形式:単行本
出版社:祥伝社
形式:文庫
惚(ほ)れたはれたで終わらないのがしみじみ、いい夫婦───。4人の子持ちで飲んだくれの畳(たたみ)職人、小普請組(こぶしんぐみ)の武家に嫁いだ大工の娘、幼い頃から見世(みせ)を支えた口入れ屋の若お内儀(かみ)……倖(しあわ)せの感じ方は十人十色懸命に生きる男と女の縁(えにし)を描く、心に沁(し)み入る珠玉の人情時代小説。「へ、へい。なるべく酒はやめます」義助は、最初とはうって変わり、殊勝(しゅしょう)に応える。「なるべくは駄目。あんたの場合、一杯飲んだら元の黙阿弥(もくあみ)だよ。きっぱりやめたほうがいいんだ」「そんな……」「それができないなら離縁だよ」おいせは脅(おど)すように言う。「離縁、離縁って簡単に言うない。世間様はそうそう離縁なんてするものか」「おあいにく。あたしは一度離縁された女で、うちの人は三度も離縁しているのさ。離縁の玄人(くろうと)だよ」(「夫婦(めおと)茶碗」より)夫婦喧嘩(ふうふげんか)の仲裁は世のため、人のため。日本橋堀留町の会所(かいしょ)の管理人、又兵衛(またべえ)とおいせは大忙しの毎日で……。
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