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パリ環状通り 新装版

感想・レビュー
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のりまき
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全てが曖昧模糊として、霧の中にいるような感覚。詐欺師、山師、娼婦、中傷ゴシップばかりの新聞で人を脅迫する新聞主。その中でゴミのように扱われる彼の父。果たして彼は本当に父と共にいたのだろうか。これは彼が見た夢のような気がする。
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マリリン
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中毒性を感じるモディアノ作品。時代背景ナチス占領下のパリだが、霧が晴れたように物語が見えてくるのは中盤以降。ホテルのバー・古い写真...向こうの世界に引きずり込まれるような錯覚に陥る。写真の中の父を探し求めて彷徨う姿。父に突き飛ばされた17歳の息子...。父を必死に探し求め守ろうとする姿..。明らかに父を卑下する視線...。ここでもユダヤ人は身の置き所がないのか。パリの華やかさの中に漂う陰鬱な空気や人間の脆弱さと儚さ。登場人物が消えてゆく最後のシーン。本を閉じるとすべてが幻であったかのような余韻が残る。
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すーぱーじゅげむ
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父と息子の小説でした。情けない状況の父を救い出そうとしながらも、明らかに軽蔑の気持ちも持つ息子の心情が複雑です。息子の理想とする関係は「強い父親とそれに勇ましく反発する自分」なのですが、それができないという不満が底にある気がします。ゴシップ記者や戦争帰りの乱暴者といった素性の悪い人間にアゴで使われるのは、ユダヤ人だという弱みにつけこまれているからなのですが、第二次大戦中はフランスでもユダヤ人差別があったのは知らなかったです。
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さくら
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煌びやかな夜も青空の昼もあるはずなのに、常にぼやけた灯りの薄暗い夜ばかりのような印象。
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ソングライン
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大戦中のパリ、ホテルのバーで撮られた1枚の写真,そこには3人の男と一人の女、最も太った男が作家の主人公の父らしい。いつのまにかその時代に入り込み、父に近づこうとする主人公。美食と酒と乱痴気騒ぎ、その中で国籍のないユダヤ人である父の怯えた振舞、渾沌のなかで歴史の闇に消えて行った人々、モディアノの描くやるせない世界を旅する読書です。
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Märklin(メルクリン)
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ネタバレ図書館本。パリ近郊のホテルにあるバー,クロ・フルレ。モディアノらしい独特の雰囲気が漂う。モー・ガラ,マルシュレといった登場人物たちの個性も光る作品。モディアノ作品はこれからも読み続けていきたい🇫🇷🗼
桃の節句🍑

わぁ 私も続きたい!

06/07 21:30
Märklin(メルクリン)

桃の節句さん、モディアノって本当に独特の雰囲気があるよ(^-^)

06/07 21:40
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meiji
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独特の雰囲気ですね。海外のまどろっこしいやつかと思いきや、そんなことは全然なく。
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sk
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香気に満ちたおしゃれな小説。
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ぞしま
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モディアノ作品はたいてい、読後胸がふたがれるような気持ちになる。切なさに近い気がしているのだが、ちと違うような気もしていて、いまもよく分からない。「終わりを見ない」というところから、引き延ばされた余韻が時空を超えて迫ってくるような、そんな感覚が病みつきになるんだろうとぼんやり思っているのだけれど。 灯りが消えたあの一瞬、スローモーションみたいに焼き付いてくる。
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バーニング
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ユダヤ系の父を探偵や刑事のように追い求める中で出会う人たちがいい意味でどうしようもない人たちばかりで小説としては面白い。世の中いい人ばかりでもないわけだが、人生を落ちていく過程ではそういう人たちと「出会ってしまう」のかもしれないと考えていた。
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kthyk
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引き出しの奥から見つかった父とその仲間たちの古い写真。そこはパリ近郊の鄙びたホテル、クロ・フクレのバーの中。時代は悪夢のようなナチ占領下のパリ。板張りの壁にレンガ作りの暖炉前には皮製肘掛椅子、ミュラーユと父が座っている。奥にあるバー・カウンターにはホテルの支配人、モー・ガラとマルシュレ。物語は古い父の写真の世界に亡霊のように入り込んだ「わたし」。わたしがモディアノ自身であれば、彼は1945年生まれ、父なき世代。戦後の息子が父の時代の亡霊に出会う物語だ。
kthyk

物語は戦後のパリの大通りのはずれへと進む。そこはアングロ・サクソン風の品がよく簡素なホテル、そう父の時代のクロ・フクレ。真夜中の人気のないカンターのなかで、酒瓶を並べ、灰皿を掃除しているのは、あのバーテンダー。口数のすくない彼だが「わたし」が亡霊たちの名前をあげると、一様の写真を見せてくれる。それは皆、この小説を展開してきた人たちのすがた。モディアノの描く世界は果てしない不安と不満と不安定に満ちている、その世界は決して、時代だけではなく、今を生きる「郊外」とい不確かな都市の空間でもあるのだ。

12/08 03:03
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Gakio
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ネタバレ古い鉄道への愛着といい、誰も顧みないマイナー作家と古書店といい、女の美しい乳房への憧憬といい、出てくるモチーフどれもがどこかで読んだことのありそうな既視感を感じ、ほとんど何の衝撃も受けなかった。作者は占領時代を体験していないわけで、ただの個人的な妄想にすぎない。それを「占領時の生活世界を明らかにした」と評すノーベル賞の受賞理由はふざけてるのか、それとも他作品にあたる必要があるのか?(これ以外に読むつもりもないが…) 唯一特徴的に感じたのは「私」と「あなた」の不確かさで、「あなた」は結局「父」であるわけだが
Gakio

それくらいのレトリックを大仰に褒めようとは思わない。簡潔な文体というと聞こえがいいが、日本語訳で読む限り易しい表現で、シンプルで、ほとんど薄いといってもいいと思った。まあその分一気に読めたが、一気に読めることは別にいいことではない。

09/04 19:03
0255文字
あひるい
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悔しい。読み込めなかった。誰が誰だか、今どんな話だったか、ここはどこだったか。すっきりしないままページをめくって、「あ、これはもうダメだ」と読むのをやめようと思っても「いや、もうちょっとだけ」とまた先を読んでみるけどやっぱりわからない。少し寝かせて、もう一度開くタイミングを待ちますです。
0255文字
Y.C.STUPID
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ただただ『父』を求めるためにあてどもなく周縁を探り(探るために描写し)『父』を呼んだ声のかたまり。ということでかざりっけの少ない文体ながら不思議に情感がある。時間の操作が抜群でスゲー読ませる。父の喪失と観察を通して何かに寄りかかりたいんだ分かってくれという感じを受けたが読み違っている気もするなあ。名作には違いないです。
0255文字
蘭奢待
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1/4ほど読んだが、挫折。限りある時間は有効に使いたい。 読んでないけど管理上、読んだ本に登録。
0255文字
Bonnard
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一度読んだだけでは曖昧模糊として判然としないのがこの作品の、あるいはモディアノの魅力だと言っても言い過ぎではないだろう、収まりきらない読後の底抜けに深く、つかみどころのない感情をどこにしまったら良いものか。各場面の描写の捉えどころのない美しさ、そこに漂う感情だけみても只者ではない、若干27歳の作家の凄みを感じる。
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Mark.jr
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リアリズム的なのに、凄く幻惑される小説です。「父」という呼び方から次第に「あなた」と二人称に変わっていくなど、語り手を含めた登場人物全員もう既にこの世の人ではないのではないかと思ってしまいます。
ヴェネツィア

「登場人物全員もう既にこの世の人ではないのではないか」というご指摘はあたっているかも知れませんね。

05/08 18:46
Mark.jr

ありがとうございます。そう考えると、なんだか怖い小説ですよね。お前がパパになるんだよという…

05/08 19:13
0255文字
Jean 黒糖
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占領下のフランスがどういう状態で雰囲気でどんな背景をもっていたのか、知識不足の自分にはわかりにくかった。場面の様子は伝わってくるのだが、特にきちんとしたストーリーがなくその場の雰囲気を感じ取り一緒に酔うような感覚になる。あまり面白いとは感じなかった。
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とんこつ
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曖昧模糊とした文体が織り成す占領下パリのユダヤ人親子の物語。二つの大きなプロットーー「父」を探す息子、そして父のベルギーへの亡命劇ーーを軸に物語は進んでいくのだが、多くの謎には触れぬまま、語り手は枝分かれした細部を語っていったりと、戸惑いを拭えないまま読み進めていくことになった。占領下パリを描きながらも、そこにはかつて外人部隊としてモロッコ攻撃(リーフ戦争?)に参加した者が描かれていたりと、「侵略」の多義性が窺える。占領下の不穏さ、人種・国籍のもたらす不条理、そういった足場のない不安が終始漂う物語だった。
とんこつ

恐らく当時の歴史的背景などとつき合わせて読み進めていくと、小説世界にそれらがうまく昇華されているのではないかと想像するが、今の自分にはそこまで至らず。物語の筋とは関係ないけれど、重く暗い雰囲気で物語が進んでいくなかで、たとえばミラーユのかつて使えていた社長のモットー「威しはするな、少々圧力をかけるだけ」や、自分で勝手に献辞を書き加えて古書収集家に高額で本を売りさばいていく主人公など、少し笑ってしまう描写が所々に見られたのが良かった。

01/08 14:39
0255文字
まめ@暫くイン率落ちます
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ネタバレ息子が「父」を求め続ける。自分の理想の「父」はそこに居ない。そんな中で記憶と心情と現実が交差し、目前にない大きな背中を追いかける。父の姿を追うことにより渦巻く心のうちはタイトルの環状通りにぴったり。大きいようで小さい背中を守ってあげたいと思いつつ、捨てられた過去に何故が常につきまとう。息子としてその先に許ししかないのは人間の弱い部分。霧の中に立ち竦む現代の若者に送る孤独と寂しさの物語。
0255文字
ヴェネツィア
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読者を戸惑わせる小説である。序文も曲者なのだが、小説の冒頭はいきなり何人もの人物が入り乱れ、人物相互の関係性はおろか、彼らの正体さえ不明であり、限りなく胡散臭い。語り手の父にしてもまたそうであり、物語が進むにつれて、なにがしかは明らかになりつつ、しかしその反面益々不分明さを増してゆくのである。序文には父性の不在を言うが、物語中の父自体が既に父性を喪失しており、読者はここで二重の混迷の前に佇むことになる。そして、小説は最後まで明確な像を結ぶことはなく、ある種の曖昧さの中を揺曳することになるのである。
ヴェネツィア

表紙のモンマルトルの写真、裏表紙のモンパルナス(?)の写真は風情があり、在りし日のパリをよく伝えているように思う。

05/06 17:58
0255文字
ポンプケ
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あとで 奇抜な設定だが面白かった
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nranjen
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こんな作品を72年に書いているのですね…。父が亡霊っぽいのではなく、亡霊は語り手自体で、想像の父の物語に、変えられることのない父の物語に寄り添って行ったのだと最後に気づいたのでした。それぞれ「こんな時代」のモデルとなった人物が浮かんできて怖い。そしておそらくフランスではそれを共有されて読まれていた事実はさらに怖い。そしてこの時代のユダヤ人はこういうものだったのだろうなというものも描かれている。
0255文字
るな
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作者27歳の時の作品。生き別れた父を探し出し、現在の父を観察する男の深層心理を描く。父の人物像がそうであるように、時代背景も曖昧なまま、男の魂の彷徨が続く。日本人にはニュアンスが分かりにくいのでは。とらえどころのない印象に戸惑ってしまった。
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parc11
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私には、いかんせんよく分からないテイストだった。
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いのふみ
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この小説の心地よい不安定さは、登場人物たちが亡霊のような存在であるということよりも、語り手の寄る辺なさに由来するのではないか。
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桃蛙
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喪失の原点といったらいいか。まだ浄化できない何かがこの時代のモディアノにはあって、近年の作品と比べると息をのむような緊迫感がある。
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mi
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不在の父を追跡する。ナチス占領下のパリのユダヤ人。「故郷喪失者」は行き当りばったり、自棄で刹那で、胡乱な如何わしい仲間とつき合い、こんがらがる程、頻繁に住所を変え、疲れ、崩れ、不安と混乱と都会、の環状を彷徨い、何処へも行けない。寄る辺ない。根なし草。取り憑かれたように、喧騒と猥雑、に身を寄せるが、何も掴めず、なのに奪われ、消える。生まれながらの孤児たちに安住の地はない。にもかかわらず(或いはそれ故に)私たちはパトリック・モディアノに憑かれる。
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スズコ(梵我一如、一なる生命)
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過去の記憶、記録の波間を漂い、自分を捨て裏切ったどこまでもろくでもない父親を蔑みながら、それでも唯一の自分のルーツとして必死に繋がり続けようとした日々の追憶の小説。ナチス占領下のパリで混乱の中、犯罪のビジネスに身を投じ、罵倒され裏切られても生き抜いていくことの困難さと悲しみを表しつつ。。。またいつか、モディアノの小説を読みたくなる時があるような気がする。
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qoop
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ナチス占領下フランスのユダヤ人。時代という黒々とした影に飲み込まれる、灰色の存在。周囲から切り離された寄る辺なき彼らの、捨てられ、失われ、消され、消えていく様子を、子を捨てる父と、それでも父を追い求める主人公の姿を通して書いた佳品。主人公が再発見するのは、曖昧模糊とした父の姿と、父が行動を共にする胡乱で猥雑な集団。自信の源を求めても根無し草は根無し草でしかなく、どこまで辿っても闇の中に溶けてしまう背中しか見えてこない。怒りと悲しみと諦めを秘めた静かな文体に侵食されていくような読書体験だった。
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ほしいもアボカド
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「愛しあってるかい?」     忌野清志朗                                                 ~無意識からくる不安による閉塞感は、愛を歪ませるが、消すことはない。
0255文字
夏子
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あまり上等な人間ではない友人達と交流して、恐らく禄でも無い事に手を染めている自分の父親をその近くで密かに見守る息子の姿を淡々と描く物語。彼らの姿はまるで幻のように現実感が無くどこか寂しげでした。
0255文字
kroon@きろん
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ネタバレロードムービーを観ているような感じ。既視感もありました・・・ 背景に、作者の生い立ちが加味されてますが、こういう表現のヨーロッパの作品は、よく見かけませんか? つまり、わたしとしては新しくなかったということです。
0255文字
Hidetaka Ohtsubo
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「父」に対する主人公の執着というのはちょっと理解しがたいのだけれども、独特の雰囲気に引き付けられる作品だった。後書きに寄れば著者は戦後生まれにも関わらず、一貫して占領下のフランスを書き続けているのだとか。その空気感か、とひとしきり思う。しかしフライングジューというのは、あちらの世界ではよくよく文学的主題になるものだ。
0255文字
hasegawa noboru
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「父」なき世代の「私」が、パリ占領下時代、故郷喪失者として、胡散臭い連中に蔑まれてつつ人生の落伍者として生きた「父」の姿を、登場人物の一人となって追う。猥雑な現実だとして戦後に目を向けず、実際の「父」ではなく、幻像の「父」を、明治国家建設期に生きた曾祖父(誇らかな海軍大将の家系?)の世代に重ねて自らを語り、国家的栄誉と地位を求めた江藤淳的姿勢とは対極にある作家の姿勢だくらいは分かる。関係ないか。
0255文字
しょう
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ネタバレ他の方のレビューにもありそうだが、あまりよく理解できなかった。頭を悩ませつつ読んでいたら終わっていた、と言うのが正直な感想である。非常に不思議なストーリーとは思うが、この作品を真に楽しめなかったのが残念。
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otoya
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正直、良く分からなかった。占領時代の人々の生活と精神、そして現代の力を失ってしまった父性との関わりだろうか。父を尾行しても、追いかけていたのは自分だった、のようなフレーズがあったが、この時代は「家族」という考えが前時代から崩れ、そこで自分と言うものも失ってしまった時代だったのかもしれない。なんてことを考えた。
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お気楽さかい
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★★★★ “古びたタルボに乗り込んで、私たちはパリの夜をあちこち”徘徊する場面(p.89〜92)時速130キロでキャラメルを舐めながら、見捨てられた村々を走る場面(p.179〜180)が好きで。“その日の午後は荒模様で、遠雷がにぶい音をたてて反響した。今日では、彼等はみんな消え失せるか銃殺されてしまった”(p.166)“この本の最後まで私はあなたと共に居つづける。この本は私の過去にまつわる唯一のもの。たわむれに書いているのだとは思わないでほしい。私には、他にやりようがなかったのだ”(p.149)にも付箋。
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