形式:文庫
出版社:講談社
形式:単行本
形式:Kindle版
→眺めていた」という箇所など、幾度も目で嘗めたくなる。この小説の第二部は、ある日カリフォルニアの書店で、修道院を描いた小説を見つける別の「わたし」が語り手となる。「わたしたち二人のからだは有機的にくっついてしまった」。これは「わたし」の物語だ、という発見。第一部には現われない背景が浮かび上がる。遅れて来た遠景が、物語の全体図に重なり、視界の中で育つ。見る人、語る人によって微妙にずれていく認識と言葉の世界を、作者はきれいに整え過ぎない手法にのせて届ける。読みながら私は、ざっくりとした二部構成の溝に沈んで、→
→その間を走る距離と時間の川に身を任せればよいのだ。小説を読む悦び。それは、言葉を読む悦びだ。
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