大学3年の広太は中学生の頃知合った夏樹に付きまとわれうんざりしていた。広太は小さな悪意から夏樹を自殺に追い込み、その秘密を知ったヤクザに脅されて運び屋になる。広太は北京で出会った留学生の鵜野に促され逃亡する。広大な中国西部を旅しウイグル自治区に至るのであった。
サクリファイスや天使はモップを持ってで近藤さんに出会った読者は、この物語に違和感を感じるかもしれないし、とりとめがない流れは、お世辞にも滑らかとは言えないが著者が知って読者に訴えたいテーマは確実に伝わってくるし、もっともっと教えて!という気持ちになる。
読者は、自分が広太だったら、夏樹だったら、雅之だったら(女性だったら、桂だったら)どうするだろうと考えながら読むのではないだろうか?近藤史恵さんは、登場人物達に、そんな読者の思いをあえて裏切るような選択肢を選ばせているような気がする。読者は物語を読み進めながら本を握りしめて思う。「広太!それを選んじゃダメだって!」と…
広太や雅之が、何となくサクリファイスのチカやキアズマの正樹のように、決して優柔不断なだけの若者ではないと感じるられるところが、近藤史恵さんらしい。
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