読書メーター KADOKAWA Group

黒衣聖母(Kindle版)

感想・レビュー
27

データの取得中にエラーが発生しました
感想・レビューがありません
EMA
新着
ネタバレ大正九年発表。友人の田代に見せてもらったのは、顔以外が黒檀を刻んだ、黒衣の麻利耶観音だった。田代は、この麻利耶観音にまつわる、以前の持主の家に起こった気味の悪い出来事を話し始めた。ショートショート分量の短い物語。祖母の祈り通りに願いを叶えた麻利耶観音だったが、そこに至るプロセスに麻利耶観音の悪意は入っていないのだろうか。しかし、それは神のみぞ知るということなのだろう。
0255文字
ヴェネツィア
新着
大正9年、芥川28歳の作品。リアリズム小説ながら、冒頭欄外に「和訳けれんど」からの引用がなされており、切支丹物を混入させたかのようでもある。なお、「けれんど」は、浦上に残るキリシタン資料の一つ。思うに、田代君が持ってきた麻利耶観音に触発された芥川が想像を巡らせて小説化したものか、あるいはそもそもの着想が「けれんど」にあり、田代君云々からして既に創作であるのか。どうやら真相は後者にあるのではないかと思うのだが、実証的に検証したわけではないので、あくまでも私の想像。いずれにしても、心胆寒からしめる怖くて⇒
ヴェネツィア

⇒しかも、心憎いばかりに上手い小説である。

02/14 07:13
0255文字
individual
新着
ネタバレ『黒衣聖母』では、語り手は友人の田代から「怪談」を聞いていて、その「怪談」は田代が友人の稲見から聞いています。稲見は母親のお栄からその「話し」を聞いています。お栄が「話し」を実際に見た人物であり、そしてお栄の祖母が「話し」を体験した人物にあたります。小説で「怪談」を書くさいには、以上のように誰かが誰かに語る、「又聞きの形式」をとる場合が多いです(『黒衣聖母』は怪談とは少し違う物語だと思います)。この形式をとる理由の1つは、読者に「怪談」をある程度腑に落ちる「かたち」で了承してもらうためだと思います。
individual

「怪談」の又聞きをどこまで遡行するかは、著者たちの「物語作者」によって違いが出る点だと僕は思います。ちなみに、『黒衣聖母』の冒頭と終盤で、芥川の「物語作者」は現在の語り手と田代を常識的に描写して、「現実」へ読者を誘導していました。

01/22 17:45
0255文字
yumani
新着
マグダラのマリアを信仰するグノーシス派が黒いマリア像を崇めるとある。日本にも一体存在。実際、黒魔術めいた信仰ではなかったとしても異端(異教徒)に対する裁きは容赦ないということか。いかにも善人を煙に巻くような不気味さ。《麻利耶観音は約束通り、祖母の命のある間は、茂作を殺さずに置いたのです。》《DESINE FATA DEUM LECTI SPERARE PRECANDO…」(汝の祈禱、神々の定め給う所を動かすべしと望む勿れ)》《聖母は黒檀の衣を纏ったまま〜ある悪意を帯びた嘲笑を、永久に冷然と湛えている。》
0255文字
zakuro
新着
お婆さんだけがこっそり夜中にお参りしてたら、ただ弟とお婆さんが同じ日に死んだってだけになるところを、どういうわけか姉を起こして、自分の願掛けを見せたがために、ちょっと怖いお話になってしまった、という物語。
0255文字
かふ
新着
神の定めには、マリア様でも変えることはできないが、時間的なものは変更出来たということか?目撃者となる娘が伝える怪談話と読むと芥川文学らしいのかもしれない。「汝の祈祷、神々の定め給う所を動かすべしと望む勿れ」の意……とあるのだから。娘に取っては不条理劇だが、祖母の願いは叶った。現実とロマン(文学)の拮抗が生んだ傑作。
0255文字
Ayumi Katayama
新着
芥川龍之介が麻利耶観音を書くとこうなるんだな。
スプーン

仏教とキリスト教の中間の神様ですよね?黒衣聖母と書くのを初めて知りました。ありがとうございます。

09/19 06:39
Ayumi Katayama

マリア観世というのはキリシタン弾圧の時に拝されたようですね。黒衣というのは、本当に黒いようです。本書では「黒檀を刻んで」となっていましたけど。

09/19 11:12
4件のコメントを全て見る
0255文字
今庄和恵@マチカドホケン室/コネクトロン
新着
禍を転じて福とする代わりに福を転じて禍とする、縁起の悪い聖母のお話。筒井康隆に似たような話があったなあ。お願いするときは欲しくないものまでやってこないように、正しい文言で、という戒め。
0255文字
白紙委任状
新着
『 ええ、 これは禍を転じて福とする代りに、福を転じて禍とする、縁起の悪い聖母だと云う事ですよ。』と読んで、そういう存在に、私もなりたいと思いました。
白紙委任状

『童貞聖麻利耶様(ビルゼンサンタマリヤさま)』の所と、 『DESINE FATA DEUM LECTI SPERARE PRECANDO(「汝の祈祷、神々の定め給う所を動かすべしと望む勿れ」)』の所が、ツボにはまりました。

04/11 00:39
0255文字
loanmeadime
新着
神頼みは頼み方を間違えるとえらいことになるという。神と仏というけれど、神さんというのは何処か怖いところがありますね。
0255文字
木賊
新着
ネタバレ禍を転じて福とする代わりに、福を転じて禍とする、黒衣の麻利耶観音像。願った言葉の通りにはなるが本当の願いは裏切られる。キリスト教は詳しくないが、注意書きに従った上で叶う願いとは何だろう。そして祖母は本当は何処まで知っていたのだろう、などと考えるのは疑い過ぎか。
0255文字
calm
新着
ネタバレ★★★★★ 何かものすごい悪意を感じ、それがクセになる短編。 キリスト教の教義を考えるとそもそも日本人的な神頼みとは合わないという根本的な問題はあるのだけれど(「神々」だとそもそもキリスト教かすら怪しい)、藁にもすがるような祈りに悪意で応えるなんとも言えない意地の悪さに痺れる。 今邑彩「よもつひらさか」の解説であげられていたのがきっかけで読んだけれど、対象が人でないせいか悪意は感じてもイライラしたり憂鬱な気分になったりはせず、奇妙な感覚だけが残る。 後味は良くないけれど、かなり好きな話。
0255文字
多読多量連投が日課だった
新着
祖母が生きている間茂作を生かしてくださいって祈ったら確かにその通りになるが、すぐ祖母が死んで元の木阿弥というか祖母もすぐ死ぬからタチが悪い
0255文字
ぱに
新着
想像できるけど不気味なオチ。この人クリスチャンじゃない割にはクリスチャン関係の作品多いよね。興味深かったってことかな。おばあちゃんはまだいいけど、お姉さんよく生きたな。
0255文字
おやつとともにある暮らし
新着
長い前フリを経て言いたいことは、注意書きは面倒でもちゃんと読もう、ということかな。
0255文字
オスカー
新着
あっても不思議ではないと思われる黒衣のマリア像。人間のわがままというか、身勝手な部分を見せつけられた気もするし、もともと亡くなる運命にあったかもしれない孫の命を祖母の願い通りに叶えてくれたというのも間違いはないわけで・・・もっと具体的にお願いしたら違ったのか? 高階良子さんの漫画に『血まみれ観音』ってあったと思うけど、それを思い出した。
0255文字
ミユ
新着
ネタバレ黒衣の聖母、マリア観音など興味をそそる題材がたまらない。怪談といえば怪談なのかな?恐怖感というよりも、呪術的な雰囲気が面白かった。「聖母は黒檀こくたんの衣を纏まとったまま、やはりその美しい象牙ぞうげの顔に、ある悪意を帯びた嘲笑を、永久に冷然と湛たたえている。」この最後の一文がすごく好き。
0255文字
Me
新着
時は移れど耳がツンと詰まる土蔵の湿り気は、日本人のDNAを抜群に刺激します。『汝の祈祷、神々の定め給う所を動かすべしと望む勿れ』呪術と信仰、八百万の怪。
0255文字
Tonex
新着
いわゆる「黒いマリア像」にまつわる怪談。本場の黒マリアは単に黒ずんだだけだったりするが、これは隠れキリシタンが黒檀で作った麻利耶観音で、一尺ばかりの立像。顔だけが象牙で作られており白くて美しいが、ある悪意を帯びた嘲笑をみなぎらした不気味な表情をしているという。▼「ちゃんと願いはかなえてあげましたわよ。何か問題でも?」という話。▼黒い聖母といえば、京極夏彦の『絡新婦の理』(じょろうぐものことわり)にも出てくるが、どんな話か忘れた。
0255文字
ユパパパーーーン
新着
率直な感想。だから偶像崇拝はよくない(小声)▼キリシタン禁制時代、マリア像の代わりにした観音像。この聖母像にはいわれ因縁がある。これを奉っていた家の子どもが病気で今日明日の命となる。そこで祖母はこの聖母像に「このままでは跡継ぎが途絶えてしまう。孫の命をせめて、自分の命が尽きる日まで伸ばしてほしい」と祈る。すると孫の病気は回復するのだが…。▼聖母像に書かれていた文字がポイント。都合の良いことを提示して助けてもらおうなんて、別の悪いモノとの契約のようだ。エゴである。〈神々〉と複数形の表記も少し気になる。
弟子迷人

はじめまして。ご感想から、たいへん興味深い読書をさせていただきました。ありがとうございます。このへん、隠れキリシタンについての、ちょっとご参考になりましたら。 http://artworks-inter.net/ebook/?p=139 また芥川ではなくギリシア神話周辺だったかと思いますが、何かの像か神殿を造り上げ、「さぁ、祝福(お恵み)を!」と願ったところ、翌朝に死んでいた……という話もあったと思います。そのころは「生は苦、死によって開放」のような思想があり、何よりの祝福=お恵みが「死」だったという……

05/31 06:41
ユパパパーーーン

弟子迷人様、はじめまして☆コメントありがとうございますヽ(*´∀`)ノサイトのご紹介もありがとうございます。参考にさせて頂きます。なるほど、生は苦であるという思想は、原始仏教などもそうだと思いますし、割りとよくありますよね。恐い話ですが、納得してしまうオチですね。

05/31 22:29
3件のコメントを全て見る
0255文字
ミラクロン・カエサル
新着
 怪談話と言えば、怪談話でしょうか。いい雰囲気を出しています。でも、私は「理屈抜きで、ただ不思議なのが怪談」だと思っているんだけど、これは、ある意味、理路整然とした話ですね。実話ではなく、「つくりばなし」だと思います。お話の展開が見え見えなのが残念なところかな。
0255文字
甲斐シュンスケ
新着
日本的なじめっとした怪談の重要アイテムにキリスト教ネタを自在に使えると言うのが、すごいよなあ芥川。
0255文字
安南
新着
切支丹宗門禁制時代の幕末。土蔵の奥深く、白木の御宮に隠された一尺ばかりの麻利耶観音。顔を除いて、他はことごとく黒檀を刻んだ、まるで黒い衣を纏ったような立ち姿。悪意を帯びた美しい象牙の微笑みは、長い禁制の時代に、呪術と化した信仰心を嘲笑うかのよう。
0255文字
哀しき道化師
新着
キリスト教が弾圧された時、キリスト教はいろいろに形を変えて幕府の目をごまかしてきたらしい。その時に邪宗に形を変えたものも多いと言う。本来のキリスト教と言う道から外れてしまい、別の物と変化してしまったがためにこういったものが生まれてきたのではないかと言う話じゃないのかな?後は神の二面性などの哲学的な話題に触れているのかな? 実際に悪魔っていうのは神が絶対善なのに対して作られた立場だし…神がいい人なのか悪い人の方がわからない言うことかな?
0255文字
全27件中 1-27 件を表示
黒衣聖母評価74感想・レビュー27