形式:文庫
出版社:幻冬舎
形式:単行本
形式:Kindle版
(あそこまで行くと人間は、自分が宇宙という全存在の中の何であるかがはっきりと感じられてわかる。この自分なくしてこの川もこの山も世界全体は在りはしないという、不遜なようだがしみじみした、すべてのものごとへの懐かしさのようなものが身を浸してくれるのだった205) 一体になった感触がつかの間で、やっぱり自分は自分の肉体に閉じ込められたまま、というようなリアル。☆「聖餐」の、ある種の精神疾患?みたいなのは完治しないのではないか、というのは、あたしもよく思っていることでした。
(その後なかなか寝つけなくて、やっと眠ったら夢の中で空から何か白い花がいっぱい降りかかってきて、花だと思ったらそれが雪で、思わずあの人のことを呼んで探したのに、雪の中に私一人で立っていました。そしてあの人を探すように手のひらで落ちてくる雪を受け止めて、手のひらの雪を見るとそれが彼の顔をしているんです。でもすぐに溶けて消えてしまうの 「海からの声」149) 石原慎太郎が死んで、また、昭和が遠くなった、という感じがします。
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(あそこまで行くと人間は、自分が宇宙という全存在の中の何であるかがはっきりと感じられてわかる。この自分なくしてこの川もこの山も世界全体は在りはしないという、不遜なようだがしみじみした、すべてのものごとへの懐かしさのようなものが身を浸してくれるのだった205) 一体になった感触がつかの間で、やっぱり自分は自分の肉体に閉じ込められたまま、というようなリアル。☆「聖餐」の、ある種の精神疾患?みたいなのは完治しないのではないか、というのは、あたしもよく思っていることでした。
(その後なかなか寝つけなくて、やっと眠ったら夢の中で空から何か白い花がいっぱい降りかかってきて、花だと思ったらそれが雪で、思わずあの人のことを呼んで探したのに、雪の中に私一人で立っていました。そしてあの人を探すように手のひらで落ちてくる雪を受け止めて、手のひらの雪を見るとそれが彼の顔をしているんです。でもすぐに溶けて消えてしまうの 「海からの声」149) 石原慎太郎が死んで、また、昭和が遠くなった、という感じがします。