『賢者はベンチで思索する』『ふたつめの月』を読み、心地よい余韻に包まれていた私は、犬繋がりで『さいごの毛布』を読み始めました。老犬ホームを舞台に繰り広げられる物語は、嫌でも私が初めて飼った猫、Dinahが星になった2012年9月を思い出させる。
「仕事に就けないでいた智美は、友人の勧めで老犬ホームに勤めることになった。働きだした初日、門の前に捨てられていたパピヨンを飼い主に返しに行った時、智美は、その身勝手さに憤りを覚え、自分で飼うと主張する。こうして智美の犬たちとの生活が始まるのであった」これも心暖まる話。
家族であっても、家族だからこそ、気持ちがすれ違ってしまうことってありますよね。素直になれない人間と違って、犬たちは自分の気持ちに正直だ。それは、思考がなくて、本能に突き動かされているからかもしれませんが、もしかしたら人間も、自分の気持ちを素直に表現した方が幸せになれるのかもしれません。そんなことを考えさせてくれる、物語りでした。
人はもちろん、動物たちの命を大切に思えない人は、自分自身の命を大切にすることが出来ないかもしれません。私は、bookoffの棚にあった「いのちの食べかた」を買うことができませんでしたが、私達の食材になるために命を奪われる動物たちに対しても、彼らの命を大切に思うことが必要なのかもしれません。一度は生活を共にしたペット達に対してならなおさらでしょう。
もしかしたら、本能に突き動かされるような生き方をしている人の方が、言葉にはできなくても、幸せとはどのような状態を指すのかということを知っているのかもしれない。そして、そのようなある意味純粋な人達を利用しようとする人は、自分は利口だとだと思っているのだろうけれども、幸せの本質をしらないのではないだろうか?
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