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ドリナの橋 (東欧の文学)

感想・レビュー
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salvia
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ノーベル文学賞作家アンドリッチの作品。ドリナの橋は、オスマン・トルコ支配下にあったボスニアとセルビアを結ぶ架け橋《善の象徴》で、その国境の町は異なる宗教(イスラム教・セルビア正教・ユダヤ教)・文化伝統によって構成されている。作家の故郷を舞台としているが、消え去ったものへの郷愁ばかりでなく、大きな歴史の流れやそれに翻弄される人々を冷徹かつ細やかに描き出している。ユダヤ人ロッティカをはじめ、どの人物も生き生きとしている。S.スタニシチの本で知ったのだが、アンドリッチの他の作品も読まなくてはと思う面白さだった。
0255文字
syaori
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バルカン半島を流れるドリナ川にかかる橋とその住民の物語。16世紀「生きた税金」としてイスタンブールへ連れ去られる少年が母親たちを最後に見た岸辺、自然の前に人間が自らの無力を感じるその場所に建てたその橋は人間の手で作られた最も堅固なもの、その善い力の象徴で、そのため1914年、キリスト教、ユダヤ教、回教が憎悪や嫉妬を秘めながらも秩序と節度を失わなかった町の生活が失われた時に橋の運命も終わるのですが、橋はまた「どこかで建てられるだろう」という言葉には作者の人間への信頼が込められていて、静かな高揚がありました。
syaori

「このようにカピヤ、つまり天と水の間で、古い世代も新しい世代も、濁った水にさらわれたものを嘆きすぎるなよという教訓を得ていった。そこで人々はこの町の無意識の哲学を体得したのである。つまり、人生はとらえ所のない奇妙なもの、なんとなればそれは絶え間なく消耗し流れ去るから、だがそれでも人生は存続し、≪ドリナの橋のように≫確固としたものである、という哲学を」

11/06 16:20
syaori

どうでもいいのですが、最初の橋の建設のあたりで串刺しの刑の描写があったのですが、朝の通勤電車で読んでしまって一日中恐ろしい気分に……。美貌のファタが橋から飛び降りる話と、橋の上で夜中に悪魔とかけ事をする話、橋の歩哨に立っていたシュヴァーベン兵の若者が青春のために破滅する挿話が大変好き。

11/06 16:20
0255文字
ELW
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 『石の花』の前の時代。セルビア人、ユダヤ人、オスマン人の人物とコミュニティの喜怒哀楽が川の流れのように描かれている。著者は一部を排斥することも贔屓することもない。橋の建設と関係者、橋の周囲で暮らす様々な普通の人から特異な人まで。個人的にはオーストリア皇帝の宣言文の原典と和訳を見てみたいと思った。
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しょう
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ネタバレノーベル賞作家による、オスマン帝国時代に作られた橋をフォーカスした歴史小説。小説になるだけあって、ドリナの橋は建築段階から多くの人間が関わっていき、幾多のドラマが生まれていく。国境に面しているという理由によりどことなく緊迫感も漂っている。まるで定点観測したかのようなリアリティある精緻な描写で当時の人々の生き様を橋と共に見てきたかのような錯覚に陥る。そこに橋があるが故に多くの悲喜劇が生まれ、歴史を形作っていたかと考えると感慨深いものがあった。
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yoyogi kazuo
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叙事詩文学の金字塔。個人的にガルシア・マルケス『百年の孤独』と同じような読後感を覚えた。つまり究極の文学作品。
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Y
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ネタバレ 橋は、アンドリッチの創作のなかで繰り返しあらわれるテーマである。彼は抒情詩的エッセイ『橋』(1933年)のなかで、橋を「人間の創造したもののうちで最も美しいもの」と言っている。橋は矛盾、対立、分離を取り除き、それらを克服しようとする人間の努力の表現として彼の目に映じたのである。橋は注意なしに通りすぎることのできないものである。「なぜなら、橋は、人間が障害に会ってもその前に立ちどまらずにそれを克服し、その上に架橋した場所なのだから。」(本文抜粋)
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海狸香
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旧ユーゴのボスニアを流れるドリナ川に掛かる橋。その橋を200年以上の歴史の流れの中で見つめてきた人々の運命を描いた傑作。無数の登場人物の物語を通じて、ムスリムと正教徒の共存する様子を愛着をもって描いているところが素晴らしい。1990年代の民族紛争を経た現在、もっと読まれるべき書。長編だが、各章を短編として読めば読破可能。ベオグラードに行ったらアンドリッチの家博物館を訪れるとよい。本書と英訳をサンプリング的に比較してみたが、ドイツ語からの重訳でも問題を感じさせない。日本語の格調も高い。再版が待たれる書。
0255文字
hiroizm
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現ボスニア・ヘルツェゴビナの街ビシェグラードにある石橋の、建設時から第一次世界大戦で破壊されるまでの約400年にわたる歴史群像物語。 この地域は橋の建設時オスマン・トルコの支配下、以前から東西ローマの緩衝帯でもあり、カトリック、聖教、イスラム、ユダヤ教の人々がまだら模様に住む地域。支配者がオスマン帝国から独墺帝国へと遷移する中で、この小説は懸命に生きる市井の人々のエピソードを紡いでいく。自然主義の影響感じる大河ロマン。欧州史好きにはお勧め。
hiroizm

ビシェグラードの情景描写や橋建設時のエピソードも良かったが、悲運なイスラム教徒ややり手のホテル経営者など女性を描いた章も印象的だった。基本農業主体ののんびりした街が、独墺ハプスブルグ家支配下で近代化し、鉄道によって衰退化していく過程も興味深い。また終盤に登場する作者と同世代くらいの(その後の旧ユーゴスラビア社会を担ったであろう)若者達の会話の内容も今読むと感慨深いものがあった。

10/23 12:25
hiroizm

この物語は第一次世界大戦中で終わっているが、第二次世界大戦、ユーゴスラビア時代、その後の過酷な紛争があったことも知っているので、この小説の終章の先の現代に至る歴史も気になった。紛争についてはあまりに過酷すぎて、オシムやストイコビッチなどサッカーを通して+アルファ程度の情報しか持っててないが、これを読んでちゃんと向き合ってみるかと改めて思った。読んで良かった。

10/23 12:28
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秋良
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ボスニアがまだオスマン帝国だった頃に作られた橋の定点観測。最後は第一次世界大戦で幕を閉じるが、この後も民族浄化や紛争で、破壊と虐殺が続いたことを知っている。古き良き時代という言い方は好きでないけど、民族の違いを超えてご近所さんだったのが、ナショナリズムの勃興と共に対立してしまうというのは進歩=善と無邪気に信じている人間に冷や水を浴びせるよう。と、そんなぐちゃぐちゃ考えなくても、ヨーロッパからもアジアからも端っこの国の雰囲気が知れて楽しく読める。
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relaxopenenjoy
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やっと読めた。セルビアとボスニアの国境にある街ヴィシェグラード、ドリナ川にかかる石の橋が舞台。土地勘が無く、民族や宗教、歴史の知識も浅い私には、ところどころ理解が難しかったが、それでもこの橋を巡る叙事詩(物語)に流れるように引き込まれた。さすがユーゴの国民的作家である(ノーベル賞受賞)。また再読したい(ニコラ司祭、チョルカン、アリホジャ、ロッテなどに気をつけながら)。あと旧ユーゴに行ってみたい。
井上裕紀男

先日NHKのトラムの旅でベオグラードが映っていましたが、今も戦禍の跡が残ったビルがありました。何とも言えない瞬間です。 私も五輪の旧ユーゴ各国の行進を見て、行ってみたい気持ちがまた強くなりました。ドリナの橋、良さそうですね。

07/31 10:49
relaxopenenjoy

コメントありがとうございます!ベオグラードでもまだ戦禍の跡が残っているのですね…モスタルの橋もドリナの石橋もぜひ見てみたいです。本書を読んでいても、街の住民達は大国の都合で振り回されてきたことが朧げながら分かり、もっと正しく理解したくなりますし、、やはり行ってみたいです。

08/01 22:49
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ふう
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一昨年12月、ともにトルコを旅した友人の薦めで読み始めてから7週間、長かった〜。ドリナ橋が主人公、本当にたくさんの人々が登場。渡し舟の時代から、1人だけその名を知っているメフメド・パシャの意志のもと、橋を作り、橋で憩い、橋で刑を執行し、橋で恋を語り、たもとでホテルを経営し、銃撃を避けて渡り、複数の宗教がせめぎ合い、支配者が替わり・・その全てが淡々と語られていく。著者イヴォ・アンドリッチにとっても訳者の松谷健二にとっても大変な労作。ラスト、アリホジャの店の乱雑な商品の間に飛んできた7番目の橋脚の石が印象的。
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mayumi
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橋の400年の物語。イエニチェリになるべく連れて行かれるシーンで、教科書の向う側の血肉の通った歴史を見た。橋の建設工事、人間模様…サルタンの念願の橋と、彼が死してなお続くシステムに感嘆。国境ゆえの緊張感が強まったり隠れたりしている。この町の人が何をしたわけでも無いのに、血が流れ苦しみ、哀しむ。ロッテの病に心が痛む。現実とは個人には抗えない大きな流れなのか。何が最上の選択かなんて当事者にはわからない、とにかく馴染んだ方、心が安心する方に行こうとするのが人間なのかな。最後の年、壊れた橋が哀しい。
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和泉花
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かなり面白かった。オスマン帝国の名宰相ソコルルが故郷に架けさせた橋。ぜひ一度現地を訪れたい。日本に住む私にとって、国境に接する街に住むということがどういうことなのか、よくわからず興味深かった。登場人物のそれぞれが生き生きと活写される。地に足の着いた生き方をするアリホジャとロッテ、商人パヴレが心に残る。パヴレは橋が爆破されたとき、彼も殺されたのだろうか?
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青木克敏
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ボスニアのヴィシェグラードに架けられたドリナの橋の誕生から破壊までを描いた叙事詩的小説。登場人物は、そこに住む一般の住民であり、章間をリエゾンする様に、バトンタッチされ、そして、歴史も遷移してゆく、一地方の橋を巡る物語でありながら、スケールとしては大きな話である。しかし、歴史小説にありがち?大雑把はなく、市井の登場人物の描写が丁寧に描かれる。やや、翻訳に難が(ややです。)あることに、この小説の魅力を削いでしまっているだろうか。
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崩紫サロメ
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「ヴィシェグラード年代記」という副題のもとに構想されたもので、ボスニアとセルビア国境に架かる橋を主人公として描かれる。橋の建設者であるオスマン帝国の大宰相ソコルル・メフメト・パシャへの関心から読み始めたが、大宰相の物語が終わっても、次々と橋の周りで繰り広げられる人間模様に引き込まれた。橋は人よりも長く存在する。しかし、それも永遠ではない。この橋は、本書が書かれた後もユーゴスラビア崩壊後の戦禍に晒され、修復されたと聞く。過去だけでなく、現在・未来へと思いを馳せるきっかけとなった。
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toridori
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正しくはソコルル・メフメト・パシャ橋と言うらしい。ボスニア・ヘルツェゴビナ東部に実在し、2007年にはユネスコの世界遺産に登録された、とのこと。ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争中の、惨劇の現場でもある。ボスニアとセルビアの国境を通る川にかけられた石の橋が、16世紀半ばに建設され、1914年、第一次世界大戦勃発の際に爆破されるまでの、およそ3世紀の〈橋の人生〉を描いた物語。(長文レビュー https://shimirubon.jp/reviews/1690449
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麺
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ノーベル文学賞を受賞したユーゴスラヴィアの作家イヴォ・アンドリッチによる長編歴史小説。時代の流れに左右されず悠然と佇む『ドリナの橋』、それを有するボスニアの小さな村・ヴィシェグラードが辿る400年の運命を、短編が緩く連なるような形で、国籍もさまざまな多数の人物を登場させて描き出す。 物語はオスマン帝国の統治、オーストリア=ハンガリー二重帝国のそれ、第一次大戦、と進んでいくが、たびたびムスリム、セルビア正教徒、もしくはそれ以外の信徒との共存(あるいは反目)が描写され、ボスニア独特の雰囲気がよく伝わる。
0255文字
mikoyan358
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6年前に旧ユーゴを旅行するにあたり手に取り、立て続けに2度読み返してしまったほどはまってしまった1冊。実在のボスニアの橋を舞台にオスマンの時代から第1次大戦までの300年以上に渡る市井の人々の生き様が描かれるが、何よりアンドリッチさん本当に見てきたの?というほどに描写がリアルで闊達で、自分がすっかりその橋の住人になって時代の移り変わりを定点観測した気になれる、歴史小説の名作といって差し支えない。舞台となったヴィシェグラードの橋を訪れ劇中に登場する「カピア」でこの小説を開いたことは一生の思い出になっている。
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em
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16世紀~第一次大戦が始まるまでのボスニアの橋を巡る物語。オスマン帝国、オーストリア=ハンガリー帝国といった周辺の大国への興味からここに辿り着いた読者(私)にとって、読みたかったものが詰まっていました。長い時間の中で国境が移動し、周辺国の情勢が「こだま」となって橋のたもとの町に影響を及ぼしていくさまが『ボスニア物語』と同じく丹念に描かれています。翻弄され、目覚め、打ちのめされることを繰り返してきた狭間の地。情念を押し付けることなく、橋という場を主役に据えることで、複雑な様相を鮮明に見せる筆は圧倒的。
toridori

私も読みました。橋という建造物に注目することで、人間の歴史が早送りになるような手法が好みでした。エミール・クストリッツァが映画化するって噂、本当だったら見てみたいです。

12/09 17:48
em

確かに、早送りのような感じもあって、なのに雑さはなくて、密度が独特ですよね。一見なかなか読み進まないタイプの本に思えるのに、不思議と手が止まらなくなりました。映画化の話があるとは、この雰囲気をどう映像にするのか見てみたいですね〜。

12/09 19:19
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0255文字
寿司さん(もっと違う本も読みたい)
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おすすめ
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micamidica
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かつてのオスマントルコの宰相がボスニアヘルツェゴビナを流れるドリナ河にかけた橋をめぐる年代記。叙事詩のよう。群像劇の形式で、なにか大きなドラマが起こるわけではないけれど、ボスニアの人びとがオスマン、オーストリアなど大国の渦に呑み込まれていってしまうやるせなさが、どっしりと動かない橋と対比されることにより強く感じられた。最後に橋はその姿をとどめられなくなり、物語は終わる。読みやすい文体であっさりと読み終わったけれど、「ヨーロッパの火薬庫」と呼ばれた地域のいち部分を知ることができた。
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でーる
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市民や街の外見に様々な変化が生じても表面的で一時的なものとして通り過ぎる様子を描くことで、周りに様々な変化が生じても確固として変わらない部分が各個人のなかにあると暗に述べてるようだと思った。 心に痛みを与えるような鋭い指摘が所々にある、特に、グラシチャニンがスティコブィチの内面を恐ろしい虚栄心の怪物だと暴くところが印象的。
0255文字
gogo
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旧ユーゴの小説。ボスニアヘルツェゴビナの町ヴィシェグラードに架けられたソコルル・メフメト・パシャ橋をめぐる400年の歴史物語。ある時には酔漢が手すりの上を渡り、絶望した花嫁が橋から身を投げ、人の首が並んだこともあった。橋をめぐって様々な物語が生起したが、河は悠久の流れを湛え、橋はそこにあり続けた。第一次大戦で橋が破壊されるまでは。民族、宗教、言語が複雑に絡まった背景をもつ地域の物語は、そうした多様性に乏しい日本人にとっては間違いなく面白いと思う。
gogo

ドイツ語訳からの重訳であるが、日本語訳は恐らく原文の美しさを失っておらず、読みやすい。作者のアンドリッチは1961年にノーベル文学賞受賞。1990年代前半のユーゴ紛争で、橋と町は再び血生臭い争いの舞台となった。1992年にはここで3千人近いヴォシュニャク(ムスリム)人が虐殺されたという。ソコルル・メフメト・パシャ橋は2007年に世界遺産に登録されている。

02/07 15:16
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ケイ
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5世紀以上も前に、この街出身でトルコの宰相になったパシャが架けさせた橋。ボスニアとセルビアを繋ぐ橋である。冒頭の数十頁に渡る旧ユーゴの民族や歴史、言語、宗教の説明は、読み返してもその複雑さを理解し得ない。橋が架かる前も建設中も後も、民族や宗教の対立があった。セルビア人の首が橋に並べられた時代も。大戦でほぼ壊滅するまでは人々に何があっても橋はあった。書かれたのは二次大戦後の旧ユーゴ時代。橋は再建された。作者は他界しているが、その後の出来事も最後の章として加えられるべきだろう。この橋は民族浄化の舞台となった。
ののまる

あれ?コメント書いたのですが消えているのを発見です。ぜひぜひ、行きましょう。ビールも美味しい季節です♪

05/10 20:23
ケイ

ええ、ぜひ!またメッセージします。実は、今、腰を傷めていて、歩くのもつらいので(^_^;)

05/10 20:29
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0255文字
つだしょ
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1)ドリナ川(セルビア、ボスニア・ヘルツェゴビナを流れる川)にかかる橋、ソコルル・メフメト・パシャ橋が舞台のユーゴスラビアの歴史を背景とした作品。橋のあるヴィシェグラードの町(ボスニア・ヘルツェゴビナ)は国境に近く、歴史の変遷の影響(「いつも発火しやすい国境は、今回は火を吹かなかった」[p251])を直に受けてきた。その様子、感覚を町に立って肌で感じながら(これが物語の幹だ、たとえば最後のオーストリア・ハンガリー帝国軍による橋の破壊はアリホジャの視点「橋だ!」[p345])、
つだしょ

4)東欧の複雑で混沌とした歴史の、救いがなく(挿入されている背景を含めたエピソード、人物のどれにも救いがない。ロッテは狂ってしまう[p336]し、アリホジャは橋に張りつけにされたり[p131-143]、最後は店を壊されて自分も死ぬ[p349]し)陰気でじめじめとした魅力(傍からみれば)は地図をのぞきこむ老人たちが「生物学的に感じとって」[p257]いたような、現地人からにじみ出てくるものであろう。

03/04 17:34
つだしょ

5)それにしても、イエニチェリとして徴集される(親、母親にとっては誘拐だ)様子[p40-41]や、おそらく冤罪だが見せしめのために杭を体に(肛門から)打ち込まれる様子[p66]や、フェドゥンの自殺の様子[p191]などがみてきたかのようにリアル(ちなみに作者はこの町で育ったが)。この橋は、たとえその上の中央のカピヤが人びとが楽しくすごせる場所だったり、川の増水では、異なった信仰どうしにかかる橋であったり[p95]しても、死や不幸を招く橋のよう。

03/04 17:34
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0255文字
のんき
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ボスニアの町ヴィシェグラードとその橋についての年代記。トルコ帝国の辺境であった頃から第一次大戦までの時代が扱われるが、いつの時代にも変わらず存在した「橋」と、移りゆく時代の趨勢とそこに生きる人々のいとなみとの対比が印象的だった。
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ちゃせん
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ボスニア・ヘルツェゴヴィナの国境にあるヴィシェグラードを舞台に、ドリナ川の橋の何百年の歴史と、その周辺に暮らす人々の物語を描いた小説。語り部としてのアンドリッチは非常に優秀だと感じた。いつの間にか物語に引きこまれ、するすると読み終えてしまった。「橋」はいつの時代も変わらないが、その終局は突然にやってくる。最後のシーンを読んでから、これから先のこの地の運命を辿ると、また一層深く味わえるのではないだろうか。
0255文字
踊るらいぶらりあん
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突発的旧ユーゴ文学強化月間。「橋」を中心に据え、時間と街と人々を、まるで流れに浮かぶうたかたのように点描する物語。
0255文字
荒野の狼
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ボスニア唯一のノーベル賞受賞作家、イヴォ・アンドリッチの最も読まれている本で、長編ですが、読みやすく1週間ほどで読破できます。ボスニアの国境の都市ヴィシェグラードをとおるドリナ川に1571年に橋が架けられるところから、第一次世界大戦にいたるまでが描かれますが、前半は相互に関連のない短いエピソードがつなぎあわされ短編集の感覚で読めます。後半は40年あまりのオーストリアの進行から大戦までを描きます。
荒野の狼

この長さと人間の生涯との関係は、流れ去る川の表面と、かたい川床の関係と同じで、川床の変化はゆっくりで、人の目にはつかないという信念を説きます。神の決定によって作られた存続していく偉大なるものの象徴としてドリナの橋が描かれています。

06/20 20:15
荒野の狼

作者の宗教も国(ボスニア人=イスラム教、セルビア人=キリスト教)も超えた同情と理解は感動を呼びます。このドリナの橋で近年になってセルビア人(この小説では被害者)によるボスニア人の民族虐殺(ヴィシェグラードの虐殺)が起こりましたが、こうした悲劇を人類が繰り返さないためにも読みつがれていかなくてはいけない偉大な書といえます。

06/20 20:15
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0255文字
ポンプケ
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ユーゴスラヴィアの小説。セルビアとボスニアの境をつなぐドリナ橋の歴史は、そこを渡ってゆく人々の人生そのもの。案外読みやすい。
0255文字
qbmnk
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橋を中心とした街の長い長い期間の物語。橋がない時代の渡場の様子から橋ができて交易が人々の交流に繋がり、国の栄枯盛衰に従って商人たちや住む人々も変化していく。橋の中心に街の中心であり憩いの場のようなものがあるのが興味深い。方丈記の「ゆく河の流れは絶えずしてしかももとの水にあらず」という冒頭部が思い浮かぶ。オスマントルコ時代の隊商宿や建築物をトルコで見たことがあるので物語を読みながら空想するのに役立った。知らなくても楽しめる。画像検索で端を見るのは物語を読んだ後にした。いつか訪れてみたい。
0255文字
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ドリナの橋 (東欧の文学)評価100感想・レビュー33