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アンゲロプロスの瞳 (歴史の叫び、映像の囁き)

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Bo-he-mian
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テオ・アンゲロプロスに関する本は、ジブンの知る限りでは2冊しか出版されいない。ヴァルター ルグレ著『アンゲロプロス-沈黙のパルチザン』は監督の評伝なので、作品論が読みたい方は本書を。と言っても読破したわけではないのだけど、なぜレビューを書くかというと、やや頭でっかちで読みづらい要素が強い、と思ったからだ。ジブンは、文筆業で食ってる知識人には2種類いると考えていて、「読者を面白がらせよう」と思って文章を書いている人と、「自分の言いたい事を主張しているだけ」の人で、この著者はどちらかというと後者だと思う。
Bo-he-mian

とは云え、読む価値のない内容かといえばそんな事はなく、例えば『アレクサンダー大王』などは、自分が初見時いかにこの映画への理解が浅かったかを教えられた秀逸な評論だと思った。特に、この映画にまつわる「円」のイメージから英雄論を読み解いてゆくメタ解釈はかなり刺激的で、執拗に繰り返される360度PANの意味が判ったし、「円」のイメージによって大衆を支配していた英雄が、ラストで自分を取り囲んだ(=円)大衆によって「円形の広場」で滅ぼされる、という解説はかなり面白い思う。

04/16 20:28
Bo-he-mian

ただ難点は、夢中になって読み進めない・・・一種の読みづらさが伴う文章で、続けて読んで行きたい、という気にさせてくれないのだ。例えば高山宏の文章なんて、メッチャ難しくて何が書いてあるのかよく判んなかったりするけど(笑)、その一方でムッチャ面白くてなぜか「読まされちゃう」でしょう。そこはやっぱり書き手の遊び心なんだと思う。自分が面白いと思った事を、いかに相手に面白く感じてもらうか。ただ言いたい事を主張するだけじゃ、誰も耳を傾けてくれないんだよね。まあ、本書はいずれ体勢を立て直していつの日か再挑戦したいと思う。

04/16 20:35
3件のコメントを全て見る
0255文字
ra0_0in
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ヴィスコンティやエイゼンシュタインなどと比較しながら、「主題」と「表現」それぞれにおける「リアリズム」と「様式主義」という対立軸によって4つに分類し、アンゲロプロスの映像を分析した序章部分が面白い。肝心の作品論については、一通りの歴史的背景と、あらすじ的なシーン分析があるので簡便な理解に役立つが、やや形式主義に偏重した分析手法はしばしば冗長であるし、難解なシーンについては「詩的」とか「曖昧」とか言って通り過ぎているので、学術書としてレベルは高くない。伝記的アプローチが欠如しているのが最大の欠点だと思う。
0255文字
taro335
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「予備知識」や、「傾向と対策」がなければなんのこっちゃわからないアンゲロプロス映画の予習・復習に最適。この本のおかげでより作品を楽しめました。特に『旅芸人の記録』を中心に書かれている。著者曰わく「アンゲロプロスの『旅芸人の記録』以外の作品は『旅芸人の記録』の脚注にすぎない」。(表紙はなぜかアレクサンダー大王ですが…)
0255文字
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