもドン・キホーテの遍歴の従者だったことに気がつくのだ。そして読者も。

09/16 17:49
0255文字
燃えつきた棒
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お笑い芸人のステージをよくテレビで観る。 東京03、ナイツ、シソンヌ、バイキングなどだ。 だが、同じ芸人のステージを続けて観ていると、だんだん笑えなくなってくる。 笑いがどうしてもワンパターンになってしまって、飽きてしまうのだ。 ドン・キホーテの自虐ネタも、こう長々と読まされると、いささか食傷気味になってしまう。 最初の頃、孕んでいた逆転のエネルギーや毒も、どこかへ雲散霧消してしまったかのようだ。/
燃えつきた棒

⑤→ 騎士道物語を墓場へ送ることはできても、その後から次々と立ち上がってくるキリスト教、民主主義、資本主義、共産主義、民族主義、優生思想、新自由主義、新ユーラシア主義などの数多の物語から自由でいることは、誰にもできないのではないだろうか? だとすれば、いったい誰がドン・キホーテを笑えるだろうか? 僕らの姿があの「憂い顔の騎士」の姿に似ていないと、果たして誰が言い得るだろうか?

08/15 22:04
燃えつきた棒

⑥ 人は、ドン・キホーテを笑うことができる。 だが、ドン・キホーテであらぬことはできない。

08/15 22:21
5件のコメントを全て見る
0255文字
くまもちペタお
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ネタバレ狂人であったころの方が魅力的なのが不思議でした!
0255文字
Yasu
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前編と後編の違いが面白い。前編は自分で妄想した冒険、後編は周りが仕掛けた冒険と言えよう。セルバンテスは余程他者の書いた続編が気に入らなくこの後編を書いたのではないかと推測する。それが故にこれ以上亜流の作品が書かれないように最後ドン・キホーテに死を与えたのだろう。周りの目を気にせず自分の信じた道を進むという点では日本人はドン・キホーテを少し見習った方が良いかもしれない。
0255文字
Izutan
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読み終えた。公爵夫妻のドンキホーテたちへの戯れの執拗さと手のこみように、娯楽がないからかな?くらいに思っていたが、結局、「狂人を嘲るのものも、また狂人」ということか。ドンキホーテが死を目前にして徐々に正気を取り戻すのも、却って物悲しい。
0255文字
ミコヤン・グレビッチ
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(後編(二)の感想からの続き)「スペイン版大岡裁き」が秀逸。しかし、旅の終盤になるとさすがの騎士殿も狂気から醒めてきたのか、特に知人である同郷の学士が扮した敵騎士との戦いに敗れたあとは、いささかショボくれた感じになる。思わず「ドン・キホーテ殿、元気を出しなされ」と声をかけたくなるほどだ。さすがに後編だけでも普通に読めるというわけではないが、前編とはまた違った仕掛け、切り口、面白さがあるという意味において、決して二番煎じあるいは二匹目のドジョウ的な「後編」ではない。前編を読まれた方はぜひこちらの後編も。
0255文字
逢日
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年越し長編チャレンジ。松本白鸚のラマンチャを観たくなるな。
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メルコ
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ドン・キホーテとサンチョ・パンサに様々な冒険が降りかかる。そして村に戻って一年間はおとなしくしているよう宣告される…。後篇の印象は現実にあったニセモノの続編の出現であり、それに左右される主従らの運命の行方である。話題が本筋から大きく脱線したりして少しやきもきする。騎士道物語に浸りすぎて狂気に陥った主人公は、次第に現実を受け入れていく。しかしそれは衰弱の過程であったか。文学史上に名を残したのは、唯一無二のキャラクターと壮大な物語の見事さからであろうか。
0255文字
てれまこし
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後篇では主従二人の狂気よりも叡智のほうが目立ってくる。解説にもあったが、後篇においてはキホーテは自分の妄想ではなく他人の仕掛けたいたずらによって騙されてる。そして最後にはとうとう正気に戻ってしまう。ひとつには贋作である続編で自分の創造した愛すべき人物たちが不当に貶められたと感じられたらしく、後篇でこの不当な扱いから二人を弁護する要があった。道化にはただ嘲笑の対象となる以上のものがある。創作者の偏愛もあるだろうが、阿呆こそが曇りなき眼で世界を見ることができるという考えが完全には見失われていなかったのかもね。
てれまこし

ちなみに小説内の登場人物が前篇と贋作である続編を読んでいるという設定で、フィクションと現実の境界が侵されて入り混じっている。だから読者もまた読まれる物語に引きこまれる。これを優れた技法としてトマス・マンを含む後の文学者たちは高く評価したらしい。だが、現実とフィクションの境界が明確に区別されるようになったのはおそらく近代以後で、それ以前はウソとまことの区別は曖昧だったんではないか。まさにそうであるがゆえに聞き手も物語にのめり込めた。ラブレーにもセルバンテスにも現実の地名や現実の出来事が物語に埋め込まれてる。

11/06 17:43
てれまこし

ドン・キホーテが正気を取り戻して騎士道を捨て去り、善人のアロンソ・キハーノに戻ってしまう終わり方は悲しい感じがする。これを一種の敗北と受けとるのはロマン主義の洗礼を受けたぼくらには多いから。だが、おそらく当時の感覚では救済。ドン・キホーテは悪魔的な阿呆ではないから、死後は神様のところに行くべき。サンチョはより伝統的な悪魔的道化に近いけども、それでも善良なキリスト教徒である。フィクションと現実が明瞭に分けられてたら面白ければよいけど、そうではないから創作された人物もまた救われなければならないじゃないか?

11/06 17:53
0255文字
えふのらん
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決闘や舞踏会がドンキホーテの願望を成就させていく。が、公爵の制御を離れたことでドンキホーテらしさは減退している。作中で出版された”前篇”とその主人公であるドンキホーテへの賛辞は確かに気持ちがいい。しかし、それは彼の狂気を目の当たりにした者の言葉ではない。公爵は悪ふざけがすぎたが、それほどの事をしないと老人の狂気は制御できないわけで、それを気分が悪いと謗り二人の掛け合いを面白がることはドンキホテーテの狂気からの逃避にすぎない。
えふのらん

しかし、本質から逃れたから見えてきたこともある。幾度も言及されてきた騾馬の矛盾への言及、何度目かの偽書への攻撃、偽ドンキホーテへの軽蔑、後篇1に続いて記号化の罠にはまってはいるが、そのおかげで脱構築的な視線は作品を超えてひろがっている。ドンキホーテは死ぬが、セルバンテスは永遠に生き続ける。自己言及を功罪を抱えたまま、死んでも終わらない最終間だった。

10/29 12:33
0255文字
kana0202
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6巻まで読んで、たくさん笑わせてもらったし彼らの旅が終わってしまうのが残念。解説が秀逸でいろいろなことがよくまとめられている。気になったのは、やはりメタテクスト関係。マルケス百年の孤独が、シューーっと閉じていって一点に収束するイメージならば、こちらは決して収束しない。ドンキホーテの生涯が終わっても、書く世界があって、しかしその世界にドンキホーテもいて、もちろん読者もいて、しかしやはりそこからは何らかの距離があるように自分には思えて、ぐるぐるしていく。サンチョがとにかく可愛そう。
0255文字
tess
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ドゥルシネーア・デル・トボーソは比類なき思われ姫の名として私の胸に深く刻まれた。名無しの灰毛驢馬と共に。それにしてもこんなに複雑な構造の作品だったとは。
0255文字
esop
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ネタバレそれ忘恩は傲慢の産物にして世に知られたる大罪の一つなり/それゆえ、自由のためなら名誉のためと同様、生命をかけてもよいし、まあ、かけるべきなのじゃ/愛というものは思いやりを欠いたものであり、その展開においては理性の束縛を受けることながない/ああ、凶暴な力を秘めた嫉妬よ、お前は胸の中にお前を受け入れた者を、なんという絶望的な破局へと導くのでしょう/人を愚弄する者たちも愚弄される者と同じく狂気にとらわれている/
esop

友のサンチョよ、どうか赦しておくれ。この世の遍歴の騎士がかつて存在し、今も存在するという、わしのおちいっていた考えにお前をおとしいれ、わしだけでなく、お前にまで狂人と思われるような振舞いをさせて本当にすまなかった

08/06 14:50
0255文字
ぞね
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騎士と従士との愉快な旅も、これにて幕引き。第一巻を読み終えたときは「こんな調子でどうやって六巻まで続くんだ⁉︎」と思ったが、なんだかんだ、最後まで楽しく読めた。後編は、登場人物が前編を読んでいるという設定のお陰で、物語の幅がさらに広がっている。 気になっていた、郷士が騎士道物語に没入するきっかけについての描写はなかった。彼ほどの人物が狂気に至るには、何か現実逃避を回避できないほどのショッキングな出来事があったからでは、と考えていたのだが……
0255文字
takeakisky
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旧版で読んでいるので最終分冊から訳者が変わり、急に喋りが江戸っ子ぽくなるサンチョ。うむ。正気を無くしたドン・キホーテ、愚かながら美しい心映えのサンチョ・パンサ。現実から滑り落ちてしまった彼らの生き方、現実には成立しえない彼らの生きる世界が、哀しく儚く美しく、真っ当である印象を持つ。非常に厭世的な心持ちになる。伯爵夫妻から離れたときに私の感じた解放感。バルセロナを後にしてからの長い長いエピローグはご褒美。偽作にちょっかいを出しつつ、ゆったりとストーリーは進み、家へ至る主従。静かに幕は下りる。私も現実に戻る。
0255文字
4047
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ネタバレドン・キホーテ読了. 決闘での敗北がきっかけで帰郷,その後は衰弱し亡くなるあっけない最期だったが,最後に正気を取り戻し自分のこれまでの狂態を懺悔する.このラストシーンは一抹の寂しさがある. 前編・後編に渡り周囲の人々を自身の狂気で持って振り回してきたドンキホーテだったが,最期は皆に囲まれて天国へ旅立ったことからも,なんだかんだで愛されていた人物であったことが伺える. 侯爵夫妻などドンキホーテを無聊の慰めにした人物は多いが,彼らをもまたある種の狂気に引きずり込む,不思議な引力を持ったキャラクターだった.
0255文字
きゃれら
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ネタバレ物語の終わりは、長くて面白いほどそうかもしれないが、もの悲しい。いつのまにかドン・キホーテの狂気に感情移入してしまっており、今際の際に正気に戻ったのさえ寂しい気持ちになった。僕らの人生だって「名声・仕事・お金」という幻想に支配され続けていて、その夢が覚めるのは死の間際なのかもしれない。ドン・キホーテのように生きて死にたい、というわけのわからない思いが生じてしまっていて、我ながら驚く。何百年たっても全く古びない古典中の古典。同時代シェイクスピアの言葉遣いがちょっと古い感じなのと対照的?あれは演劇だからかな?
きゃれら

ドン・キホーテが極めて現代的できっとずーっと色褪せないと思えるのは、サンチョパンサのことわざが、すまじく現代的だからではないでしょうか。 《警鐘を鳴らす奴は安全なところにいる》 《金持のたわごとは、世間で格言として通る》 すごすぎるよ、サンチョ殿。

06/16 11:03
0255文字
しも3
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一気に読了した 面白い ユーモアたっぷり 仕掛けもすばらしい
0255文字
練りようかん
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ネタバレ自由な生活に戻りたい安楽よりやりがいを求める二人の生き方の共鳴が描かれた序盤は、まさに友という感じがして心温まった。超長編に幾つもの挿話と短編がおさめられ、正直集中力を欠くこともあったが最後まで興味を引いたのは物語内で印刷されたドン・キホーテ。誤りを正し周知させる執念を見せる一方、世間と二人の実際的な乖離はそのままというのが面白く、誰かの介在で曲解されることを徹底して嫌った人なのかなと想像した。そして振り返ればサンチョ読みだったが終盤で新たな一面を見せ複雑さが感慨を齎すドン・キホーテの存在感が流石だった。
0255文字
SATOMAN
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ネタバレ公爵夫婦のいたずらが続く。サンチョの島の統治は散々な目にあって終了。サンソンカラスコが、またもや登場し、ドンキホーテに勝つ。ドンキホーテは村に帰る。ついに狂気から目覚め、死ぬ。
0255文字
じゅん。
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後編は前編と違って、ドン・キホーテが狂人である事が人々の間に知れ渡ってるから彼を煽り立てたり揶揄う構図がベースにあって(それがまた笑えるわけだが)前編とは違ったノリが楽しめた。ドン・キホーテの恐るべき点は論理が一貫してて乱れがなく穴がないことで故に彼の世界は完成していること。まぁ無敵ですよね。こうなると。ぶっちゃけ自分自身が信じる世界があってその世界で輝いて、充実していた場合それは素晴らしいことだし(ただ彼はいささか極端すぎる節がある)なぁ。最終章は何だか寂しく、切ない。長かったが、最高に面白かった。
0255文字
saeta
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なるほど。こういう結末にしたんだな。模倣作品を排除したく、最後は正気に戻し、ドン・キホーテをここで終わらせたように感じたが。しかし、電気もない、車もない、PCやスマホも無い時代の作品なのに、古さを全く感じさせないのが古典名著だな。人間の精神性など、テクノロジーの進化と比べ、ほとんど進化していないのかも。
0255文字
尼西基馬大意
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ドン・キホーテは本に喰われた知識人であったろう。グーテンベルグの活版印刷術の発明から100年余り、それは書物でもって人類を啓蒙するという役割を果たしたのかもしれないが、一方で荒唐無稽な物語で人々を惑わせ狂わせるという負の側面も持っていたのだ。セルバンテスの生きた時代は、本という新しいメディアの弊害が顕れていたのだと想像できるし、本の読み過ぎて狂った人が実際にいたとしても不思議ではない。だが狂気に生きることは不幸なのかと言われたら、是とも非とも言い難い。正気で生きるにはこの世はあまりに世知辛い。
0255文字
藤月はな(灯れ松明の火)
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ネタバレ儘ならず、周囲に振り回される領主暮らしにうんざりしたサンチョ・パンサがただの農民に戻れる時に御供の灰色驢馬に駆け寄り、泣く場面が印象的。身の丈にあった生活や仕事こそ、人の幸福なのだ。一方でドン・キホーテ達の物語に興奮し、その世界観を自分なりに作り上げようとする公爵夫妻やカラカスのような人は、行間をも読み、二次創作しちゃう物語狂の業を映し出しているようで苦笑。そして自分の無力さを知り、正気に戻ったドン・キホーテがアロンハ・キハーナへと戻り、死を向かえてエンド。こんなに寂しくも清々しいラストだったなんて。
藤月はな(灯れ松明の火)

読む前は只の騎士道小説狂いの珍道中と思っていたけど、正常と狂気の境への問いかけ、物語狂への皮肉や後の二次創作作品への批判、作者の経歴語りなど、メタ的な視点も横溢している、楽しい小説だと実感しました。映画『ブック・セラーズ』で『ドン・キホーテ』の美本全作が『007 カジノ・ロワイヤル』より、安い値段で売られていた事を嘆くスペイン作家の嘆きがちょっと、分かるかも・・・。

10/09 22:37
0255文字
クサバナリスト
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ネタバレ上巻から下巻まで、数年の間を置いてやっと読み終えた!!! 最後、最後は、最期なのか!!!、ちょっと悲しい😢
0255文字
ちー読
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自分の周りで読んだ人が誰もいない!名作なのに?それで読んでみました。感想を書くのが難しいほど、面白かったです。とにかく登場人物がみんなよくしゃべる!ドストエフスキーの『白痴』もよくしゃべるけど、『ドン・キホーテ』はもっとしゃべる。そして、その話が一々面白いです。最後には、狂気も去って哀愁が漂います。友と冒険と、意外にも物語の王道がここにあり、名作である所以に気が付きます。読んで損無し!
0255文字
やいっち
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これで全六冊を読み終えたことになる。大作だし、再読することは恐らくないだろうと、一気読みはしないで、ゆっくりゆったり読んできた。巨大な水車を巨大な敵と観て戦いを仕掛けるドン・キホーテという、昔読んだ物語の冒頭のイメージが後篇を読むことで大きく覆された。物語に作者が出たり偽のドン・キホーテらが登場する物語が物語の中に繰り込まれたり、ドン・キホーテが正気と狂気を往還した挙句、最後には……。なるほど、全体を読んで初めて本作品が以後の作家らに甚大な影響を及ぼしたのもなるほどと思わせられる。楽しい物語の長旅だった。
0255文字
毒モナカジャンボ
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ドン・キホーテとサンチョ・パンサをめぐる環境は激動を深めていくのに、ドン・キホーテはゆっくりと闇に沈んでいき、サンチョ・パンサは光り輝く。冒険が終わってしまったら、サンチョ・パンサの愉快な話しぶりが聞けなくなると道中他人から言われる始末である。実在した盗賊団との邂逅、海賊船との戦いにドン・キホーテは参加することなく、ただサンチョ・パンサのケツへの鞭打ちだけが彼の幻想を支えてくれているようにさえ思えてくる。ドン・アントニオの悪戯や作者が示唆するごとく公爵夫妻もまた「狂」の人に近づきすぎていた。
毒モナカジャンボ

あらゆる物語には終わりがある。ドン・キホーテは「銀月の騎士」と戦って敗北した後、その正体を確かめることも叶わずゆっくりと幻想を自身で剥ぎ取っていったのだろう。ドゥルシネーア姫はついに無垢の美姫のままドン・キホーテ自身によって消え去られんとする。臨終の際、カラスコやサンチョ・パンサがかける声。この大人物に生きていて欲しかった。なんなら狂気に囚われたままでもよい。口汚く罵られ続けた贋作ドン・キホーテの作者にすら臨終の際でドン・キホーテは哀れみを覚える!「人間にとって物語とは何か」という問題が全て詰まっている。

07/17 19:19
0255文字
kaho
新着
のんびり読んだつもりなのだが、読み終わってしまった。6巻ものとも 3巻ものが二つ とも捉えられる程、前後編で明白な出版時間差とキャラクター描写の差はあるのだが、6巻中のエピソードが、過去の騎士道物語というスタイルのパロディにどれ程溢れていても、同時にどの騎士道物語ともハッキリと一線を画す 濃厚な顛末を持つ結果、どんなに時間を掛けてゆっくりと読んたとしても、おそらく読了した人の胸の中にドン・キホーテとサンチョは それらのエピソード全てを従えて、がっしりと居場所を作ってしまうだろう。セルバンテスは、偉大だ…。
kaho

スペインものの読書も昨年4月から開始して、一年二か月。これにて109作品を経過し、自分の中に取り込んだ。きっかけは、スペインの作曲家のソナタ楽曲を弾くことだったのだが、もうそちらの目的は完全に外れている(笑)。現在は、スペインにメインのトランクを置いたまま、あちこちを放浪している感じだが、➡

06/25 02:53
kaho

➡いずれ遠からずスペインに置いているこの小さな部屋も引き払う。そんな日が近くなっていることを感じつつ、この6巻のレビューを書くのは、また存外に淋しい気持ちがするのだ…。/ "Segunda parte del ingenioso caballero Don Quijote de La Mancha、1615"Miguel de Cervantes Saavedra(1547-1616)

06/25 02:54
0255文字
オザマチ
新着
ネタバレ死の間際に彼が騎士道物語を否定していくのは、少し寂しい最期であると思った。狂気に囚われていたとはいえ、彼の人生の大きな柱の一つであったはずだから。
0255文字
おとん707
新着
ドン・キホーテとサンチョ・パンサのやり取りはドン・キホーテのボケとサンチョの突っ込みの漫才風だが、その中には単純な考えだからこそ気付く真実や人生の真の価値とは何かというような、実は深い心理的洞察がふんだんに織り込まれていてなんとも贅沢な読み物だ。しかも長いのに冗長にならない。なかにはキリスト教に対する風刺と思われる部分も多々あるが、回教徒シデ・ハメーテなる人物が書き残したことをただ伝えたという形で巧みに教会の糾弾をかわしているようだ。実際に出回った続篇を称す贋作をも題材に取り込んだ機転にも喝采を送りたい。
0255文字
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ドン・キホーテ 後篇3 (岩波文庫 赤 721-6)評価86感想・レビュー160