施設で育った博人は、大学進学の援助を条件に、山奥の洋館に住み込みで働き始めるが、雇われたのは、博人だけではなく似た様な境遇の薫も一緒であった。二人は、奇妙な生活を受入れ謎に触れないようにしていたのだが、令嬢である小夜への想いは交錯する。
ある日、洋館を仕切る人物の死体が発見され、今まで隠されていた秘密が明るみになり、さらなる悲劇が幕を開ける。少女漫画のような設定で始まった物語は、最終行で、テレビドラマのような結末を迎える。私は、近藤史恵さんの思惑の中で、小夜が博人と薫の違いに気付いていたのではないかと思う。
あり得ない設定にもかかわらず、近藤史恵さんに手を取られ、私は物語の世界に連れられてゆく。いつの間にか、洋館の住人になり、博人や薫と共に、庭の手入れをしたり、小夜への思いを募らせてゆくのであった。改めて考えると、かなり前に嵌った宮本輝さんの初期の作品に似ているかな?こういうのを耽美主義と言うのだろうか?
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