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文明論之概略を読む 上 (岩波新書 黄版 325)

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kitakama633
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ようやく上巻クリア。自由は不自由の際に生ず。俗権と霊権との分離にこそ、良心の自由のただひとつの源泉である。俗界の権力と霊界の権力とが分離したことにより、形而下の権力は、聖なるもの、あるいは信仰や真理に対して権力も勢力も持たない、という根本原理が形成された。教会と国家は、どちらも他方を完全には圧服しえなかった。イスラムでは、コーランの力と剣の力が同じ手に握られていた。彼らの文明に内在しているように思われる暴政の誕生は、まさに俗権と霊権の一致による、精神的な権威と物理的な暴力の混同によるのである。
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三毛猫
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当時の時代背景、福沢が影響を受けた欧米の思想家について丸山が広く解説してくれるため、現代の私たちでも難なく福沢の世界に入っていける。「物が貴きにあらず、物の働きが貴きなり」「自由は多事争論の中に生ず」「両目を開いて(=物事の長短を見て)議論せよ」など現代でも役立ちそうな思考法が並ぶ。また日本の独立の維持を切実に望む福沢からは、現代にはつい忘れてしまいがちな「自国が存在すること」のありがたみが思い出される。
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masanari
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どんなに正しい言説でも単一になると暴走する。丸山はこの考えが福沢の思想の核心だと指摘するが、丸山自身の思想の核心でもあるのだろう。「大日本帝国の実在より戦後民主主義の虚妄にかける」と啖呵を切った丸山の意図はここにあったのだと納得した。戦後日本がいかにアメリカの言いなりに動いていたとしても、民が多様な意見を持って議論し合える環境ができたという点で丸山は戦後日本を評価した。だからこそ環境は整っていながら民が考えなくなった高度経済成長以後、丸山は挫折感を覚えたのだろうが。
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yanagihara hiroki
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学生の頃、「思想家と思想史家は違う。」というクリシェで思想史の研究者になろうとする同級生が助教授から否定された話を聞いた。「丸山真男の教えていた大学でそんな妄言を吐くバカがいるのか!」と当時は憤ったが、後に丸山真男と森有正の対談を読み、そのクリシェが丸山由来だったことを知り、幻滅した覚えがある。ただ、丸山はまさに思想家然とした師匠南原繁との対峙の中で、自らを「思想史家」と定義せざるを得ないことへの含羞は持っていたのだとこの本からも感じる。その含羞が開き直りになった今のアカデミアで再読されるべき本だと思う。
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Jiu_yoriyori
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言葉は難しくないけれど、題材が硬派なので厳しい(ゼミの課題)
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かす
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福澤諭吉著『文明論之概略』の副読本上巻。この古典における内容の解説や時代背景が掲載されており読む助けになる。特筆すべきは古典との向き合い方に示唆を与えてくれる序章だ。古典とどのように向き合っていくために何を理解すべきかを教えてくれる。序章の冒頭に述べられているが読書、ましてや古典に対する向き合い方を習熟する時間は現代にはない。この本を足がかりに古典・難書に立ち向かうことができそうだ。
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かんがく
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福沢諭吉の名著を、丸山真男が講義したもの。現代語訳版とともに読む。上巻では古典を学ぶ意義について、福沢諭吉についてを語った後、1~3章を扱う。福沢の思想の背景にあるギゾーやトクヴィルについての解説、国体論批判について丸山自身の戦時体験との比較などが豊富で、理解が深まる。議論する際の注意点(テーマの優先順位の確認など)について書いた第1章は是非現代人にも読んでほしい。第2章の国体、政統、血統を比較して、天皇制と国体を切り離した話はかなり面白い。
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Tai
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福沢諭吉が影響を受けた学問や人物、一貫して流れる命題、二人の生きた時代も描かれ、理解が進む。/文明は相対的/人事の進歩は多事争論の間にあり/人の素質で唯一の絶対悪は怨望/欧羅巴の社会秩序の多様性、その闘争から自由が出てきた。教会と国家。/自由は不自由の間に生ず。×ザ・リバティ○リバティーズ/「惑溺」物の貴きにあらず、其の働きの貴きなり。刀。君臣の関係=絶対的とした孔子。儒教の限界。コンディショナル・グッド(十全健康でなく帯患健康)で良し。西洋文明を目的としながら一方でそれを帯患健康といえる精神の強靭さ。
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裕樹
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ネタバレ政治のレベルを決めるのは国民のレベル。だからこそ、国民のレベルを高める必要がある。
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あかつや
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20年ほど積んでいてようやく読んだが、いやあ積んでた甲斐があった、すごく面白い本だ。元々名著である『文明論之概略』がさらに輝くようじゃないか。上巻は『概略』の序~第三章までを一歩一歩着実に解きほぐしていく。現代と同じ語でニュアンスの違う言葉なんかも丁寧に説明されるので、ああそういう意味だったのかと膝を打つ箇所が多々あった。また、まえがきで推奨されていたように、本書で「朗読」と指示されている所ではなるべく声に出して読んだが、言われている通り福沢の文はリズムがすごくいい。全部はさすがに面倒だけど音読でいこう。
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politics
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福沢諭吉も凄いが丸山眞男も凄い、と感じさせられる本。『概略』自体まだ読んだことがなかったので、福澤が国体についても論じているということは大きな発見だった。国体についてそういった捉え方があるのかと勉強になった。また、丸山氏による、「序」も古典にどう向き合うべきかが解かれ、改めて古典に当たることの重要性を再確認できたと思う。
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ああああ
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引き下げデモクラシーは上巻に記載
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HARU
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2010年5月以来、7年半ぶりに再読。既成概念を壊して新しいものを作らねばならぬ時に読むと良い。惑溺を払拭し文明化する。
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アブーカマル
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圧巻の一語に尽きる。丸山真男もすごいが福沢諭吉が凄すぎる。国体論批判はほとんど福沢諭吉がやってしまっていることに衝撃と悔しさを覚えた。(福沢がほとんど完璧に終えてしまった国体論がなぜ再び蘇ってしまったのかが我々に残された課題だが…) 福沢による国体の定義は日本人が日本の領土において支配していること、それは先の敗戦で一度は断絶したことになるので現在の日本人にとっては甚だ都合の悪い定義だが、皇統連綿は福沢にとっては関係ない。皇統は独立の「兆候」であってその原因ではない。
アブーカマル

ロシアやイギリスが、頼朝のやったことを行なったらどうなるのか。p.194 英人・和蘭人が東洋の地方を取りて、旧の酋長をばそのまま差し置き、英蘭の政権を以て土人を支配し、兼ねてその酋長をも束縛するp.187 はたしてこのような状況で万国無比の国体などと言えるだろうか? 福沢の生きた時代というのはその憂慮は現実のものであっただろう。

10/07 16:27
アブーカマル

福沢諭吉好きだなあ、誰か一万円札

10/07 16:33
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Koji
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19世紀末、アメリカ独立宣言の100年後、内閣誕生の10年前に著された文明論之概略。長所は短所。危機の時ほど盾の両面を見なくてはならない。西洋文明を絶対視し、西洋化が進むほど日本人の独立心が劣化していくのでは本末転倒だ。先ず目的とすべき文明化は一国の独立という真の目的の手段であり、獲得すべきは「文明の精神」なのだから。社会活動が多様化すると単一価値が破れる。互いに競い合う分化した価値を選択する所に精神の自由が育つ。競争の中のダイナミックな安定こそ「文明の精神」を生み出す土壌なのだ。福沢の見る先は遠い。
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Haruka Fukuhara
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苅部先生が丸山真男の人となりがわかるといった類のことを言って紹介していた本の一群の中の一冊。勉強会の録音を基にです・ます調で語られていて、先生が言っていた意味がわかる気がした。内容どうこうよりもこの知的な空間の雰囲気が学部時代が懐かしくなる。随分と色々な勉強会や演習にお世話になった。ひとりでも勉強は出来るし満足してるけど、時々懐かしくなるな~。そして気づくと苅部先生の影響で読んでいる本の多さが際立つ。
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サイレント=オタク
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ネタバレ福澤『文明論之概略』を片手に。古典を読みなれていないので、全く理解しきれなかったが、この本を読んで、全然理解できていなかったことがわかる。古典の読み方の心得も書かれており福澤の本と共に4冊セットで購入し読んでいる。開国維新期を生きた福澤に取って、近代知識人として、「半開」の日本が文明を拓くのにまず西洋をモデルとし、外形よりも精神の内的変革を説いたり、国体や政統、血統の別を説いたりするわけだが、これが丸山真男の最上の知識と、彼の経験を踏まえて詳しく解説されることで、より理解を助けるものとなっている。
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おらひらお
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1986年初版。上中下の三分冊でしたが、知らずに上・下のみ購入でした。でも面白い。
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しゃん
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はるか昔、自分が浪人生時代に当時通っていた駿台京都校の夏の推薦図書だった一冊。これをようやく手に取ることができた。岩波文庫の『文明論之概略』を読みながら本書を読むと、福澤先生の意図するところが非常に明快に入ってくる。分かりやすいけど、深い解説。中巻に続く。
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watarum
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大学生以来、10年以上ぶりに読む丸山真男。いやー、面白い。特に語りだから、すぐ読める。とはいえ、なかなか手ごわいですが。学生時代にかって、ようやく読める。明治の日本みたいな状態(もっと悪いか)の途上国で読むと、やはり福沢がいた日本(もっとたくさんの知識人もいたいわけだが)は、恵まれていたなと思うきょうこのごろ。
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Yuki Takahashi
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国家や宗教など、西洋思想を日本人はどのように受け止めてきたのか勉強するため、福澤諭吉について学ぶ。大学創立者の考え方を学ばず卒業したことを、大いに反省しています。
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Happy Like a Honeybee
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福澤諭吉の真髄を知る手掛かりに。 イギリス議会政治の問題点。現在主義的傾向にある。 今の瞬間だけを見ているマスコミ。現在状況の絶対化へ危惧する。 官に在る人に秀れた人物が少なくないが、平民も無気力な愚民だけではない。ところが一人一人は智者でも、集団だと愚かなことをやる。 これは明治期から変化のない、国民的心理なのか?
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土建屋
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上巻は『概略』の巻の一までを解説。 「人事の進歩は多事争論の間に在る」として、その中でいわゆる弁証法的発展を目指せという。 また、国体論に関しては、皇統連綿=国体存続ではない。国体とは一国の真の独立であって、皇統連綿は独立の「兆候」で原因ではないと主張。終戦時の国体護持の喧々諤々でどれだけの国益と生命が失われたかを思えば、福沢の主張がいかに正鵠を射ていたか、思い半ばに過ぎるものがある。 本書は丸山真男の福沢解釈であり、彼は「福沢惚れ」を自認。これを「丸山諭吉」などと揶揄し批判する向きもあるが同意できない。
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ゆたか
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福澤諭吉『文明論之概略』の音読と並行しながら読んだ。そのせいで、非常に時間がかかってしまったが、丸山眞男に丁寧に解説してもらいながら『文明論~』を読んでいる気分が味わえた。福澤の定義から判断すると、今日の日本は文明開化に成功したのだろうか?
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であげるべ
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サマツな点ながら、丸山御大は現代中国の動向も正確にチェックしていてすごい。
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Ikkoku-Kan Is Forever..!!
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再読。丸山は『読む』を通して何を語っているのかを考えることがある意味で本書の読み方になる。面白かったのはp47~50、近代知識人のジレンマがそのまま近代日本のジレンマになっている云々のくだり。丸山はそれを三つのジレンマだと言うが、特に第一の「民族のアイデンティティ」という命題については、こうした問いに丸山自身は如何に答えるのかという点で、丸山の近代化論について考えさせられる点で興味深い。この辺の近代主義と民族の問題は、竹内好の歴史哲学や主体性という命題を視野に、広く検討する必要性があると思う。
Ikkoku-Kan Is Forever..!!

一方で、全体的に『読む』を通じて普遍的な人間のありようについて述べているように感じる。丸山の主体性とその問題意識を照らし合わせて読むこと(『読む』を丸山の福沢論、思想全体にどう位置づけるか)/国民国家批判の無意味さ(虚しさ)

01/13 23:00
Ikkoku-Kan Is Forever..!!

丸山を批判するときに、この『読む』上巻のp165を引っ張ってきて批判することしか出来ないのはおかしい。大体、福沢批判と丸山批判はその無意味さ(虚しさ)において共通するけれど、福沢が批判される意味を考えると、福沢像の形成という点では面白いかもしれない。

01/13 23:03
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tada shohei
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★3 情報を完全に鵜呑みにせず、一度自分で咀嚼する課程を経ることの大切さが少しわかった、かもしれない・・・
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Masaki Saitou
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岩波文庫の文明論之概略は読んでいたがいまいち、ぱっとしていなかった、それ故本書を図書館で見つけ、まずは上巻を読んでみたしだいである。単刀直入に言って本書によって福沢諭吉の思想が明瞭化したと感じられる。文明論之概略を再読しようと思うきっかけとなった
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junkoda
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「政治は文明の関数である」
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ymdtko
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「我がネーションのデスチニーをご担当成されたく」これを読んで僕はふっと笑ってしまったけれど、これらの訳語を作ったのは他でもない福沢なんだ、と気づくとなんだか恥ずかしくなった/オーガニゼーションは組織ではなく組織化である。ガヴァメントだってガヴァンすることであって、確固たる政府、と訳すと決定の不断の過程がドロップしてしまう、と丸山は語る/「『すべて世の政府は、ただ便利のために設けたるものなり』おそらく今の私たちがたいへんな想像力を駆使しなければわからないような、当時としてはショッキングな命題だったはずです」
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home alone
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福沢の文明、政治観を解説している。読みやすい。が読みやす過ぎて、どんどん頭から抜けて気がする
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壱萬参仟縁
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民主化と集中化のディレンマ・・・民主化とは、四民平等、地方分権である(p.52)。日本は結局、東京一極集中になってしまった。また、百姓は市民を「軽薄児」と言い、市民は百姓を「頑陋物」と罵る(p.79)。これでは、百姓と市民の共同社会は築けない。今の格差社会を招く遠因を感じる。そして、交際を奨める福澤先生だが、喧嘩・戦争もその一種だというので(p.82)、善かれ悪しかれ、人間関係はもつしかない。人民の気風とは、時勢という(p.126)ので、気風をつくるのは学問だと思った。この本は、現代日本社会でも通用する。
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Ikkoku-Kan Is Forever..!!
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「『文明論之概略』を読む」を読む。まず上巻。福沢惚れを自覚する丸山曰く「惚れた恋人には『あばたもえくぼ』に映る危険は確かにある。しかし、とことんまで惚れてはじめてみえてくる恋人の真実―つまり、電車の反対側の席に座っている美人をみているだけの目には、況んやはじめから超越的な批判のまなざしで判断する者には、ついに到達できない真実―というものもあるのではなかろうか」p4 初めて福沢の『文明論之概略』を読んだとき、もうほとほと疲れはてた自分を思い出しながら、この人は本当にもう楽しそうに読むよなあと。
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katsu
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丸山氏は戦時中言論が統制されていた中で不自由な暮らしを強制されていた。福沢の書は、自分が生きるろくでもない時代をばっさり切り捨ててくれるものであり、読んでは膝を打つものであったという。この時、丸山氏は現代から自己を隔離するという読み方ではなく、福沢諭吉が現代に姿を現し、現代の世相をばっさりばっさり切り捨てるといった心持で読んでいたのではなかろうか。いや自分が福沢になって、世相を斬っていたのではなかろうか
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すぐる
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sa-
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これは大江健三郎の「鎖国してはならない」を読んで、是非読みたいと思った本。明治に福沢諭吉が書いた、本を数人の若者と読みすすめて行く。明治期に諭吉が文明をどう見たか、それが悲惨な戦争へと歩んだこと。戦後の民主主義が今、どのような迷路に迷い込んでいるのか。諭吉と丸山氏の見つめるものは何か、難しいけれど、「公」と「コミュニケーション」縦のものと横のもの、心して中へ。
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まっち
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もはや解説書の域を超えている。著者の他の本は読んだことがないが、この本に関しては素晴らしいとしか言いようがない。とくに、序と第1講が目から鱗
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Hideki Ando
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丸山といえば、難解と言うイメージしかなかったが、本書は非常に解りやすい。福沢への心酔という点で理解できない部分もあるが、解説書としては最高だと思う。
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katatemaru
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7点
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文明論之概略を読む 上 (岩波新書 黄版 325)評価47感想・レビュー41