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奇妙なナショナリズムの時代――排外主義に抗して

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mittsko
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中堅どころ8人の執筆者たちによる現代政治論集。切れ味がとても鋭い! すばらしく充実した一冊だ。具体的な研究対象は、日本のネトウヨ、排外主義、ネオレイシズム、歴史修正主義、およびそれらへのカウンターなどの一連の動きで、欧州と豪州の同様の動きについて論考が一本ずつ含まれる。導入章と最終章を編者の山崎望さんが担当(氏の問題整理と概念使用の腕前がうなるほど見事だ)。表題にある「奇妙なナショナリズム」とは、従来型ではない、ナショナリズムの新形態を指す。このテーマで研究会が組織され、その成果が本書だとある。
mittsko

「グローバル化と新自由主義の深化・拡大により、第一に国民国家を、内/外の明確な境界線によって分離された閉鎖系の一元的で固定的な単位として描くことは困難になっている。国民国家を他の国民国家から分かつ境界線は自明ではなくなりつつある。そして国民国家における安全保障、社会保障、国民共同体、民主主義という四層を結びつけてきた紐帯は弱体化し、国民国家を実態的な政治=文化=経済=社会共同体として整合的に描く擬制も限界を迎えている。

10/08 16:19
mittsko

「国民国家は歴史的に動態的で多元的・開放的な性質を内包したとしていても、それを封じ込めてきたナショナリズムによる境界線の明確化や一元化・固定化の程度は「後退」しているのである」(山崎望 5頁)

10/08 16:19
6件のコメントを全て見る
0255文字
香々地
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ネタバレネット右翼の言動・現象のメカニズム。国民国家の輪郭が融解しつつある。
0255文字
えんさん(연싼)@読書メーター
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排外主義やレイシズム、「ネット右翼」の台頭を分析した論文集。タイトルの「奇妙な」という部分は、単に国民/非国民をつくるのではなく、この二元論をレイシズムと共に国民内でも作っていく点だ(その対象は反体制的なものなら何でもありになる。反原発デモ、反安保、フェミニズムとか)。このような形のナショナリズムが拡大することは、もはや国民国家の限界であるのかもしれない。にも関わらず「○○人」という物語が今なお強調される状況を冷静に見る姿勢が求められるはずだ。
0255文字
ぼっこれあんにゃ
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×従来のナショナリズムは国の外側に敵を作ることによって、国の内側にある多様な民族や階級の国民を一つに束ねて行こうとする思想であるが、奇妙なナショナリズムというのはそれとは逆に、在日などの架空のカテゴリーを作って、ややもすると、国を分裂状態に落とし込みかねないという目指すところがよくわからないものらしい。とは言え、このほんの読みづらさはアウトだった。言葉は難しく、論理もわかりづらく、とても人に勧められたものではない。テーマが興味深いものだけによけいがっかりした。
0255文字
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