読書メーター KADOKAWA Group

THE PERFECT INSIDER vs THE PERFECT OUTSIDER

  • Xでシェア
  • facebookでシェア

WHO INSIDE
トピック

KAKAPO
2016/04/17 16:34

 S&Mシリーズの5作目は、「すべてのトリックに隙が無い」とは言えないけれども、バランスの取れた物語だった。森博嗣さんの文章は短期間で読みやすく進化しており、少しずつ人間味を増す犀川と、自由奔放に見えて実はナイーブであることが判明する萌絵が、まるで実在の人物のように生き生きと動き出し、シリーズ物であることの魅力を余すことなく堪能することができる。多くの読者が自分が犀川研に属している学生のような臨場感も味わい感情移入することだろう。森博嗣さんが犀川の台詞を借りて語る哲学的な言葉も興味深い。

 やっぱり、小説が楽しめるかどうかは、「著者への共感があるかそれともないか」なのではないかと思います。「上手い」と認めざるを得ないけれども好きになれない作家さんの作品は楽しめないし、「無理があるなぁ~」というトリックや「それはないでしょう?」と思われる恋愛があっても、物語の中に著者と同じものに憧れる自分を発見したとき、その世界は何よりも大切なものになるのではないでしょうか?自分自身をクールに見せようとしてる(いやクールだと思い込んでいる)森先生は、実は、あたたかいオジサンなのではないかな?

このトピックのコメント

データの取得中にエラーが発生しました
このトピックのコメントはありません
新着
参加予定
検討中
さんが
ネタバレ