相変わらず悪意か無意識か分からない三人称多視点+カメラ視点?の合わせ技で読者をミスリードに誘い、最後に犀川先生の神業推理を披露して終わるという筋書きが不満だが、萌絵が手に入れた新車の効果によるものか、シリーズの中で最もスピード感があり、スリルとサスペンスを感じさせ、篩(ふるい)を通り抜けられなかった読者を取り戻せそうな魅力が垣間見える。いつもは安楽椅子から離れたがらない犀川先生も、動機の不可解な事件に巻き込まれ、萌絵を危機から救うため、まるでアニメのヒーローのように芥子色の車に鞭を入れ、現場に駆け付ける。
基本的にはS&Mシリーズが大好きなので、このまま『有限と微小のパン』『まどろみ消去』『地球儀のスライス』に突入していくつもりですし、そのあとは、Vシリーズ、四季シリーズ、Gシリーズとどっぷり嵌合して行く予定ですけれども、好きだからこそ苦言もあります。ネタバレ注意~
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