A 自殺自由法成立後の日本では、希望者は自逝センターへ行き、国家によって自殺を幇助されることができる。ダラダラと生きて国の金を使われるよりも、殺すことに金をかけた方が安上がり、ということである。トチ狂った設定でありながらも妙に生々しさを持つ物語空間の中で死ぬ自由が保障されたとき、人々は「生きる意味」を求められる。20~30人の固有名詞を持った登場人物達が、死を突きつけられもがきまくる。大きな物語たることを放棄し、徹底的に小さなエピソードを重ねる。世界の空虚さを徹底的に暴く、倫理人道ヒューズぶっ飛んだ怪作。