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ビストロ・パ・マルで近藤史恵さんを語る

茨姫はたたかう
トピック

KAKAPO
2016/04/17 06:41

 書店に勤める梨花子は、実家を離れレディスマンションに引っ越すが、両脇には梨花子と全く異なる人種が住んでいた。梨花子は、職場の対人関係で傷つき、ストーカーの影にも怯えていたが、異質な隣人達との交流の中で少しずつ変わって行く。

 一方、小松崎は、整体師<合田力>の元で働く恵と歩に、暗い過去が落とす闇があることを知り、好意を寄せる歩の力になれない自分の無力さに打ちひしがれる。この2つのシリアスな物語を近藤史恵さんは、前作『カナリヤは眠れない』よりもエンタメ度が増した展開で繋げて行く。もちろん繊細な人物描写も健在だ。

 力先生名言集1「愛情なんてもんは、そんな大層なもんやないと思っている。しょうもない、エゴだらけの、いやらしいもんや。でも、人間って、それがないと生きられへんみたいやなあ」力先生名言集2「そんなに飛びぬけて幸福な人間も、不幸な人間も、ほんまはそんなにおれへんで。みんなどんぐりの背比べや、自分を不幸やと思う奴は、自分を不幸にしているんや」

 『スタンフォードのストレスを力に変える教科書(ケリー・マクゴニガル)』には、「『ストレスは健康に悪い』と考えていた人の死亡リスクが高まった。」という調査結果についての記述があるようですが、力先生の「自分を不幸と思うやつは、自分を不幸にしているんや」とい話と相通じるものがありますね。

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